《試練》――現在史研究のために

日本の新左翼運動をどう総括するのか、今後の方向をどう定めるのか

沖縄からの通信~辺野古現地の攻防が示すもの(付:琉球新報社説)

2015-02-20 08:40:44 | 沖縄問題
沖縄からの通信~辺野古現地の攻防が示すもの(付:琉球新報社説)

国および右翼との対決へ

 防衛省は、ゲート前の抗議が作業の進展を妨げる阻害要因だとして、強制撤去を開始し始めました。沖縄総合事務局の職員がテントを撤去するよう「指導」に現れました。抗議団は即時拒否し「従わない」と回答しました。強制撤去に対しては法的措置を検討するようです。(2月19日夕方のTVニュースです)
 抗議活動というのは沖縄県の辺野古移設を認めないという県民の民意を無視して工事を強行していることへの抗議であり、抵抗ですから、道交法というようなチマチマした問題ではありません。もし、テントを強制撤去すれば、流血の事態となるかもしれません。そうなれば、民意を無視したまま強行している政府にすべての責任があります。

 昨18日、ちょっとした事件がありました。ネットにはUPされていません。
 「石垣市議会有志の会」の横断幕を掲げた4人が、なんと座り込みをしているシュワブ・ゲート前に来て、県警に守られながら「海保を激励する集会」を行いました。当然にも、座り込みの市民と激しい対立になりました。

 石垣市というのは市長の中山義隆をはじめとして、右翼が巣食っているところです。ヤマトからの移住者が多く、市政までが乗っ取られ始めています。「移住」という名の「移民」だと言っていいと思います。教科書選定をめぐって「つくる会」の育鵬社の教科書をメチャクチャな形で採択したのも石垣市で、その張本人が中山市長です。それがわざわざ名護まで来て海保の激励を行ったというわけです。

 こうした右翼を動員するという動きは、オスプレイ配備をめぐって普天間基地の野嵩ゲートから始まりました。右翼が「オスプレイ歓迎」などと言って、座り込みに割り込んできました。本来なら、ボコボコにされますが、県警が守っているため、そこまではできません。それに味をしめて、辺野古にまでやってきたわけです。

 その4人に付き添ってきた岸本直也名護市議が自由にシュワブ・ゲート内に出入りしていて、それを問題視した抗議団が「なんであいつが自由に出入りできて、われわれが排除されるのか」と機動隊と激しいもみ合いになりました。


▲早朝からゲート前で車両進入に強く抗議(2月19日午前7時40分過ぎ、キャンプシュワブゲート前)

ちなみに、右翼の親玉が安倍晋三首相だということはご存じでしょうか。安倍内閣の19閣僚のうち16閣僚が神社本庁の「神道政治連盟」のメンバーで、その「神道政治連盟」の会長が安倍晋三です。ようするに、安倍内閣というのは神社本庁=靖国派の右翼によって構成されていて、在特会のヘイトスピーチが始まったのも第一次安倍政権からです。安倍晋三というのは、日本の右翼の総元締めで、右翼はその別働隊です。在特会と「神道政治連盟」は別などという議論はあまり意味がありません。右翼はその時々でコロコロ姿を変えます。沖縄で公然と動いている右翼は「幸福実現党」=「幸福の科学」です。

沖縄総合事務局は「現代の総督府」

 「防衛局が3岩礁管理」という記事は重要です。
 岩礁と言いますが、平島、長島というのは岩礁ではなく島です。それが、本来の管理者は「沖縄総合事務局」で、そこから借りて管理しているというのです。こんなことは誰も知りません。だから記事になるわけです。
 ▼防衛局が3岩礁管理 07年からシュワブ沖(琉球新報)
  http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-239133-storytopic-3.html

 「沖縄総合事務局」というのは、国の出先機関で単なる合同庁舎ではありません。北海道開発庁とともに沖縄と北海道にだけあるもので、「現代の総督府」です。もともと北海道はアイヌモシリの土地、沖縄は琉球国の土地。両方ともヤマト政権が侵略して植民地支配してきたことが起源です。ですから、本来の管理者とは沖縄県でなければなりません。これも、復帰後「強奪された」ものです。

 沖縄戦後の米軍政の時代、米海軍軍政府の政治部長・ワトキンスは、「ネズミは猫の許す範囲でしか遊べない」と言いました。猫は米軍で、ネズミとは沖縄のことです。今の沖縄と日本政府の関係もこれと同じで、沖縄県は沖縄総合事務局の許す範囲でしか県政ができません。これまでも「二重行政」として問題になってきましたが、今なお変わっていません。

 琉球新報の社説「道標求めて やはり自決権回復しかない」を資料として転載しますので、見逃した方はぜひともお読みください。明治政府の「琉球処分」が国際法違反であることが明らかだと指摘し、国際社会に沖縄の自己決定権回復を訴えることを提起しています。今の沖縄のもっとも新しい動きです。
 ▼<社説>道標求めて やはり自決権回復しかない(琉球新報)
  http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-238999-storytopic-11.html

 ヤマトンチューは、これに対しての態度が問われる問題です。

2015年2月19日
S.嘉手納(沖縄在住)

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転載:琉球新報社説

「道標求めて やはり自決権回復しかない」 2015年2月17日

 歴史をたずねると現状の意味が明確になる。広く世界に知恵を求めると進むべき針路が見えてくる。
 本紙連載の総括を兼ねたフォーラム「道標(しるべ)求めて」を聞いての実感だ。歴史的にも国際的にも、沖縄が自己決定権を持つのはもはや明らかである。現状の不正義を国際社会に訴えるよすがにしたい。
 確認できたことの第一は、明治政府の「琉球処分」(琉球併合)が国際法違反だったことだ。その証拠が幕末の琉米、琉仏、琉蘭の3条約である。条約の締結は、3国が琉球を国際法の主体、言い換えれば独立国と見なしていたことを意味する。
 明治政府は武装警官と兵士で首里城を囲み、尚泰王に沖縄県設置を通達、合意を迫った。これはウィーン条約法条約51条が禁じる「国の代表者への強制」に当たる。国際法学者はそう指摘する。
 米軍基地問題をはじめとする現在の沖縄の問題の源流はここにある。現在の問題とは沖縄の民意を無視してよいものと扱い、政府が一方的に強制できる対象とみなす、そんな政府と国民の態度のことだ。
 米軍基地は、「外交・安保は国の専管事項」を隠れみのに、いかに沖縄にとって不当であろうと強制される。多数決原理の下、日本総体としてそれを容認してきた。県という枠組みにある間、沖縄は常に強制され続けることになる。その淵源(えんげん)が琉球併合なのだ。
 だとすれば、やはり自己決定権回復以外、解決の道はない。今日の世界には過去の不正義の是正を求める潮流があり、人権や自決権の重みが増している。沖縄側の主張は、丁寧に訴えれば共感を呼ぶはずだ。「米国はなぜ不正義の上に利権を確保するのか」と国際社会に訴えるのも有効であろう。
 フォーラムでは東アジアでの多国間、多地域間対話の枠組みを求める声も上がった。賛成だ。
 北欧のバルト海沿岸では100以上の都市が加盟する沿岸都市連合(UBC)という枠組みで、環境汚染だけでなく経済や安全保障も論議している。国家間だけでなく地方政府や民間組織間の国際連携が重層的に安全保障を下支えしているのだ。こうした実例も参考にしたい。
 東南アジア諸国連合(ASEAN)に匹敵する東北アジア諸国連合(ANEAN)も提唱された。沖縄をその本拠地にする構想があってもいい。論議を聞いてそんな感も深くした。

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