続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

新宮晋先生。

2016-12-26 07:30:55 | 美術館講座

 〔新宮晋先生の授業〕

 それぞれが持ち寄った絵本の出来上がりをそれぞれ拝見、みんな力作の評価を受け大満足の雰囲気の中、先生のお話を伺うことが出来て至福の時間を満喫。
 わたしの拙作は、「〇という絵本なら、いっそ、丸い形状の本にしてもいいですね」とのアドバイス。

 先生は常に、今在る形を違う側面から見て捉えなおす、違う視点で捉えれば新しい発見につながるということを考え、交錯・収縮の自在な視点を模索していらっしゃる。
 先生の作品には、見ることの高揚が、改めて自然の律を感じさせてくれるという風景を作りだし、この不思議な物は何だろうと見ている内に自然のリズムを体感している自身に気づくというシステムがある。

 感慨深く楽しい授業を、新宮先生ありがとうございました。沓沢先生ありがとうございました。


マグリット『ジョルジェット』

2016-12-26 06:57:06 | 美術ノート

 『ジョルジェット』

 静かな海、水平線の見える室内の壁にジョルジェットのやや斜めからとらえた正面の顔と横顔が重ねて描かれている。
 画面の上には卵、枝葉、端にはわずかに鳥の白い羽が見える。下方には左から鍵・手紙・(彼女を照らす)ロウソク・手袋がそれぞれ何かの暗号のように描かれ置かれている。

 バランス良く配置されたそれぞれの符号はマグリットの彼女への暗喩/言葉である。
 卵は未知、枝葉は平和と安らぎ、羽根は軽やかさ、鍵は秘密、手紙は愛の告白、ロウソクはマグリット自身ではないだろうか、謙遜であり、凝視の願望である。
 手袋は差しのべる手、永久につながっていたいという密やかな願い・・・。

 凛とした美しいジョルジェットの貌、つまりはジョルジェットへの愛の告白であり、永遠を願う切なる思いを感じる。

 ただ、しかし…画面左端下の開口枠は少し傾いている。時間の経過だろうか、いつか来る日の予兆を孕んでいるのだろうか。傾斜=不安は心の片隅にぬぐえぬまま留まっている。誰もが不可逆の時間を生きるのであれば誰もが抱く不安である。

 《愛を永久に》と願う寡黙なマグリットのジョルジェットへの愛の証言である。


(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)


『銀河鉄道の夜』329。

2016-12-26 06:46:10 | 宮沢賢治

今日あたりもう着くころなんだが。船が遅れたんだな。ジョバンニさん。あした放課後みなさんとうちへ遊びに来てくださいね。」


☆金(尊いこと)を化(形、性質を変えて別のものになる)で惹きつける。
 詮(あきらかにする)千(たくさん)の法(神仏の教え)は化(教え導く)語(言葉)であり、幽(死者の世界)の記である。


『城』2515。

2016-12-26 06:27:04 | カフカ覚書

「では、なにひとつ起らず、なんらはっきりした罰も受けずにすむだろうという見込みがあったわけですから、あんたがたは、なにを怖れていたのですか。まったく、あきれた人たちですね、あんたがたは!」
「どう説明したらいいのかしら」と、オルガは言った。


☆「なにひとつ起こりませんでした。事件の小舟の明確な罰を待つだけでした。あなたたちは何を怖れたのですか。」
「どう云う風に説明すべきなのでしょう」と、オルガは言った。