アメリカ人は世論調査が好きである。私は時々その世論調査を読むのが好きである。
最近(5月23日)にギャラップは「アメリカ人が国防上、国軍の中でどの軍を重要と考えているか」「どの軍の名声が高いと考えるか」という調査結果を発表していた。これは1940年代から継続的に行っている調査の2014年版である。
その結果は次のとおりだった。
重要性
(%は一番重要だと考える人の割合 ()内は2001年5月の調査結果)
陸軍26%(18%) 空軍23%(42%) 海兵隊19%(14%) 海軍17%(15%) 沿岸警備隊3%(-)
2001年と2014年を比較して、大きく変わったことは、空軍より陸軍を重要だと考える人が増え、今では陸軍が一番重要な軍隊だと考えられていることだ。
逆転は2004年に起きている。これはイラクやアフガニスタンでの軍事行動を通じて、米国民が陸軍の重要性を見直したことによると解される。
海軍の重要性に対する認識は、2004年には9%の人が海軍が一番重要だと考えるまで海軍の重要性は低下していたが、オバマ大統領が2011年に発表したリバランス戦略の結果、海軍を一番重要と考える人は17%に増えた。
名声
(%は一番名声が高いと考える人の割合 ()内は2001年5月の調査結果)
海兵隊 47%(36%) 空軍17%(32%)陸軍15%(11%)海軍12%(14%) 沿岸警備隊2%(-)
2001年の調査では海兵隊は空軍に対して僅差でトップの地位に立ったが、その後差は拡大して今年はダントツのトップである。
ギャラップはその理由として「海兵隊が映画・テレビ等のメディアで際立ったプレゼンスを示した」「海兵隊は人数が少ないのでレベルの高いエリートと考えられている」ことを挙げている。
映画といえば、ソマリア沖で人質に取られたコンテナ船を海軍特殊部隊SEALsが救済した実話をベースにした「キャプテン フィリップス」という映画があったが、こちらは海軍の名声向上にあまり貢献しなかったようだ。
★ ★ ★
以下のことは私の気儘な意見であるが、アメリカ人の中には「攻撃」が好きな傾向を持つ人が多いことが海兵隊の名声につながっていると思う。というのは海兵隊は法律に基づき海外で軍事行動をもっぱらとする「攻撃部隊」だからだ。またアフガニスタン戦争でも死亡率が一番高かったことも名声の一つの要因だろう。
このような世論調査は人気投票的側面を持つとともに軍事予算の配分面でも影響力を持つのではないだろうか?などと考えると中々興味深いものがある。
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