凍蝶を過のごと瓶に飼う
凍蝶、すでに死んでいる。(蝶の標本をつくる時に冷凍したことがある)
死というものを凝視している。死という事実を見ている。
凍蝶はトウチョウと読んで、盗聴。
過はカと読んで、禍。
瓶はビンと読んで、敏。
飼うはシと読んで、止。
☆盗聴された禍(わざわい)を、敏(すばやく)止める。
凍蝶はトウ・チョウと読んで、套、帳。
過はカと読んで、過。
瓶はヘイと読んで、蔽。
飼うはシと読んで、旨。
☆套(被った)帳(ノート)に過ちを蔽(見えないようにする/隠そうと)旨(考えている)。
吾が裡にせむ帚木の暗紅を
わたくしの胸の中には見えると思えば見えない、秘めた恋心がある。
吾はゴと読んで、互。
裡はリと読んで、詈。
帚木はシユウ・ボクと読んで、師友、睦。
暗紅はアン・コウと読んで、案、交。
☆互いに詈(悪口を言う)誌友の睦(むつまじい/仲よし)である。
闇(ひそかに)交(付き合っている)。
吾はゴと読んで、悟。
裡はリと読んで、理。
帚木はシュウ・モクと読んで、終、黙。
暗紅はアン・コウと読んで、暗、考。
☆悟る理(道理)、終(死)を黙っている。
暗(人に知られぬように)考えている。
はたき落としたきはんざきの眼かな
はたき落としたいほど、小さな目である。まるで間違えて付いたごみのようで、叩き落とせばポロっと落ちそうである。
はたき(叩)落としたきはコウ・ラクとよんで、講、絡。
はんざき(半裂)はハン・サキと読んで、判、裂。
眼はゲンと読んで、現。
☆講(話)を絡(つなぎ)判(可否を定める)。
裂(バラバラにして)現す。
はたき(叩)落としたきはコウ・ラクと読んで、考、絡。
はんざき(半裂)はハン・レツと読んで、繁、列。
眼はゲンと読んで、現。
☆考えの絡(すじみち)は繁(むやみに多くて煩わしい)。
列(並べて)から現わす。
根も葉もない噂というが、この花には根も茎もなく葉も不自然な付き方である。宙に浮いている花などあり得ない。
いかにも存在感、重量感のある景色ではあるが、重力がない景色は地球上(現世)の時空ではない。草木も生えない高山に唐突に咲く花は、馬の鈴(金属)であり、劣化や腐植の風化はない。
永遠に鳴り響くような口伝。善悪は定かでないが、深層心理の中に沈み込み、消し去ることの出来ない浮遊物。光差すことのない暗闇でこの花だけがある種の輝きを放っている。
消去不能だが、さりとて掴み取ることもできない深淵の花。物理的観察、自然の中ではありえない景色(花)は秘密裏に人の心に潜んでいる。
観察不能の遠隔にあるにもかかわらず、精神の軸を常に脅かす『深淵の花』は有るが見えない花である。
写真は『マグリット展』図録より
二、十二月
蟹の子供らはもうよほど大きくなり、底の景色も夏から秋の間にすつかり変わりました。
☆自ら、自由に字を合わせる。
皆(すべて)詞(言葉)は教(神仏のおしえ)であり、諦(真理)の態(ありさま)である。
計(図りごと)の私記は、化(教え導くこと)である。
周(あまねく)現れるものは、片(二つに分けたものの一方)である。
ところで、これは、わたしにとって重大な運命の岐路でした。自分で言うのはおかしいかもしれませんが、わたしは、なにひとつゆるがせにしなかったつもりです。あとでどういう結果になるだろうかというようなことは、まったく心配しませんでした。
☆ところで、これは、先祖にとっての分岐点でした。自分で言っていいものかと思いますが、忘れることはありません。どんな形になっても気にすることはありませんでした。