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続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

R.M『世紀の伝説』

2021-02-01 06:32:17 | 美術ノート

   『世紀の伝説』

 地平線から遥かな高さを持つ石造りの巨大な椅子がある。その上に小さな木製らしい椅子があるが、遥か下からではそれは見えない。
 人為的にはとても制作不能の石造りの椅子。
(主なる神はとこしえの岩だからである…わたしのほかに神があるか。わたしのほかに岩はない。『イザヤ書』より)

 巨大な岩づくりの椅子(地位、然るべき場所)は巨大に過ぎ見ることは叶わない。大地に散らばる石は《つまづきの石》かもしれない。どうしてこれほどの巨大な椅子が築かれたのかを知るものは無く語り伝えられた伝説によるものである。
 椅子の上の小さな椅子は確かに存在するようであるが、地上からはあまりにも高い位置に君臨しているので、やはり有るらしい、確かに在るのだという確信めく言い伝えである。とすると三位一体の父子霊の父子は椅子にあるが、霊は空間全体に秘かに漂う煌めきのような物に値するかもしれない。

 わずか百年くらいの人の生命体の成し得る術ではない。偉大である、大きすぎるほどの伝説は《世紀》を謳歌している。いつかこの地(世界)が滅び去ることがあっても頑なに残存する形があるに違いない。
『世紀の伝説』に対する畏敬は、真偽を越えている。人間は有機質ゆえ燃え果てるが、『世紀の伝説』は無機(岩)である。


 写真は『マグリット』展・図録より


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