弁理士法人サトー 所長のブログ

弁理士法人サトーから法改正や事務所の最新情報を提供します。

著作権はよくわからない・・・

2015-04-09 16:12:37 | ちょっとひとやすみ
統一地方選挙の選挙運動真っ最中ということもあり、毎日、候補者の方が「お願い」、「お願い」を連発しています。
どちらかといえば、よりよい社会のためにこちらが「お願い」したいのですが・・・。

さて、そんな選挙運動のなか今朝ちょっとした疑問が湧きました。
通勤途中の住宅街。とある候補者が選挙カーでお約束の「お願い」をしていました。本来ならお願いの中身を聞くべきでしょうが、気になったのはBGM。この選挙カーでは、候補者のお願いスピーチのバックで音楽が流れていたのです。詳しくないのでわかりませんが、洋楽でした。
このような場合、音楽を流しても著作権法上の問題は生じないのか、というのが疑問です。
著作権法では、第30条からの第5款で「著作権の例外」として著作権が及ばない範囲が規定されています。例えば私的使用(30条)、学校等での複製(35条)などです。さらに、38条では「営利を目的としない上演等」として営利を目的としない(料金不要)なら上演等してもよい、となっています。確かに、選挙活動であればBGMを流してお金を取るわけではないので、38条で著作権が及ばないと考えることもできます。しかし、当選すればこの候補者は給料をもらうのですから、直接的でないとはいえ給料(料金)をもらうためにBGMを流していると考えることもできます。
今回は誰が歌っているか分からない(僕が知らない)洋楽でしたので気にならないといえますが、「ももクロ」や「嵐」などいわゆるヒット曲、それも楽曲発売直後のような曲を流してしまったらどうなるか、などと気になってしまいます。
それから、歌っている人と何らかの関係のある人かもと誤解する人もでてきたりしないのか、と気になったり。

その辺の道路で、窓を開けて大音量のラップやパンクなどを響かせているにーちゃんと同じで私的使用といわれればそうかもしれないし、選挙の候補者だから私的使用の範囲ではないともいえます。

結局、僕自身、著作権法を十分理解できていないだけでしょうが、よくわからずモンモンとして落ち着きません。
選挙カーのBGMは、著作権の例外に該当するのか、誰か知りませんか?
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新しいタイプの商標の出願状況

2015-04-06 17:04:10 | 知財関連情報(商標)
今回記事のタイトルと同じ内容のお知らせが特許庁のウェブサイトに出ていました。
4月1日から新しいタイプの商標として、先日お知らせした「色彩」及び「音」に、「ホログラム」などが認められることとなりました。
その改正法が適用された初日4月1日の出願件数が、上記のウェブサイトで公開されていました。

これを見る限り、総数が471件と思ったよりも少ない印象です。もっとバブルがやってくるかと思いましたが、様子見もあるのか低調です。

先日の記事でもお伝えしたように、「色彩」に関しては、これまでの文字や図形の商標を用いたブランディングの成果として「色彩」に商標的な価値が生じると考えられることから、今更「色彩」の商標を出願するまでもないとの感があるのかもしれません。
一方、「音」については、これまでの日本国内における商標の概念には無かったものですから、これから増加していくのかもしれません。

事務所の立場からは、出願件数の増加に結びつくかと期待したのですが、思ったより低調でちょっとガッカリです。


特許庁の記事のページ:http://www.jpo.go.jp/seido/s_shouhyou/new_shouhyou_jyoukyou.htm
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商標の対象が拡大!

2015-04-02 11:08:31 | 知財関連情報(商標)
実は、既に4月1日から新しい種類の商標の出願、登録が認められることとなりました。
新年度初日の忙しさで迂闊にもブログの更新を忘れてしまいました。
昨晩のニュースでも取り上げられていたので、ご存知の方も多いと思います。

今回の商標法改正で登録の対象となった商標は、「色彩」と「音」です。
今回は、「色彩」についてご紹介します。

「色彩」が対象と言われると、「赤」や「青」などの「色彩」が商標登録されると、その「色彩」を自由に使えなくなるのではとの誤解もあるようですがご心配なく。
商標は、その「色彩」だけで成立するのではなく、「色彩」と「商品・サービス」とが結びついて成立します。ですから、ある「商品・サービス」について「色彩」の商標登録があったからと言って、異なる「商品・サービス」に同様の色彩の使用が制限されることはありません。
下の例を見てみると、見覚えのある「色彩」だと思います。この「色彩」だけでは商標は成立せず、この「色彩」と「小売り(コンビニ)」とが結びついたとき、商標として成立します。
左端の「色彩」は「コンビニ」と結びついて「ローソン」となるのですが、「サッカーチーム」と結びつくと「サガン鳥栖」かもしれません。このように、「色彩」に結びつく「商品・サービス」によって、その商標を使用している商標権者が異なることがあります。
左端の「色彩」が「小売り」として登録された場合、同様又は類似の「色彩」をコンビニに使用すると商標権を侵害する可能性が出てきますが、「自動車」などには使用できるかもしれません。もちろん、ローソンがこの「色彩」についての商標登録の対象とする商品に「自動車」を含めている場合は商標権を侵害する可能性もあります。
したがって、単に「色彩」が商標登録されたからと言って、その商標登録の前提となっている「商品・サービス」と異なる「商品・サービス」については商標権が及ぶ可能性は低くなります。

一方、「色彩」の商標は「図形」や「文字」などのようにこれまでの商標と比較してシンプルなものですし、登録によって他者に及ぼす影響も大きくなります。そのため、登録されるための条件も厳しくなると考えられます。下の図のように一見してどこの事業者が分かる「色彩」の例はそれほど多くないと思います。
このような「色彩」は、文字の商標と組み合わせて長年育て上げることによって、ようやく「色彩」だけで商標的な価値を有するようになってきたものです。ですから、今思いついた「色彩」が商標的な価値(信用の蓄積)を生み出す可能性は低く、「色彩」を商標登録するためには長期的なブランディングを視野に入れる必要があります。
また、下の図は思いつきで僕が適当に作ったので実際の色彩とは異なります。登録される「色彩」では、使用している商標の色、割合(帯の幅)などがかなり厳密に審査されると思われます。このことからも、ブランディングが不十分な「色彩」は、登録されるチャンスが低いと思われます。

今回の商標となる対象の拡大によってビジネスチャンスが拡大する一方、制限を受けて自由な使用が困難になるおそれもあります。
サトー国際特許事務所には商標を専門とする弁理士(黒瀬)が所属していますので、疑問に感じられる点、不安を感じられる点などありましたら、遠慮無くお問い合わせください。その際は、「商標についての相談」であることを告げて頂くとスムーズです。

        
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