8月22日午前ドル円為替レートは114円前半である。輸出企業の社内レートなどからみて座り心地の良さそうなレベルだが、これから相場はどちらに向くのだろうか?それが確実に分かれば苦労はしない。しかし市場参加者の思考方法を読むことである程度の推測はできそうだ。
まず安い円を借りて金利の高い資産に投資する「キャリートレード」を行っているヘッジファンドの動向だ。ファイナンシャルタイムズによると米国のある大手ヘッジファンドのパートナーは「ヘッジファンドはパニックに陥っている」と言い、ボラティリティが高い為替リスクを取ってキャリートレードを行わない意向を示している。
もう一つ見ておくべきことは、円の借入金利が上昇していることだ。月曜日にロンドン・インターバンク市場で3ヶ月の円の貸出金利は10bp上昇して1.0175%になった。これは12年振りの高水準だ。これはドルの変わりに円を調達しようとする動きのため金利上昇圧力がかかったものだ。
またドル金利には低下圧力がかかっている。話がそれるが米国では市場安定の向けてバーナンキ連銀議長・ポールソン財務長官・ドッド銀行委員長が3者会談を行い、市場安定のために何でもしようと話合っている。これを見ると世界で一番独立性が高い中央銀行である連銀もこう動くのか?という気もするが、ここにアメリカの危機管理の本質が見える。つまり緊急時には権限を集中して問題解決にあたるという危機管理の本質である。
話は横にそれたが、連銀が政策金利を引き下げる可能性はかなり高くなったと市場参加者は見ている。一方円金利については8月の利上げはないから、ドル円金利差は縮小方向に向いている。
外為市場のもう一つの参加者は日本の個人投資家だ。JPモルガンの佐々木氏によると、証拠金取引を通じて個人が円を売りたてている額は7兆円に上る。証拠金取引は通常証拠金の10倍程度の取引を行うから、7千億円位が証拠金になっている訳だ。多くの個人トレーダー達は115円のストップ・ロス・リミットにかかり、証拠金を失ったと考えられる。
問題は個人トレーダーが再び円売りに向かうかどうかだ。私見では110円を越えて大きく円高になると売りが出るが、現在のレベルでは円は売りにくいと見ている。
もう一つ気になる個人の動きは投資信託を通じて外債・外株を購入している個人の動きだ。高金利通貨の外債をダイレクトに購入している個人もこの中に含めてよいだろう。これらの投資家は長期資金を投入しているので、目先の為替相場の動きで解約に走ることは少ないだろうが、欧米の金利が低下してインカム収入まで下落してくると解約の動きがでるかもしれない。これは円高要因なのだが、そこまでは現時点では読み難い。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます