先日、「アップルがEV(電気自動車)に本腰」というニュースが配信されていたのをご覧になった方もいらっしゃると思います。
これについては、個人のFacebookで思うところをちょっとだけ書いてみましたが、より広く知ってもらうためにブログでも触れてみたいと思います。Facebookと重複する点もありますので、ご了承下さい。
記事の概略は、あのアップルがEVの開発に投入する資金を増大するといったものです。
僕自身、弁理士会で技術標準に関する調査研究を行なう委員会に参加している関係でこのブログでも技術標準に絡んだ記事が多くあります。
このように技術標準に携わっていると、自動車というのは比較的標準化が遅れている分野だと感じています。もちろん、タイヤの規格など、部品によってはISOやJIS規格が採用されている部分もあるのですが、車体の多くは各自動車メーカに独自の規格が採用されており、標準化といっても例えばコスト削減を目的として、上位車種から下位車種までスイッチの形状やサイズを統一するとか、同一のプラットフォーム(シャーシ)を用いる車種を増やすとか、自動車メーカ内の閉じた標準化にすぎません。
そのため、自動車メーカが異なるとほとんど部品が共通化(標準化)されておらず、ネジ1本ですら他社のクルマには利用できないこともあるようです。
近年では、低公害ディーゼルエンジンのコモンレールシステムのように、部品メーカが主導して部品の共通化を図ったり、自動車メーカ間でアライアンスを構築して共通化を図ったりする例が出てきていますが、他の業界と比較すると、ずいぶん遅れているように思います。
逆に言えば、この自動車メーカの独自規格が各メーカの個性を残し、我が国の自動車産業が世界のトップを維持できている理由なのかもしれません。
しかし、EVはこのような独自規格を維持する流れを大きく変える可能性があります。ハイブリッド車を含め従来の自動車は、核心となるエンジンやその周辺機器が単独で性能を発揮することがなく、複数の技術的な要素をうまく摺り合わせることによって、所望の性能を獲得できるという種類の技術です。すなわち、高性能なエンジンを開発する場合、エンジン本体だけでなく、これを支える燃料供給系や吸排気系、さらには制御系をうまく摺り合わせて調整する必要があります。そのため、部品を買ってきて、ポンと作り出すことはほぼ不可能です。
これに対し、EVは、電池とモータに制御ユニットがあれば、簡単に作ることができます。実際に、ラジコンなんかは、タミヤのコントローラつきのシャーシを買ってきて、マブチのモータを載っけて、パナソニックの電池につなげば簡単に走り出します。
EVは、車体が大きくなっただけで、このラジコンとたいした違いはありません。
そうなると、EVメーカは、既存の自動車メーカではない可能性は十分に考えられます。
実際に、アップルだけに限らず、「グーグル」や「アマゾン」なんかもEVの開発を目指しているとか、いないとか。
ここで心配なのは、自動車メーカの動向です。あまりに他社の動向ばかりを気にしていると、アップルやグーグルのような思わぬ大敵があさっての方向からやってくるかもしれません。
トヨタが燃料電池の技術に関する特許を開放したのも、あさっての方向からやってくるメーカを早めに発見するためだったのかな、と思ったりしています。
日本は、島国という特殊な環境にあるためか、他の技術との互換性が求められる標準化というものに理解が薄い気がします。まさにガラパゴスです。
EVなんかよりももっと大きな障害となるかもしれない「インダストリー4.0」についても、危機感をもって動いている日本人は少ないのではないでしょうか。「インダストリー4.0」については、別の機会に紹介したいと思いますが、これに対する日本人(日本企業)の鈍感さには危険を感じずにはいられません。
とはいえ、標準化がすべてに優越するわけでもないのが難しいところです。島国の日本だからこそ、周辺の環境の激変に晒されないよさもあるかもしれません。
日本のことをガラパゴスとして危機感を煽る評論家も多いのですが、アメリカなんて国境はカナダとメキシコだけで、実質島国ようなものです。特許制度をはじめとする社会システムやエンターテイメントなど、アメリカは巨大なガラパゴスのようなものです。
話が右往左往していますが、重要なことは、情報収集を怠らず、収集した情報を適切に分析して、常に不利にならない態勢を整えておくことだと思っています。当たり前といえば当たり前なのですが。
