菅首相の後任として有力視される前原前外相がFTのインタビューで向こう20年間で原発を段階的に廃止するべきだという見解を示した。また新しい原発の建設については基本的に中止するべきだと述べた。
前原氏のコメントは、原発危機が日本のエネルギー政策を全面的に変えるという予想を煽るだろうとFTは述べている。
前原氏は「どのように発電し、どのように使うかということについて革命的なシフトが必要」と述べている。
ところで前原氏は先月26日に神戸で行なった講演会では菅首相が脱原発に意欲を示していることに対して「今の民主党はポピュリズムに走りすぎている。私も20年先に原発をなくすことには賛成だ。だが振り子が急速に脱原発に触れた時、皆さんの生活がどうなるかを考えるのが本来の政治だ」と述べている。
前原氏は現在の原発依存度が3割及ぶことを踏まえて、直ぐに原発を廃止することはできないが、原発の安全性を高めながら10年から20年で原発依存度を減らすというものだ。
世論調査によると多くの国民は原発の段階的廃止を支持しているというから、前原氏の政策は「民意」にそったものといえるだろう。それをポピュリズムというかどうかは別として。
民主党も前政権の自民党も内部に原発反対論者を抱えながらも公式には原発推進を掲げてきた。だが支持率が比較的高い前原氏が段階的原発廃止論を掲げたことで、エネルギー政策が菅首相の後任選びの目玉になる可能性が出てきた。
ところで毎日新聞は仙石官房副長官が東電を発電会社と配電会社に分離するという秘密プランを支持していると報道している。もし前原氏が次の政権を担うことになると(本人は政治献金問題で辞任して以来非常に慎重になっているが)、発電・送電分離も進むかもしれない。
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エネルギー問題について、この夏の電力不足を乗り越えることができるかどうかが一つの試金石になるだろうと私は見ている。企業や家計が痛みを分け合いながらも、電力不足を乗り切ることができると脱原発論が高まる可能性は高いだろう。
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