CNNの記事にFor everyone else, make a New Year's resolution to get into the 50 percent club.という文章が出ていた。Resolutionは決意で、New Year's resolutionは新年の抱負。「皆さん、50%クラブに入るという新年の抱負を持ちましょう」という意味だ。
50%クラブというのは、約半分のアメリカ人が株式投資をして豊かになっているので、もし株式投資をしていないのなら、あなたも株式投資を始めなさいという勧誘の言葉である。
これは米国の場合、総論としては正しい。2009年から米国株は約2倍上昇した。もっと長いスパンで見ると、1925年からの90年間の株式投資の平均リターンは10.2%(米国債のリターンは5.7%)だった。
しかし短期的に見ると株屋さんの言葉は、外れる場合が多い。
例えば一昨年末に、昨年の米国株S&P500の終値を予想した大手銀行アナリストの平均値は前年度比6%アップの2,185ポイントだったが、結果は2,043ポイント(前年比0.73%ダウン)に終わった。
私自身の投資行動を振り返ってみると、春先に野村証券の勧めで野村アセットが運用を始めた「日本企業価値向上ファンド」を購入したが、販売手数料を差し引くと年末の基準価格はマイナスになっている。
コンセプトとして「企業価値向上に着目したファンド」というのは面白いが、販売した時期が株価の高値圏に近かったため、苦戦しているのである。
思うに投資信託は「株価が上昇してくると投資を始めたくなる」人をターゲットとしているため、高値圏で新規ファンドが組成され、高値つかみが起きるのだろう。
多くの投資アドバイザーは、市場平均を買うインデックス運用を勧める。それはリスクの少ない株式投資方法だからだ。実際私も著書の中ではインデックス運用を勧めている。
だがもう一つの事実も知っておく必要がある。それはここ数年米国株が好調だったからといって、総ての企業の株価が一様に上昇した訳ではなく、アップル・グーグル・アマゾンなどの一部の株式が大きく上昇したことでマーケットを牽引したという事実だ。
もっともそれならば「インデックスを買わずに成長性の高い個別銘柄に投資すれば良い」というのは結果論に過ぎない。今まで相場を牽引してきたこれらの銘柄が今後も上昇を続ける保証はない(個人的にはグーグルやアマゾンにはまだ伸びしろはあると思うが)。
結局株式投資は余資の範囲で少しずつ行い、余資の中でも更にリスクの取れる資金で、これぞと思う成長銘柄を少し買ってしばらく寝かせておくというのが、スマートな方法なのだろう。
目先の儲けに汲々としていると、つい株屋さんの言葉に乗ってしまう危険性がある。これは昨年の少し苦い経験を踏まえた私のresolutionである。
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