金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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アルケゴスショックの影響は限定的か?

2021年03月30日 | 投資
 タイガー・アジアファンドの元マネージャー ビル・ファン氏の運営するファンドが追証を払えずに、一部の投資銀行がポジションを強制的に回収したことで同ファンドが手掛けていたバイアコムなどの株価が大きく下落した。その影響を受けてクレディスイスと野村證券は大きな損失を被る可能性があると発表した。
 野村証券の株価は1日で16%下落し、クレディスイスの株価は13%下落した。
ビル・ファン氏はアルケゴスというファンドを使って百億ドルのファミリー資金を運用していた。
 ブルンバーグやWSJによるとアルケゴスは、スワップや差金決済を使ってバイアコムやディスカバリーの上場株に投資をしていた。
 アルケゴスは幾つかの投資銀行をプライムブローカーとして利用し、レバレッジ(現金や証券の借入)を使ってポジションを膨らませてきた。相場観が当たっている場合は儲けが大きいが、一旦賭けが外れるとマージンコール(追証)を求められる。アルケゴスが賭けていたバイアコムなどの株価下落で追証を求められたが、同ファンドは差し入れることができなかったために強制的にポジションを清算されたということだ。
 WSJによると同ファンドのプライムブローカーだったドイチェバンクは、損失を被ることなくポジションを解消したと報じている。
 アルケゴス清算劇の全貌は不明だが、クレディスイスと野村が損失を被る一方でドイチェバンクやゴールドマンなどは損失がでていないようだ。
 従って今のところアルケゴス清算の影響は限定的、とみておいて良さそうだ。なお投資銀行の中でうまく逃げた会社と大きな損失を被る会社に違いがでた。それが運によるものなのか、あるいはリスク管理の巧拙の差によるものなのかは今の段階ではあっきりしないと私は考えている。
 でも暫くして全貌が明らかになってくるとそれが運だったのか技術の差だったのかが明らかになるかもしれない。興味深い話である。
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