しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「トンネル」 2001独

2006年07月28日 | 映画
1961年8月ベルリン。
西側への人々の流出を阻止するため東ドイツは東西ベルリンの境界線に壁を作ることを決定し、有刺鉄線を張り巡らし銃を持った兵士を監視に当たらせた。
これにより、それまで比較的行き来が容易だった為に、運悪くその時東西ベルリンに別々にいた、愛する家族や恋人までもが引き裂かれることになる。
西ベルリンに無事逃れられたハリー、マチス、フリッツィらは、東側に残してきてしまった大切な人を救い出すためにトンネルの建設を計画する。


ベルリンに壁が出来て、その壁の下を掘り、東の人間を脱出させる、実話の物語で、ドキュメンタリータッチな所もある。
トンネルの脱出の前に、バスで壁に突っ込んで行って、強引に西に行くシーンもあり凄かった。
まだ壁が低い時、直ぐそこに行けば自由がある、自由が見えているというのは、高い壁に囲われてしまう前より、また別のやり切れない思いがあったのだろう。自由な場所が手の届く所に見えているのだから。
フリッツィの恋人は壁を越えようとして撃たれる。壁の反対側に恋人がいるのにどうする事も出来ない。このシーンはまさに壁1枚でこんなにも違うのだと、思い知らされる。
銃を向ける兵士の戸惑う表情も印象負深かった。
同じドイツ人なのだから、撃ちたくないのが本当の気持ちだと思う。
どうして、ひとつの国を2つに分ける事などしてしまうのだろう。
壁が崩壊して、統一された今見ても、辛い思いに変わりはない。

終戦は1945年。壁で分断されたのは1961年。崩壊したのが1989年11月9日。
東と西に別れていた期間は44年。
44年はやはり、とてつもなく長かっただろう。
その前はひとつの国で同じ考えだったのに、思想の違う国家の基では政治家ばかりではなく、その思想で生活してきた国民もそうなってしまう。それが思想の怖さ。
今、韓国と北朝鮮が、全く違う国になっている。哀しいことだと思う。

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