金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

米ドル1ヶ月ぶりの安値、さて買いか様子見か

2013年07月29日 | 投資

昨日円に対して1ヶ月ぶりの安値を付け、通貨バスケットに対しては5週間ぶりの安値をつけたドル。ドル安の原因は連銀がドルの超低金利をもう少し引っ張ろうとしている、という観測が根強いからだ。

投資家は今日・明日のFOMCミーティングを注目してドルのロングポジションを落としている。連銀が低金利の持続を打ち出す可能性を見ている訳だ。もっと大きな注目点は今週金曜日の雇用統計だ。非農業部門雇用者増の市場予測は18.5万人で、失業率は7.5%に低下すると予想される。雇用統計の数字が良いと連銀の金融緩和策の転換が早まると考えられ、ドル金利の上昇→ドル買いという流れが起きそうだ。

日本では今日も株価が大幅下落。円高の進行が株価を下げている、と大方のアナリストはコメントしている。確かに日本株安と円高の間には、強い相関関係がある。しかし相関関係があるということは因果関係があることを意味しない。つまり円高は輸出企業の採算悪化を招くという実物経済に即した判断から日本株安を起こすが、日本株安がアジア株安など世界的な株安の引き金になると考える投資家はリスク資産を売って安全資産である円を買おうとする。よって円高が起きるという側面もある。

私は米国の景気回復が本物であれば、早晩連銀の超低金利政策は方向転換をするので、ドル金利は上昇し、ドル高の時代が来るという見方を基本的にしている。従ってドルについてはbuy in dip戦略でこの辺りからは少しドルロングに転じても良い、と考え始めている。

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「半沢直樹」ウソっぽいところもあるが面白い

2013年07月29日 | テレビ番組

日曜日午後9時からの人気ドラマがTBSの「半沢直樹」。視聴率は「あまちゃん」を抜いて今年最高の22.9%を記録した(7月28日)そうだ。私も昨夜初めて「半沢直樹」を観たので視聴率アップに貢献したかもしれない(笑い)。今まで私が観なかった(ワイフは私が他のチャンネルを占拠していた場合は録画して見ていたが)理由はウソっぽさである。昨夜の話に限っていうと、本店審査部+人事部が半沢課長の務める店に来て(裁量臨店)、半沢課長率いる融資課の吊し上げを図る。半沢課長を陥れる手段の一つが検査する側が提出されたファイルから重要な資料を抜き取り、その「資料」がないことで半沢課長を責めたことだ。だが半沢課長が逆襲にでてある検査官のカバンの中から抜き取った資料を見つける。ここで次週へ、という話。

私がウソっぽいと感じたのは、検査官が提出されたファイルから重要資料を抜き取り、資料がない責任を半沢課長に押し付ける場面ではない。少なくともこのような馬鹿げた話は私は経験したことはないので「リアリティに乏しい」とは感じるが、絶対にない話ではあるまい。

ウソっぽいと感じるのは、支店長が半沢課長など「検査される側」つまり被告側でなく、「検査する側」つまり検事側に座っていることである。この銀行の融資権限がどうなっているのかは知らないが、常識的には融資課長が億円を超える与信権限を持っていることはありえない。つまりそのような大きな金額の法人融資は総て支店長権限(あるいは本部の審査部長権限)で行われているのである。とすれば融資判断に関する責任者は支店長であり支店長は被告席にいるべきだ。その支店長が本部の検査官と一緒に検察側にいる、というのは余りにもウソっぽい、と私は感じた。

なんて文句を言ったが、来週以降また見てしまう可能性がある「半沢直樹」。視聴率の高さは堺雅人肯んじる半沢課長の「やられたら倍返し」というセリフの痛快さだろう。サラリーマン(ウーマンも)は会社の中で大なり小なり理不尽な目に遭う。手柄は上司が奪い、ミスは押し付けられる。「やられたら倍返し」はサラリーマンにとってカタルシスなのだ。水戸黄門の印籠を手にした角さんの「これが目に入らぬか」という決め台詞と一緒だ。世の中にはウソっぽくても面白いものはある。

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「国境を跨ぐ相続」面白かった原口弁護士のセミナー

2013年07月29日 | 社会・経済

先週木曜日(7月25日)に相続学会で原口総合法律事務所の原口所長による「国境を跨ぐ相続」というセミナーを行った。毎月学会で行なっているセミナーは技術的な話とモノの見方に関する人生論的な話の二つに分かれるが、原口弁護士の話は日本人が英国に保有する預金と不動産の相続に関わる技術的な話であった。英国の法制度の違いと相続に関する実戦的対策、というところはもちろん充実していて参考になるところ大だったが、英米の弁護士と日本の弁護士の違いなどが垣間見えて社会論としても興味深い内容だった。

