夕焼け金魚 

不思議な話
小説もどきや日々の出来事
ネタ控えです
最近は俳句ばかりに

友人の部屋の思い出

2013-12-11 | 創作
大学時代、友人のアパートに時々遊びに行ってました。
四畳半の狭くて汚いアパートでしたが、大学から近いというので講義の合間に時々行って寝ていることがありました。
崖地に建っていて、見下ろすと住宅街の屋根が連なって見えてました。
その中でひときわ大きな屋根があったのです。
近くには大きな煙突もあって、○○湯と煙突に書いてあったのです。
当時は、家庭風呂なんて無くて、町内に一軒ほど銭湯があったものです。
「二人で行った横町の風呂屋 洗い髪が芯まで冷えて 小さな石鹸カタカタ鳴った」というあの横町の風呂屋です。
今はほとんど見かけなくなって、銭湯遺産という本があるほど無くなりました。
「煙や湯気が昇ってきて大変なんだよ」と友達は言いましたけど、実は友達も知らない秘密があったのです。
それは夏になると、湯気抜きにお風呂屋の天窓を開けるのです。
だから、湯気が昇ってきたときに下を覗くと女風呂が覗けたのです。
真上からですから、相手からはまず気づかれないのです。
上から見ると湯気の合間に髪の毛と白いものが動いているだけで、胸も分からなかったのですけど、白いものを見ているだけで、ドキドキしました。
特になんにもないのですが、幻想的な思い出です。
その部屋の住人は、引っ越しするまでその事に気づかなかったそうです。
彼が引っ越ししたとき、私が「何で引っ越ししたのだよ、あんな良いところ」と言って説明して始めて知ったそうです。
「どうしてそんないいこと、教えてくれなかったのだ」と暫く口も聞いて貰えませんでしたが、友達にその事を言うべきだったと思いますか ?

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 続マッチ売りの | トップ | もの干し場にて »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

創作」カテゴリの最新記事