続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

切ない話。

2012-11-04 06:46:24 | 日常
 京急馬堀海岸駅で講座の仲間と話していると、キレイなお姉さんが「北久里浜駅へはどう行きますか?」と尋ねて来たので、「わたしがそこへ行きます」と手をあげた。
 すると安心したように「ありがとう」と言い、数人の仲間を振り向いた。4人・・・みんなカートを引いている。
 すらりとした美人、(そうでない娘もそれなりに)・・・あきらかに日本人ではなく外国人(フィリッピン)である。年のころなら・・・不明だけど若いということだけは確か。

 堀の内駅で「ここで一度降ります」と案内。そして階段を指差し「ここを降りて向こうの(下り)のホームに行きます」と伝えた。
 そして「今度はここを昇ります」と振り返ったけど、彼女たちの姿が見えない。少し間をおいて彼女たちに上を指差して「上がります」と伝え、階段上のホームに。付いてきた彼女たちに「今度来る電車で、二駅目です」と指二本。
「ありがとう」と、口々にお礼を言ってくれた。恐縮している風でもある(なんで、こんなおばさんに?)

 北久里浜駅に着いたので、側に行き、「ここで降ります、ここからは分かりますか?」と聞くとそれぞれホッとしたように肯いた。


 すらりと長い足、短い足のお婆さんに追いつけないわけはない。なのに彼女たちは決してわたしを追い越そうとしないばかりか、距離を置いて付いて来たのは何故?

 暗い笑顔・・・出稼ぎ?夕刻、こんな会話を耳にしたことがある。
 店のマスターらしい男、店の若い娘を前に、
「いいか、国へ帰るときに金を持って帰りたいだろう。そのためにはどうすればいいんだ!・・・さぁ今日も頑張ろう」的な言葉。


 日本に着いたばかり・・・4人の共同生活の場は少し離れた場所だったのかもしれない。そこからの初出勤・・・。
「日本の男は甘いが、女、特におばさんは辛いから気をつけろ」とでもレクチャーされてきたのかもしれない。あのズズッと下がった彼女たちの固まり具合・・・。

 日本の金を持って帰る、手っ取り早く金を稼ぐ方法・・・今しかない若い肉体を武器に稼ぐ(悪いことは百も承知)・・・一家で後押ししたかもしれない日本への旅立ち。癒えない傷を覚悟の仕事、彼女たちがわたしの前を明るく闊歩できなかった理由はあまりのも切なく残酷。(まぁ、単に妄想に過ぎないけれど)


 バス停に並んで彼女たちの出てくるのを目で追っていたら、遅れてそちらの方角へ消えていった。

『ひのきとひなげし』41。

2012-11-04 06:36:58 | 宮沢賢治
 ひなげしはみんなあっけにとられてぽかっとそらをながめてゐます。
 ひのきがそこで云ひました。
「もう一足でおまへたちみんな頭をばりばり食はれるとこだった。」
「それだっていゝじゃないの。おせっかいなひのき」
 もうまっ黒に見えるひなげしどもはみんな怒って云ひました。

☆運(めぐりあわせ)に逸(かくれている)則(道理)は等(平等)である。
 自記に告げるのは、厳かな度(悟りの世界、救い)の運(さだめ)である。

『城』1084。

2012-11-04 06:14:55 | カフカ覚書
しかし、おびき寄せられたなどとおっしゃいましたが、わたしにはどういうことなのか合点がいきませんね。わたしが申しあげた説明をもっと注意して聞いていてくださったら、あなたの招聘問題はずいぶん厄介な問題で、ここしばらくお話したくらいではとても解答を出せるものではないということをわかってくださったにちがいないのですがね」

 ずいぶん/viel→fiel(fallen)/死。
 解答/beantworten→ente worten/虚報、言葉。
 kleinen→klan/氏族。

☆しかし、おびき寄せられたなどとおっしゃいましたが、わたしには不可解です。わたしが詳述したのは、より良い結果を生じさせることで、あなたの招聘問題は、死という厄介な問題なのです。ここでは先祖の氏族と話し合うことは虚報の言葉でしかない。