夕焼け金魚 

不思議な話
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平べったい蛇

2015-06-13 | 創作
友達から聞いた話です。
友達が幼い頃、田圃道を歩いていると平べったい蛇がいたと言います。
ペラペラで普通の蛇が左右に動いて移動するのに、そのペラペラの平べったい蛇は、上下にヒラヒラ動いて真っ直ぐ移動したそうです。
背中には綺麗な模様が付いていて、所謂蛇模様ではなく細かい桜や小梅のような模様が付いていたそうです。
その蛇が、田圃道をヒラヒラ動いていたので、友達が暫く後を付いていったのですけど草むらに入られて見失ったそうです。
「ところがさ、最近、その蛇をまた見たのだよ」
「田舎で、かい」と聞くと「いや、この街で。しかもお姉ちゃんがいる家の近くの道路をお姉ちゃんの家の方に向かっていたのだよ」
「また、後を付けたのか」
「うん、今度は街中だから見失わないだろうと思ったのだけど、屋根に上っていかれて見失ったのだけど、蛇が向かっている方向に姉さんの家があったから、心配になって姉さんの家に行ったのだよ」
「平べったい蛇がお前の姉さんの家に向かったかも知れないってどうして思ったんだよ」友達は少し口ごもっていて、言いにくそうでしたけど、何かを決めたかのようにはっきりした口調で答えてくれました。
「その平べったい蛇、実は帯じゃないかと思えたのだよ。小さい頃は、分からなかったけど背中の小桜や小梅の模様は姉さんが持っていた帯の模様にそっくりだったのだよ」と言うのです。
「まさかと思うけど、姉さんの帯が動き出しているのではと思って姉さんの家に行ったのだよ」
「お姉さんの家に行ったら、どうだったの」
「うん、姉さんはまだ寝ていたけど、部屋にはさっき見た蛇というか、帯が寝室のソファにかかっていたのだよ。それで姉さんに、この帯を出して寝たのかと聞いてみたら、帯なんて出して寝ないわよと言うのだよ。じゃどうして帯が出ているのだって尚も言うと、知らないと言われて、帯が出ていても良いじゃないのというだけなんだ」
「お姉さんは帯が蛇になって動き回っているなんて思いもよらないのだよ」
「金魚なら、俺の話を信用してくれると思ったよ、他の奴に話しても帯が蛇のように動くなんて、風で飛んでいるのを見間違えたのではと言われるのがオチだよ」と言うのです。
「でも、どうしてそんなに帯が動き回るのが気になるのだよ」と聞くと「実は、あの蛇を追いかけてきたのだよ。殺人現場から」
「殺人現場って」
「蛇が人を殺すところを見てしまったのだよ。どんな関係か分からないけど女の人を蛇が襲っているところを見てしまったのだよ。その時、平べったい蛇が女の人を包んで殺すところを見てしまって、蛇の模様が姉さんの帯の模様に似ていると思ってみると、あれ姉さんの帯じゃないかと思って、姉さんの家に行ったのだよ」というのでした。
どうして友達が殺人の現場を見たのかとか、色々聞きたい事があったのだけど詳しく聞く事は止めました。
今頃どうしているのか、連絡も取っていないのですけど人生色々ありますよね。
でも、こんな事を書くとあいつから怨まれるのかな。
もしかして、今夜にでも平べったい蛇が庭を這いずり回っているかも。

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