昨日(1月28日)トルコ中銀はオーバーナイト貸出金利を7.75%から12%に4.25%引き上げた。市場では2.25%から3%程度の引き上げ幅を予想していたからかなり思い切った引き上げだった。この結果下落を続けていたリラは急反発(1ドル=2.253リラから2.2へ)。米国株は新興国の通貨が安定する兆しが見えたことを好感して上昇した。ダウは90.68(0.57%)ポイント上昇して15,928.56で引けた。
米国連銀は昨日・今日2日間FOMCを開催し、金融政策を決定する。最大の焦点は債券買取枠を減らすかどうかで、メインシナリオは100億ドルのテーパリング(量的緩和縮小)だと私は思っている。テーパリングが行われ、新興国に流入していた足の速い資金が流出するという懸念がこのところの新興国の通貨下落を引き起こしていた。このため新興国の通貨安定のために連銀がテーパリングを一時的に延期するのではないかという見方も出ていた。
だがトルコ中銀の通貨防衛に対する強い意志の表す積極的な政策金利引き上げは連銀のテーパリングを援護射撃すると私は感じている。
過去を振り返れば米国連銀の動きは世界中にさまざまな影響を与えてきた。たとえば3年前に始まった債券買取による超金融緩和策が穀物価格の高騰を招き、それがアラブ諸国の社会不安を引き起こし、アラブの春につながったという見方をする人もいる。
おそらく今回のテーパリングにそなえて他の新興国も政策金利の引き上げにより通貨防衛を図ることになるだろう。これは一時的な止血処置としては正しい。だが高金利は当然のことながら経済成長の足かせになる。経済成長の鈍化はまた社会的不安を高める。
米国経済は堅調なのでテーパリングを粛々と進めることは正しい。しかしその影響はまだ続きそうである。
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