テレビのコマーシャルを見ているとビズリーチなど転職支援企業が目につきますね。日経新聞の記事(今年4月)によると、今年の主要企業の採用計画では、中途採用比率は過去最高の37.6%に達しているそうです。これは2016年度の倍です。
中途採用者が増えているとはいえ、中途採用者の人数ベースでは今年約9.4万人の見込みですから、毎月4百万人を超える退職者がでるアメリカとは桁が違います。
大量の退職者が続くアメリカでは、この状況を「大量退職時代」と呼んでいます。
大量退職時代の到来は、「経済的な成功」なかんずく自宅の所有をアメリカンドリームと考えていた古いアメリカンドリームの終焉を告げているようです。
CNBCにGetting rich isn't the American Dream anymoreという記事がでていました。
記事によるとハイレベルのインフレと全国規模の消費者債務の拡大で経済的に裕福になることがより難しくなったため、価値観の転換が起きているということです。
記事によるとGoDaddy surveyが千以上の小規模企業オーナーに行った調査では、54%の回答者が「アメリカンドリームは幸福感を伴う」もので49%の回答者は「自分の情熱を追い求める自由」を伴うと述べています。
かって成功の証(あかし)であった自宅の所有は、4番目に落ちてしまいました。
自宅の所有がアメリカンドリームの象徴から転落した理由の一つは不動産価格が高騰し自宅を手に入れることが困難になったということが挙げられます。
またコロナウイルス感染拡大でリモートワークが拡大したことも影響しているでしょう。
ミレニアル世代(現在26歳~41歳位の層)の1/4は、生涯賃貸物件で過ごす予定だと述べています。
アメリカ人が蓄財して自宅を所有することを人生の目標にした時代は終わり、より自分のやりたいことをやるために生きるというライフスタイルを追求できるようになった背景の一つは、労働力不足で売り手市場が続いていることがあるでしょう。
つまり大量退職時代がアメリカンドリームを型にはまったものから、個人個人の夢の実現に変えているのです。
さてこれからの日本の働く人の夢はどのように変わっていくのでしょうか?
雇用市場の流動性の高まりに合わせて、より個人の自由を尊重するような社会が到来すれば良いのですが。