労働者のこだま(国内政治)

政治・経済問題を扱っています。筆者は主に横井邦彦です。

日経平均株価が17000円回復

2006-12-21 02:23:07 | Weblog
 ようやくといってもいいのだろうが世界的な株高のなかで、日経平均が大引け(終値)で1700円を回復した。
 
 日本経済が回復するなかで、本来ならば、もっと早く達成できたと思うのだが、1月のライブドア・ショック以来いわゆるネット取引をする小口投資家がかなりの信用残高を抱え込んでしまい身動きができなくなっていたので、それに引きずられて株価の低迷が続いていた。
 
 最近はその信用残高もかなり整理されてきたので、これから本格的な株の上昇期が始まるのかも知れない。
 
 しかし、気になるのは日本資本主義は世界経済に対していつもワンテンポ遅れていることだ。
 
 世界では数ヶ月前からすでに本格的な株式の上昇期が始まっており、今がピークともいえるのだが、日本資本主義はようやくこれから山を登ろうという段階にすぎない。
 
 しかも現在もてはやされているのは、円安による輸出増が期待される輸出関連株というのであるから、旧態依然というか、何か思考様式の古さと硬直性が感じられる。
 
 交易条件ということでいえば、円安が進行しても、日本の商品輸出はあまり伸びないであろうというのが現実的な見方だ。
 
 というのは、世界経済をとりまく環境が良好で世界貿易が傾向的に伸展するという段階はすでに終わっており、各国の製造業の生産高はすでに調整期に入っているからである。
 
 日本でも鉄鋼の生産高は今年は過去最高であったが、今の生産レベルを来年も続けることは難しいだろう。
 
 信用制度が大きい意味をもつのはまさにこのような生産が過剰気味で過剰生産力が形成される時に、信用を拡張して過剰生産力を覆い隠すという点である。
 
 この信用の拡張に大きな貢献をしているのが株式市場の活況で、諸資本はこの株式市場の活況のなかから自らが必要とする資本を調達するのである。
 
 もちろんやがて株式市場の崩落はやってくるのだろうがその時は世界同時である。
 
 ということは日本資本主義の景気回復は繁栄の極を見ることなく終息する可能性が高いといえる。
 
 日本資本主義が90年代の“失われた10年”という長く続いた不況期をかろうじて生きながらえることができたのは、“バブル期”の蓄積によって皮下脂肪をいっぱいつけていたからであるが、皮下脂肪をつける間もなく冬の時代に向かうのは、ちょっときびしい情況といえる。