ESJにEverything screams inflation「総てがインフレを叫んでいる」という記事がでていた。
我々は何十年に一度という「インフレ抑制からインフレ容認」の転換点にいるかもしれないという内容だ。
筆者James Mackintosh氏は特に5つの点でインフレ容認シフトを指摘する。
1.米連銀を筆頭に中央銀行がインフレにあまり懸念を示さなくなったこと。
現在連銀は平均的なインフレ率2%というソフトターゲットを掲げている。これは数年にわたってオーバーシュート(2%を超えるインフレ)を容認し、過去の未達分を取り返そうとしていることを意味する。
2.政権が「今より多く使って将来より少なく支払う」政策を選好している。
コロナウイルス対策として各国が支援金を個人にばらまいたのがその典型。支援金は国債で賄われているからいずれ返済する必要がある。財源は税金だ。バイデン大統領は法人税の引き上げを示唆しているうまくいくだろうか?
もう一つの方法はインフレを起こして債務の実質価値を減らすことである。
だからインフレ圧力が働くのだ。
3.グローバリゼーションは時代遅れになった。
過去40年間拡大してきた自由貿易は、世界的な価格競争を促進し、物価の引き下げに寄与してきた。しかしグローバリゼーションはピークに達している。バイデン大統領はトランプ前大統領の保護貿易政策を継承し、EUは新しい炭素税を計画している。自由貿易が死に絶える訳ではないが、グローバリゼーションは鈍化している。
4.人口動態の変化
グローバリゼーションの効果は「安い発展途上国の労働力を実質的に自国の労働力に加える」ことだった。中国は世界の工場としてまさにその機能を担ってきた訳だが、中国の人口はピークかピークに近い状態だ。
5.ギグワーカーの組合化で賃金上昇圧力が高まる
インターネットで注文を受け自由に働くギグワーカーがこれまで賃金と物価の上昇を抑えてきた。しかしバイデン政権の支持を含めギグワーカーを組合化する動きが強まっている。
筆者はインフレが一気に加速すると考えるのは早計過ぎるが、インフレを主要なリスクと考えないでポートフォリオを構築することはクレージーだと結んでいる。
ワクチン接種など当面のコロナ対策が一段落した後で政治経済面の最大の課題はコロナ対策で膨らんだ国の債務をいかにして正常レベルに戻すかということだ。もし正常レベルに戻すことができないと次のパンデミックが起きた時お手上げになることは間違いない。国の債務を穏便に削減するにはインフレ政策しかないことは歴史が語っている。
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