まず本筋に関する原口弁護士の話をまとめると次のようなことになる。

1)日本人と英米人の交流、国際結婚、離婚、相続は日常的に多数発生している。国境を跨ぐ相続が生じた場合、不動産と動産(預金)は法律上、異なった取り扱いを受ける。とりわけ、不動産の所在地が英国ないし英国の旧植民地(米、カナダ、オーストラリア、香港、シンガポール、インドなど)に存在する場合は、その国の法律に従ってしか相続財産の分配を受けることができないので、専門家のアドバイスが必要である。

2)我が国の国際私法(通則法)は「相続は被相続人の本国法による」と規定している。一方英国の国際私法(抵触法)では、相続財産の内動産の(無遺言)相続の準拠法は被相続人の死亡時の住所地(domicile)によるとされるが、不動産の(無遺言)相続の準拠法は不動産の所在地法によるとされる。従って日本法でも英国法でも動産に関しては、実務的な取り扱いが異なることは少ないと思われるが、不動産については取り扱いが異なる。英国法では遺産は遺言執行者(無遺言相続の場合は裁判所が選任する選定管理人)が管理し、債務を弁済した後の残余財産だけが相続人に分配される。実務的には英国にある不動産の相続は英国法に従って行われると判断される。

3)従って英国法の国々に財産(特に不動産)を所有する場合は、国毎に遺言書を作成しておく方が良い。

さて本筋からは少し外れるが面白かった話は英国では「誰でも(弁護士の資格がなくても)弁護士的な仕事ができる」という話だった。また聴講者の中のある会計士さんからは「英国では日本の税理士法に該当する法律がないので、誰でも税務相談やコンサルができる」という補足説明があった。学会セミナーの聴講者の中には「士(サムライ)業」の人が多かったので、「自分たちは日本で仕事をしていて良かった」とホッとされた人もいただろう。

またニューヨーク州の弁護士資格を持つ原口弁護士からは「ニューヨーク州の弁護士資格は六大学の卒業生ほどの実力があれば誰でも取得できる」という話もあった。

日本では法曹界が司法試験合格者を増やすために試験のハードルを下げることに反対しているが、これは英米の実態とは逆の動きである。司法試験のハードルを下げないという法曹界の主張はギルドの参入障壁を高くして、新規参入者の侵入を防いでいると批判されているのである。

小泉内閣の時司法制度の改革の一貫として裁判員制度が導入された。次の規制改革は司法試験のハードルを下げることだと私は思うのだがいかがなものだろうか?

「国境を跨ぐ相続」など国際化した法律事案では、国内の法律の一言一言をまる覚えする暗記力よりも、柔軟な発想力や幅広い情報収集能力などが重要と思われる。事案のグローバル化に対応できる法曹人を作るような試験制度が望まれると私は考えている。そのためには沢山卵を産んで、強い個体を選ぶ方が良いのではないだろうか?

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Summer lullなら良いのだが・・・

2013年07月29日 | 投資

先週から下落が続いている日本株。円高の進行や中国経済の成長鈍化懸念から日本株が売られている。ブルンバーグTVによると、JPモルガン・チェースのストラテジストKoll氏は「日本はSummer lullに入っている」と言っている。Lullは「一時的な休み、小康状態」で、Summer lullは夏場で相場がダレた状態を指す。相場の参加者の中には夏休みを取る人が多い。また国会は9月半ばまで開かれず、新しい法案の提出もない状態だ。

Summer lullなら仕方がないと思うが、lullにはlull before the storm「嵐の前の静けさ」という表現もある。中国の成長鈍化が鈍化程度にとどまれば、慌てることはないが、もし「赤いリーマン・ショック」が起きるとこれはsummer lullでは終わらない。

だがもっと大きなリスクは日本にあるのかもしれない。それはアベノミクスが上手くいかないリスクだ。国の借金を増やして景気浮揚を図っても成功せず、借金増だけが残ると、日本は投資家の信頼を失い、金利は急上昇する。TPPなど政治のイニシアチブが問われる問題は山積みだ。本当は政治はsummer lullに入っている場合ではない、と市場は警鐘を鳴らしているではないだろうか?

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雨の五竜岳、大きく重たい山だった

2013年07月29日 | 

一ヶ月半ほど前「室町山の会」(私たちの山の会の名前)の夏山登山は五竜岳と決まった。「室町山の会」は元の会社の同僚を中心とした山仲間の会で、ビッグイベントとして毎夏日本アルプスの高峰を一つ登ることにしている。一昨年は穂高、昨年は剣岳に登ったので、深田百名山中の困難な山を上の方から登っていることになる。仲間がだんだん年を取るということを考えれば、難しい山から登るという選択もありだろう。そして今年は百名山の中から比較的アプローチが良くかつ少し歯ごたえがありそうな五竜岳をターゲットにした次第。

遠くから後立山連峰を眺めると、鹿島槍ヶ岳の秀麗な双耳峰や雪を冠った白馬三山をidentifyすることができ、その間にある比較的黒々とした山を「ああ、あれが五竜岳だな」と認識する。五竜岳は大きいが地味な山である。

