しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「雨と夢のあとに」 キャラメルボックス

2006年07月29日 | 観劇
2006.7.20(木)~8.20(日)サンシャイン劇場
原作/柳美里 
脚本・演出/成井豊+真柴あずさ
<ストーリー>
桜井雨は、小学6年の女の子。幼い頃に母を亡くし、今はジャズベーシストの父・朝晴と二人で暮らしている。   
朝晴は蝶の収集が趣味で、幻の蝶と呼ばれる「コウトウキタアゲハ」を捕まえるために台湾に行く。帰国の日、遅くなっても帰って来ない父を心配しつつ、眠ってしまった雨は、父が弾くベースの音で目覚める。
朝晴は森の中で幻の蝶を見付け、捕まえたと思った時に穴に落ちた。その後と記憶はないが、気が付いた時には、家でベースを弾いていたという。
朝晴親子の隣に住む暁子は、朝晴を見て「あなたは死んでいる」と言う。
始めはその言葉を信じなかった朝晴だが、他の幽霊から、仲間だと話し掛けられたり、自分が見えない人がいること、そして自動車が自分を突き抜けて走り去る経験をして、自分は穴に落ちた時に死んだのだと認識する。
幽霊でも、心が通じ合っている人には見えるらしい。朝晴は雨がひとりぼっちにならない様に、暫くこのままの生活を続けたいと、姿の見える暁子に協力を求める。

<感想>
ストーリー展開も早く、起伏に富んでいて、面白かった。
幽霊としての定義がある。それがきちんとストーリーに生きている。
始めに暁子が唐突に、朝晴のことを幽霊だと言ったり、いやに明るく事の重大さを受入れているのがちよっと違和感があったが、その理由も後で分かり、すっきりする。(気が付かなかったから…)
しかし、死んでからあの世に行く前に、気になる人の挨拶出来るなんて、いいと思う。(その前に死んだら「天国に行く」と言い切っているけれど、もしかしたら「地獄」かも…なんて考えてしまう自分は意地が悪い?自信を持って「天国に行く」と言えるのが羨ましかったりするのだが。天国と地獄に行く差、どうなのだろう)
朝晴は死んでから、家出して勘当状態の両親に会い、父と和解する。心が通じ会っていないから、父親には見えないと思う朝晴だったが、父親にもしっかり見えた。予想のついた展開だったが、このシーンに結構感動してしまった。特に、「この世に生んでくれたのに、先に死んでごめんなさい」と謝るシーンが。
本来、死んでからこんなにしっかり伝えることは出来ないから、大事なことはやはり生きているうちに伝えないといけない。
そして、幽霊が生きている人間に触れるとその生気を吸い取ってしまうと言う。
こうして考えると、人は死んでしまったら、生きている人に出来ることは何もないのだ。死んだら出来ないけれど、生きている時にした事は、その人の心に残る。    
だから、生きている時にしっかり伝える事は伝え、やるべき事はやらないといけない。そんな事を強く感じた。
しかし、死んだ恨みをはらす為に、生きている人に触って呪っている怖い幽霊もいたが…「スカイハイ」を思い出した。
でも呪いとかは、死んだ人の力ではなく、残された方の気持ちの問題だと思っているのだけれど。

<個人感想>
*福田麻由子 雨
小学6年で、雨と同じ年。
結構複雑な出生の秘密がある役だが、表情が豊に、等身大の雨を上手に演じていたと思う。子どもの持っている潔癖さがすごく感じられた。やっぱり大人とは違う…って当たり前だけれど。
*岡田達也  朝晴
こんな、ちょっと頼りない役が似合う。(死んで動き回る役も前にしていたよね)
感情を爆発させるシーンもあり、熱演だった。子どもとしての別れのシーン、親としての別れのシーン、それぞれ違う別れのシーンが印象的だった。
*暁子  岡内美喜子
ほんわかと柔らかい雰囲気の岡内さんで今回も同じ様な役かと思ったら、迫力のある所も見せてくれて、今までとはちょっと違う、岡内さんを楽しめた。
*楠見薫  霧子
始めに登場して、あれっ、キャラメルの人じゃない…と暫く考えてしまった。途中で楠見さんと気が付いた。表情豊過ぎ。ボリュームもあって…目がそちらにも行ってしまう…。でも、賑やかなキャラクターはキャラメルの雰囲気にも溶け込んで、違和感はなかった。キャラメルも結構、賑やかだから。
*畑中智行  北斗
「ほっくん」は、畑中さんのキャラクターに近いのだろうか。こんなちょっと抜けた、賑やかな役が多い。ちょっと悪そうにも見えるのだが。
*篠田剛  朝晴の父親
始めに自転車で登場した時は笑いが出る。どうも登場しただけで可笑しい、篠田さん。
でも、親子対面のシーンはしっかり雰囲気が変わっていた。そんなに頑固そうには見えなかったけれど、威厳は感じられた。どたばたの登場だったのに、ちゃんと威厳のある父親になっていた所は見事だと思った。
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