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続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『再開』

2017-10-31 07:03:41 | 美術ノート

 『再開』

 台の上に高台付きの植木鉢(そんなものはないが)に本来あるであろう草花はシルエット化され異なる景に置換されている。
 ※エデンの園の中央に植えられた命の木(あるいは善悪を知る木)を彷彿とさせる景である。
 バックは暗色であり、植木鉢の傍らには鳥の巣に入った三つの卵がある。

 これが『再開』の景だというが、謎のような景である。

 純白の台座を持つ植木鉢は、小さな世界つまり狭い領域の崇拝敬意としての表現ではないか。
 現実の草花を圧して異なる景を創出、一本の樹は雄々しく空に延び美しい景をなしている。しかし、それはイメージにすぎない。
 鳥の巣に入った鳥の卵こそ現実である。しかし、イメージの世界に押され、主張することなく傍らにただ在るだけである。

 イメージは(幻想)は現実を凌駕する。果たして現実は幻想から現実(生命の誕生の真実)を取り戻すことができるだろうか。現実には証拠がある(卵が先か・・の問題はさて置くとして)が、人の心はパンのみで生きるわけではない。生きる糧(信仰)は現実を回収し、異世界の扉を再開させる。


(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)


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