夕焼け金魚 

不思議な話
小説もどきや日々の出来事
ネタ控えです

続マッチ売りの

2013-12-10 | 創作
マッチを買った翌日、私達三人は「昨日、凄かった」とか「綺麗だった」とか神秘の瞬間を見たと三人で興奮気味で話していたのですけど、すくなくとも私はよく見えていなかったのです。
暗闇で、マッチを擦ると強烈な炎が目の前に現れ、どうしても視線は炎に集中して、炎の奥を見る程の余裕がなかったのです。もし、マッチで周りを見ようとするのならマッチを下の方で擦って、炎が目の前にこないようにした方がよく見えるのです。
でも、一本しかないマッチですのでどうしても目の前に置きたくなるのですけど、それではよく見えないのです。
しかも、ドキドキして興奮して見ようとしてますから、暗闇に連れて来られたとき暗闇に慣れた目は、マッチの明るさに反応できなくて目を一瞬閉じることが多いのです。
まっ、そんなことやあんな事で結局白い物をチラッと見えただけではっきりとは見たいものは見えなかったのです。
でも、それは結果として良い方だということが後で分かってきました。
噂では、マッチを擦ってコートを開くと、目の前に天狗のお面が現れてびっくりしたとか、女ではなく男の物を見せられたということもあったようです。
それどころか夜遅く、中学生が繁華街の裏町を徘徊しているのですから、当時だと不良と言われて補導される者もいたのでした。それから比べれば、ボーッとでも白い裸身が見られたのは幸運だったのです。
実際マッチを買うときに、何を見せてくれるのか何も言っていないのですから、天狗のお面を見せられてびっくりしても仕方のないことなのですが。
でも、もしかして男のものを見せられていたら、トラウマになりそうですね。昔も、女になりたかった男がいたのです。
それに立っている女の人はほとんどが、昼間はちょっと引いちゃうおばさんだよっと言う噂もありました。
若い女はそんな事しなくて、もっと手っ取り早くお金になる方法がある、と聞かされて夢を壊されちゃいました。
でもあの時、暗闇にマッチの炎で見えた白い裸身は、若くて綺麗な女性だと今でも信じているのです。
薄幸の少女が羞じらいながら、裸身を晒すというおとぎ話、信じちゃうのですよねぇ。
男ってつくづく馬鹿な生き物です。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« マッチ売りの | トップ | 友人の部屋の思い出 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

創作」カテゴリの最新記事