中国が設立を提唱しているアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立メンバー参加呼びかけの期日が今月末に迫る中、英仏独等欧州諸国は参加を発表している。
米国はAIIBのガバナンスや融資方針が不透明だとして、距離を置いている。しかしその一方で世銀との協調融資を通じて、AIIBと協調していく姿勢を示していることが分った。
WSJによると、米国財務省のシーツ次官は「米国は国際金融構造を強化する新しい多国籍機関を歓迎するだろう」「世銀やアジア開銀のような既存の国際金融機関との協調融資プロジェクトは、質の高い、長年の経験を経た(融資)基準を保って行く助けになるだろう」と述べた。
つまりAIIBと世銀等を競争関係に置くのではなく、お互いに補完し合っていこうという提案である。
ワシントンの中国大使館のスポークスマンは「中国政府は既存の国際金融機関と協調していくことにオープンである」と述べ、協調融資プランに前向きであることを示している。また世銀は既に世銀とAIIBはどのように協調していくかということについて、深く検討を進めていることを明らかにした。
日本では先週金曜日に麻生財務相が、AIIBへの参加検討の余地があることを示唆した一方で、菅官房長官は一部の報道機関が財務相のコメントを日本が参加する可能性が高まったと解釈しているが、政府の立場に変化はないと述べた。
だが日本の政府高官が米国と世銀の動きを知れば(当然知っているはずだし、もし知っていないとすれば大問題だが)、日本のAIIBへの参加スタンスに変化がでるだろう。今週のちょっとした注目点だ。
もし世銀等とAIIBの協調融資が機能してくると、AIIBの融資方針や融資基準が明らかになり、やがて米国もAIIBに参加する可能性が高いと思われる。このあたりを良く見極めておかないと日本だけがババをつかむことになりかねない。
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