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ウクライナ侵略戦はドンバス決戦を前に静かに推移・・・

2022年04月08日 | ニュース
 ロシアのウクライナ侵略戦争は続いているが、昨日は戦闘に関するニュースは比較的少なかったと思う。もちろん前線では戦闘はあるのだろうが、どんな異常事態でも持続しているとそのニュースバリューは減じるということがここでも起きているのだろう。
 外交面では幾つかの大きな動きがあった。国連の人権理事会はロシアの理事資格の停止を多数決で決議した。ただ私はこの決議に関して棄権した国の多さに少々びっくりした。賛成93、反対24,棄権58である。
 棄権した国々がどのような意見を持っているのかは知らないが、この戦争をウクライナを代理人としたNATO=アメリカとロシアの代理戦争ととらえ、ロシアにもそれなりの言い分があるだろうと考えている国があることは間違いないだろう。
 ウクライナのドミトリー・クレバ外相は「ロシアが東部地方で攻勢を強めるのでそれに備えてもっと武器を供与して欲しい」とNATO諸国に要請した。
 アメリカはこれまでウクライナ対して行ってきた地対空防衛ミサイルや対戦車砲などの武器供与数を始めて発表した。
 ウクライナ軍はキーフ攻防ではロシア軍を撃退した。武器の点では旧ソ連製のS-300という中長距離防衛ミサイル(ロシア版ペイトリオット)とSA-8という短距離ミサイル、スティンガーというアメリカのジェネラル・ダイナミックス社が開発した携帯式防衛ミサイルが活躍した。中長距離のミサイル防衛システムを回避して、低空で侵入すると携帯式ミサイルで攻撃されるので、ロシア空軍は苦戦を強いられてきた。
 その結果が首都キーフからの撤退と東部ドンバス地方への兵力集中となった。
 停戦交渉が頓挫気味の中、ロシアによる侵略戦争は長引くという予想を述べる専門家は多い。だが私は「長引く」という発言の中には自軍にとってプラス材料を引き出したいというポジショントークがかなり入っていると考えている。ウクライナ側としては「長引く」戦争に備えて一層の援助が欲しいし、ロシア側には国内の士気を維持する必要がある。
 だが私はおそらく来週あたりに激化するドンバス地方でのロシアの侵攻の成否がこの戦争の行方に大きな影響を与えるのではないか?と考えている。
 仮にロシア軍が撃退され占領地の確保が難しくなるとこれは全面的な敗北でさすがにロシア国内に反戦ムードが高まるだろう。
 一方ロシアがマリウポリを陥落させ、ロシアからクリミア半島につながる回廊を確保するとロシア側は「戦争目的」を達成したとして、和平交渉に臨むレバレッジを得ることになる。一方それでウクライナ側が折れるかどうかは分からないが。
 はっきりしていることはマリウポリを中心としたドンバスでの決戦の結果をみるまでは和平交渉は進まない、ただしその結果いかんでは戦争の流れがかわる可能性があると私は考えている。
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