追憶の彼方。

思いつくまま、思い出すままに、日々是好日。

慈善資本主義…(2)

2017年09月05日 | 政治・経済
2009年にアメリカ人が慈善寄付をした総額は3000億ドル(約33兆円)。日本の一般会計税収が37兆円程度であるから、その約90%に当たる金額である。
これをアメリカ人1人あたりの金額に直すと8万円強になる。この様な多額の寄付をする習慣はキリスト教の影響による処が大きいとされてきた。「上流階級の人間は上流である為には神から課せられた義務…高貴な義務…Noblesse obligeと呼ばれる精神が必要であり、社会に富を還元すること、つまり慈善事業や寄付文化は お金持ちの義務という考え方が必要である。」と言う思考である。
只最近の動向はそんな綺麗ごとだけでは無さそうだ。
かつてカーネギーが鉄鋼業と鉄道で巨万の富を築いたが、庶民から収奪して財をなしたとして、「盗人男爵(robber barons)」と呼ばれたが、カーネーギーホールや カーネギーメロン大学を造って汚名を晴らそうと腐心したと言われている。
アメリカの超富裕層は社会不安が人種差別から格差問題に飛び火し略奪や暴動、革命が起こりその矛先が自分達に向かってくることを真剣に恐れている。

社会における人々の所得分配の不平等を示す指標としてジニ係数が有る。国家内における所得水準の格差を示す指標で数値が「1」に近いほど格差が進行し不平等の度合いが高いとされ、「0」に近いほど平等な状態であることを示す。0.4が社会騒乱が始まる値で0.6になると暴動が起こると言われている。
ジニ係数が0になるような社会はありえない。それは努力しようとしまいと、結果が同じ社会で、なんの活力も生まれないし逆の意味で不平等の最たるものと言える。
日本は、0.336と、対象42ヶ国中21位となっている。ジニ係数が一番高い国は南アフリカ0.62。。。治安は非常に悪い。
スウェーデン・デンマークは0.26程で最も低い国だがここ最近上昇傾向にある。税金が高いが、福祉制度は充実している。
イギリス0.36-13位、アメリカ0.39-9位、日本も含め係数は右肩上がり、格差拡大が一層進んでいる。

余りにも行き過ぎた格差社会、更に進展を続ける格差の広がりに対する超富裕層の懸念というか一種恐怖に近い物が有るようだ。
アメリカ大統領トランプは米国内長者番付で113位、世界でも324位、内閣に金融を中心に富豪仲間を集め新内閣の資産総額は140億ドル超、世界各国のGDPランキング120位前後になると言われている。このような超富豪政府が白人貧困層に受ける公約を乱発するのは富裕層の懸念を代弁しているともとれる。
アメリカでは超富裕層向けの避難所ビジネスが出現しているとの報道がある。社会秩序の崩壊や核戦争でアメリカ社会が混乱に陥った際、安全な隠れ家を提供すると言うのを謳い文句にしている。冷戦時代に建設された核シェルター等を居住可能な住宅に作り替える、パイロット付の自家用機を購入し、カナダ、スウエーデン、ニュージランドに居住権、土地・住居を取得すると云った動きである。

ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットなどの大金持ちが、何千億円の巨額の寄付を行なっていることが往々にして美談として語られる。然し本当にそうだろうか、このような米国式のやり方を無批判に称賛するのは正しいのだろうか。

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