金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

アマゾンとの終わりのない戦い~当面アメリカの話だが

2019年11月26日 | ライフプランニングファイル

 先週末(11月24日)早い時間にイオンモールに出かけたところ、開店前から並んでいる人の列を見て驚いた。本場アメリカより1週間早いブラックマンデーセールが始まっていたのだ。特に買いたいものがないので、セールのチラシに目を通さなかったが、一部半額セールの商品もあるようですごい行列ができた訳だ。 

 ところで皆さんはブラックフライデーの由来をご存知だと思うが、行列に並んでいた人総てが由来をご存知だったかどうかは不明。NHKの「チコちゃんに叱られる」であれば、街の人にブラックフライデーの由来を聞いて答えられない人が多いと「ブラックフライデーの意味も知らないで、やれ半額セールだなどと騒いでいる人のなんと多いことか」ということになるのだが・・・・

 ブラックフライデーは、夏の終わりのBack to school sale以降売上が落ち込み赤字になっていた小売店が感謝祭の後のセール期間で黒字になるということに由来するそうだ(別の説もあるそうだが)。

 さて今日の本題にはいると本来は小売業にとって黒字回復のチャンスであるクリスマス商戦の前哨戦であるブラックフライデーが必ずしもそうはならないという話だ。その理由はアマゾンとの果てのない顧客取り込み合戦にある。

 ニューヨークタイムズによると、大手百貨店のメイシーズ、コールズ、ノードストロームの売上高はアマゾンの攻勢に対して何とか持ちこたえているが、これは同日配送を実施したり、婦人靴売り場でクラフト・カクテルを提供するといった顧客誘引策の効果によるもので、利益率は低迷している。ノードストロームの場合、営業利益率は8年前の半分に落ち込んでいる。

 ニューヨークタイムズは「アマゾンとの競争はずっとfair fight公平な競争ではなかった」と述べる。何故なら長年にわたりアマゾンは利益率を度外視した先行投資で顧客基盤を拡大し、更にサーバーのクラウドサービスの儲けを注ぎ込む形で配送ネットワークを拡大してきた。つまりAWSのような打ち出の小槌をもっていない伝統的な小売りチェーンではアマゾンとまともに勝負することは困難なのである。

そこでコールズが取った戦略は自社の約1,100の店で消費者がアマゾンで買った商品の返品を無料で受けるというサービス。これで客の流れを自社の店舗に呼び込もうという戦略である。果たして長期的に成功するのか、あるいは「庇貸して母屋とられる」のかどうかは分からないが。

日本ではドコモがアマゾンと提携し、ギガホ契約者にアマゾンプライムを1年間無料で提供すると発表している。

アマゾン、恐るべし。

 

 

 

 

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