これについては、個人のFacebookで思うところをちょっとだけ書いてみましたが、より広く知ってもらうためにブログでも触れてみたいと思います。Facebookと重複する点もありますので、ご了承下さい。
記事の概略は、あのアップルがEVの開発に投入する資金を増大するといったものです。
僕自身、弁理士会で技術標準に関する調査研究を行なう委員会に参加している関係でこのブログでも技術標準に絡んだ記事が多くあります。
このように技術標準に携わっていると、自動車というのは比較的標準化が遅れている分野だと感じています。もちろん、タイヤの規格など、部品によってはISOやJIS規格が採用されている部分もあるのですが、車体の多くは各自動車メーカに独自の規格が採用されており、標準化といっても例えばコスト削減を目的として、上位車種から下位車種までスイッチの形状やサイズを統一するとか、同一のプラットフォーム(シャーシ)を用いる車種を増やすとか、自動車メーカ内の閉じた標準化にすぎません。
そのため、自動車メーカが異なるとほとんど部品が共通化(標準化)されておらず、ネジ1本ですら他社のクルマには利用できないこともあるようです。
近年では、低公害ディーゼルエンジンのコモンレールシステムのように、部品メーカが主導して部品の共通化を図ったり、自動車メーカ間でアライアンスを構築して共通化を図ったりする例が出てきていますが、他の業界と比較すると、ずいぶん遅れているように思います。
逆に言えば、この自動車メーカの独自規格が各メーカの個性を残し、我が国の自動車産業が世界のトップを維持できている理由なのかもしれません。
しかし、EVはこのような独自規格を維持する流れを大きく変える可能性があります。ハイブリッド車を含め従来の自動車は、核心となるエンジンやその周辺機器が単独で性能を発揮することがなく、複数の技術的な要素をうまく摺り合わせることによって、所望の性能を獲得できるという種類の技術です。すなわち、高性能なエンジンを開発する場合、エンジン本体だけでなく、これを支える燃料供給系や吸排気系、さらには制御系をうまく摺り合わせて調整する必要があります。そのため、部品を買ってきて、ポンと作り出すことはほぼ不可能です。
これに対し、EVは、電池とモータに制御ユニットがあれば、簡単に作ることができます。実際に、ラジコンなんかは、タミヤのコントローラつきのシャーシを買ってきて、マブチのモータを載っけて、パナソニックの電池につなげば簡単に走り出します。
EVは、車体が大きくなっただけで、このラジコンとたいした違いはありません。
そうなると、EVメーカは、既存の自動車メーカではない可能性は十分に考えられます。
実際に、アップルだけに限らず、「グーグル」や「アマゾン」なんかもEVの開発を目指しているとか、いないとか。
ここで心配なのは、自動車メーカの動向です。あまりに他社の動向ばかりを気にしていると、アップルやグーグルのような思わぬ大敵があさっての方向からやってくるかもしれません。
トヨタが燃料電池の技術に関する特許を開放したのも、あさっての方向からやってくるメーカを早めに発見するためだったのかな、と思ったりしています。
日本は、島国という特殊な環境にあるためか、他の技術との互換性が求められる標準化というものに理解が薄い気がします。まさにガラパゴスです。
EVなんかよりももっと大きな障害となるかもしれない「インダストリー4.0」についても、危機感をもって動いている日本人は少ないのではないでしょうか。「インダストリー4.0」については、別の機会に紹介したいと思いますが、これに対する日本人(日本企業)の鈍感さには危険を感じずにはいられません。
とはいえ、標準化がすべてに優越するわけでもないのが難しいところです。島国の日本だからこそ、周辺の環境の激変に晒されないよさもあるかもしれません。
日本のことをガラパゴスとして危機感を煽る評論家も多いのですが、アメリカなんて国境はカナダとメキシコだけで、実質島国ようなものです。特許制度をはじめとする社会システムやエンターテイメントなど、アメリカは巨大なガラパゴスのようなものです。
話が右往左往していますが、重要なことは、情報収集を怠らず、収集した情報を適切に分析して、常に不利にならない態勢を整えておくことだと思っています。当たり前といえば当たり前なのですが。