本棚7個じゃ足りません!

引っ越しのたびに蔵書の山に悩む主婦…
最近は二匹の猫の話題ばかりです

『イギリス職人ばなし』

2006年02月16日 | 


職人さんというと、
何となく尊敬の念が湧いてきます。

丁寧な仕事ぶりも勿論のこと、
秤や定規を使うわけでもないのに、
手や目が覚えていて、きっちり同じものを作れること。
教科書はない、
師匠の仕事や自分の経験から覚えるのだ、というところ。
凄いな、と思います。

イベント等で、職人さんがお仕事を実演していると、
つい観察したくなるのです。
無駄がない動きは、見ていて飽きません。
熟練の技はさすが、さすが。
てきぱきしていて、格好いいのです。

最近、耐震偽装問題やらライブドア事件やら、
東横インの不正改造やら、
誠実さのない商売が次々明るみに出ておりますが。
どんな職業でも責務を忘れず、
誰が見ても恥ずかしくない仕事をしてほしいものです。

『イギリス職人ばなし』塩野米松 晶文社 2001

この本には、
イギリスに住んでいる職人たちから聞いた話がまとめられています。
かの国でも、収入減、後継者難、伝統の消滅、
という日本と同様の問題があるようです。
(産業革命以来、手仕事の需要が減ったそうです)

昔に比べると、先行きが不安な職業でありますが、
この本に登場する職人さんたちは、
皆作ることに情熱を傾け、仕事に誇り持っています。 

 いい言葉が書いてあるんですよ。
技は買い手から教わるものなのです”とか。
(いい物を作ればお客さんは喜んでくれる、逆に不完全なものをごまかして売れば、一時は儲かるが、お客さんは戻ってこない、ということ)
大切なことは、出来上がったものを見て、それを楽しまなければなりません。もし、楽しむことができないのであれば何の価値もないのではないでしょうか”とか。
自分の心から、腕から生まれたものがますます良くなっていくということの喜び”とか。
世の中の流れは、速く、たくさん、安くという方向にいくんでしょうが、手作りの仕事はずっと残っていく”とか。
素朴だけど含蓄があって、
わたしの心の中にずっと留め置きたいと思いますが。
しかし前述した事件の関係者たちに読ませたくもあります!

語るのは、ビヤ樽職人、箒職人、釘鍛冶、鞴づくり職人、
コラクル舟職人、バスケット職人、屋根葺き師、町の鍛冶屋の8人。
それぞれが修行の仕方と仕事の過程について教えてくれます。
こだわりや、プロとしての考え方など、
日本にいる職人さんの話と変わりなさそうです。
著者によると、日本と異なるのは労働観だとか。
つまり、職人とは“生き方”ではなく“仕事”だと捉えていて、
私生活がないほど打ち込まない、
徒弟であっても24時間仕事漬けではない、という点だそう。 

 なんだかマンガの中の寿司職人みたいに、
“親方の技を見て盗め”だったり、
失敗すると容赦なく拳固が飛んできたりするのかな、
と思っていたのですが。
やはり師匠によって教え方は違うようで、
ビヤ樽職人さんの場合は、マスターから怒られたことはなく、
見るだけじゃやっぱり分からないから、言葉でも説明してくれた、
と話していました。
今は学校で学んだり、
インターネットや同業の仲間を頼りながら独学で、
という人もいたりして、現代らしいのです



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