枯蘆の流速のなか村昏るゝ
枯蘆、冬である。
流速、流れの速さを言う、つまり早いとも遅いとも言っていないということは《時間》、絶対的な時間、時の流れを指している。
昏る、静かで賑わいがない、人がいるのかいないのか・・・人っ子一人見えない光景であるが、冬(農閑期)であれば当たり前かもしれない。
昏るゝ。るゝは連体形だろうか、縷々、昔から代々の村は今も静かに息づいているに違いないが、それにしても物寂しい風景であり、枯蘆を刈り、簾などにする術は(安価な外国産に押され)すでに廃れてしまったのだろうか。
冬である、村の時代にも冬の季節が到来しているのかもしれない。
時代の流れの中でひっそり佇む村の光景が見えるようである。
参考:『飯島晴子の百句』奥坂まや著