深田久弥の日本百名山は次のように書いている。「北安曇から後立山連峰を眺めると、高さは特別ではないが、山容雄偉、岩稜峻れい、根張りのどっしりした山が眼につく。それこそ大地から生えたようにガッチリしていて、ビクとも動かないといった感じである。これが五竜岳だ。」

さて我々の登山に話を戻すと、7月26日(金曜日)新宿を午前11時に出発するあずさ特急で松本へ、松本からローカル線に乗り換えて、神城駅に午後3時45分ごろ到着。

神城ではセジュールミントというプチホテルに宿泊。

Sejiourmint

インターネットで見つけて初めて泊った宿だが、料理、部屋の作り、サービスなど中々良かったと感じた。旅行サイトなどで評判を見ると「オーナーのホスピタリティが低い」といった評価を見ることがある。たしかに一見すると奥さんからは冷たい印象を受けるが、少し話をすると気持ちの良い人だということが分かるので、私の評価ではホスピタリティは悪くないと思うのだが・・・・。

さて7月27日(土曜日)。午前中は曇りだが午後は雨という天気予報。午前7時過ぎにテレキャビンに乗って標高1,500mのアルプス平に向かった。さらに登山リフトを使って地蔵の頭の下まで登った。

Lift

7時50分登山開始

9時小遠見山(2007m)到着(5分休憩) 小遠見山は晴れていれば360度の展望が楽しめるところで、 アルプス平からここを往復するハイカーも多い。残念ながらこの日は雲が厚く、眺望は良くなかったが時々鹿島槍の一部が見え隠れした。

中遠見山に向かう途中鹿島槍が見えたので写真を1枚。

Kasimayari

10時8分 大遠見山

西遠見山に向かう途中、雲が少し切れてシラダケ沢の上部が見えた。目指す五竜小屋は雪渓の上のコルにある。

Goryuulodge

稜線上に小さな残雪があった。残雪に備えてピッケルを持ってきたがこれでは使うこともなく無用の長物に終わった。

Zansetu

10時55分 西遠見山到着。昼飯とする。

西遠見山(標高2268m)から白岳(2541m)の登りはこの日一番のチャレンジだ。

11時20分雲が切れて五竜岳が見えた。Goryuuピークは写真中央の雪渓の左だ。雪渓は「B沢」と呼ばれている。その右のピークがG2だ。

白岳の急登が始まる手前で五竜山荘がはっきり見えた。山スキーで滑ると面白そうな斜面だ。小屋に到着した後、山岳警備隊の人から話を聞いたところでは、五竜小屋から白岳(右のピーク)の下をトラバースして右手の残雪をたどって遠見尾根にでるルートは簡単なようだ。シラダケ沢を真っすぐ滑るルートは雪の状態次第だろう。

Siradake

12時15分 鎖場を登る。鎖を頼るほどの岩場ではないが、濡れた時の下降は要注意だ。

Siradalke2

13時五竜小屋到着(標高約2,500m)。当初の計画では天気が良ければ、五竜岳まで往復する予定だったが、チェックインを済ませたころ雨が降り始めたので、中止とする。

五竜小屋は300名を収容する小屋だが、この日ははかなり宿泊客が多く四畳半の部屋に我々全員8名が詰め込まれるという混雑ぶりだった。

あけて7月28日(日曜日)。午前4時28分。ヘッドランプを付けて五竜岳を目指して出発。午前5時28分頂上。霧雨で眺望はなくすぐ下山。五竜岳頂上下の鎖場では離合待ちでちょっと渋滞する。なおこの少し前鎖場から中年女性が滑落し、心肺機能停止となる事故があった、と少し後で聞いた。風に飛ばされそうになった雨具を追いかけて滑ったのではないか?という噂も流れていた。ただし現時点ではネットで検索しても事故のニュースは見ることができなかった。週末は山口県などの集中豪雨がビッグニュースだったから埋もれてしまったのだろうか?

午前6時30分小屋に戻り、朝飯(昨夜小屋で貰ったお弁当)を食べて、7時30分遠見尾根を下山することにして雨具に身を固めて小屋を出発(当初予定では唐松小屋から八方尾根を降る予定だった)。

8時38分 西遠見山。滑りやすく危険な岩場は無事通過することができた。ここから先は比較的なだらかな長い尾根がアルプス平まで続く。雨は完全に上がったが、標高2300m以上は雲の中だ。

9時17分 大遠見山

11時8分 先着隊がアルプス平到着。テレキャビン下から白馬駅までのタクシーを無線で予約して後続隊の到着を待った。

Cabin

11時55分 最後の2名がキャビン駅に到着。白馬で日帰り温泉に入り、14時38分のあずさ26号で帰京した。

五竜岳は中々大きな山であった。そして山の危険はすぐ目の前にあるということを教えてくれた重たい山でもあった。

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