
『心臓への一撃』
荒地(岩)に唐突に一本の薔薇の木があり、薔薇の花、そして短剣が枝から突き出している。背景は海、水平線があり、空は曇天である。
光の当たり方が全体微妙に違和感があり、木の影ははっきりしているのに枝葉は並べて暗緑色である。薔薇は左、短剣は右、全体の影は左に落ちている。
全体のバランスからすると、薔薇は巨大であり、短剣も大きすぎるように感じる。薔薇と短剣だけを並べると釣り合いが取れているが、枝から突き出た短剣にしては大きく重すぎる。しかし、なぜか納得してしまう薔薇と短剣の関係である。
『心臓への一撃』、鋭く尖った短剣があるので一撃という言葉を受け入れてしまうが、因果関係は皆無である。薔薇の花咲く薔薇の木が短剣を持って攻撃に至るというのだろうか。
言葉と物・・・この関係が引き起こすイメージが、周りの空気感まで巻き込んで、メッセージを発する。何も起きていない、ただ不条理な関係がタイトル(言葉)を誘引するのである。
写真は『マグリット』展・図録より
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