ガーベラ・ダイアリー

日々の発見&読書記録を気ままにつづっていきます!
本の内容は基本的にネタバレです。気をつけてお読みください。

コートに行った②

2005-10-16 | 日々のあれこれ
裁判官から向かって右側の席に座った。となりに江守氏。こんな時、直接何をしてくれるというわけでもないのに、隣にいてくれるというだけで彼の存在が妙に安心感を与えてくれる。すると突然、裁判官と江守氏が直立不動になり、掌をお互いに向け合いながら、声を張り上げている。私は何がおこったのか一瞬目が点になった。が唯一「japanese」と聞き取れた。どうも不正をせずに通訳をしますということを宣誓している様だった。

それが終わるとまず、裁判官から今回どうしてここに来たかということの確認がなされた。それを承認すると、私の優秀なる(!?)過去の安全運転歴を認めていただき、彼からひとつ提案がなされた。というのは、「執行猶予プログラム」なるものを選択するかどうかということだった。これは、7年間に1度だけ使えるもので、二つの条件を満たさなければならない。ひとつは、これから1年間警察に捕まらないこと。もうひとつは、$100を支払うこと。そうすれば、今回の記録は消されるというものだった。

「犯罪歴」を抹消するのがいいのか。「罰金の減額」をとったらいいのか。私は迷った。すると、「ゆっくり考えていいですよ」とのことで、裁判官は隣の人の検案に移ってしまった。私は、小声で江守氏に尋ねてみたが、彼も「これに関しては私も何とも言えません」とつれないお言葉。「記録に残る」と将来的に車の保険額にも多少影響するらしい。

私はない知恵をしぼって考えた。果たして米国にあと何年いるというのか。初心に立ち返れば、「$101は高い!」と憤慨して来たのではなかったか。ここで$100支払ってしまったら、何のためにここに来たのかわからないではないか。私は決心した。裁判官が私の方に向き直り、再度尋ねた。江守氏によって、「罰金の減額」を選択することを告げた。裁判官は、再度プログラムでなくていいのか尋ねた。一瞬自分の判断にぐらついたが、心変わりはしなかった。すると、いきなり裁判官は、「$68」といって結審してしまった。あっけなかった。

私は、内心言い訳を考えていたのだ。「BUMPの道だったので、スピードは出ていなかった」とか「私は止まったつもりだった」とかなんとか。それなのに裁判官はそれ以外は何も聞かず、無言でペンを動かし、紙らしいものを事務の女性に渡した。そして裁判官はすぐに隣の検案に戻っていた。あっけにとられていた私を、江守氏は前に行くよう促した。事務の女性の元に行き、彼女から小さな紙を受け取った。それには、名前や裁判の番号などタイプされており、欄外に手書きで$68と書かれていた。

それを持って、法廷を後にして入り口の窓口に行った。即刻、チェックで支払を済ませた。後日郵送でもいいらしいが、この件に関しては早く片付けてしまいたい。そこでも「執行猶予プログラム」を使わないのか確認された。江守氏いわく、使わない人のほうが珍しいので確認するんですよとのことだった。

私は、今でもわからない。目先の利益にとらわれて、たかが$33の減額で喜んでいてよかったのだろうか。しかも、何だか得した気分にさえなっている。本当は、$68出費しているというのに。来年の車の保険額がいくらアップするのか。でも、江守氏もこのプログラムは今後のためにとっとくのも一考ですよといっていたではないか。はてさて、この決断は私の運転生活にどう影響するのか。私自身興味津々というところである。(終)



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