弁理士法人サトー 所長のブログ

弁理士法人サトーから法改正や事務所の最新情報を提供します。

新しい弁理士のご紹介

2017-05-26 14:29:32 | 事務所情報

このたび、サトー国際特許事務所に新たな弁理士を迎え入れました。

中川 勝吾 さんです。

すでに5月の上旬から勤務されています。
中川さんは、2005年に弁理士登録をされ、複数の大学の産官学連携本部において准教授等を歴任された経験をお持ちです。事務所に勤務する弁理士としては、異色の経歴ではないでしょうか。もちろん、特許や商標をはじめ、意匠における豊富な実務経験もお持ちです。
また、弁理士会では、技術標準委員会、著作権委員会等での活動経験をお持ちです。

クライアントのみなさまに対しては、中川さんの加入によって、すでに所属している弁理士とともに事業の発展に寄与するより多面的なアイディアをご提供できる態勢になったものと思います。

そして、現在、私たちサトー国際特許事務所では、クライアントへ新しい価値を提供することを目標として、特許事務所の既存の枠組みや業務にとらわれることなく、新しい事業の開発を進めています。中川さんのご経験は、このような事務所の取り組みに、新鮮な視点やアイディアを提供してもらえるものと期待しています。

ぜひ、サトー国際特許事務所をご活用ください。

特許業務法人サトー国際特許事務所
代表社員 所長 南島 昇


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JASRAC問題への勝手な提言

2017-05-17 11:12:30 | 知財関連情報(その他)

音楽教室から著作権料を徴収するという問題は、とうとう法廷へ持ち込まれることとなりそうです。音楽教室側とJASRAC側とで主張が平行線なので、法律で処理することは仕方が無いのかもしれませんね。

専門家の意見では、従来の判例にしたがうとJASRACの主張が有利ではないかという見解のようです。確かに、音楽教室は、楽曲を演奏することによって利益を得ているのは事実ですので、著作権料が発生するということについての争いはJASRAC有利でしょう。

さて、ここで法廷闘争とは別に私的な意見を述べたいと思います。
あくまでも弁理士個人のブログにおける勝手な意見です。

楽曲の演奏によって著作権料が発生するということについて、上記のように争いはないと思います。これについては、私としても異存はありません。
また、これが教育のためとか、利益の源泉とか、そういう議論についてはここでは触れません。つまり、法律的な論点については、何にも言うことはありません。

一方、著作権料の回収の仕組みについて、勝手な提案をしてみたいと思っているのです。
現在、摩擦の原因となっているのは、JASRACが既存の判例(カラオケ法理?)を利用して、音楽教室に対して著作権料の徴収を考えている点です。
ここでちょっと考えてみましょう。著作権料を徴収する団体は、JASRACに限られるのでしょうか?
つまり、今回の音楽教室における演奏活動について著作権料を徴収する団体は、JASRACでなくてはならないのでしょうか?
JASRACは、一般社団法人ですが、著作権管理事業法という法律に基づいて、著作権の管理業務を行なっているんですね。この法律によると、文化庁長官の登録を受ければ、著作権管理の事業を行えるようです(3条)。
そうすると、(可能か不可能かは別として)登録を受ければ、著作権料を徴収する団体はJASRACに限られないのではないでしょうか?

そうであれば、この音楽教室を運営している業界がJASRACと同じような管理団体をつくり、この管理団体で一括して著作権料を管理するという仕組みはつくれないのでしょうか。

そもそも、音楽教室は、楽曲を演奏するといっても、必ずしも聴衆に向けてものとは限らず、カラオケや一般的なライブ活動とは大きく性質が異なるように思います。また、演奏の対象となる楽曲も、比較的限定されるのではないでしょうか。特に、クラシックの場合、版によって色々な編曲があるとしても、その多くの著作権が切れていることを考えると、JASRACがのぞむ包括的な契約は難しいと思えます。
このように、音楽教室は他の音楽事業と性質が異なるからこそ、音楽教室における演奏に合致し、対象となる著作権者に対して公平に分配する仕組みを提供する団体をつくれば、演奏者にとってもクリエイターにとってもありがたいのではと思えるのです。

法廷による争いも一つの方策ですが、管理を事業の実情にあわせて多元化することも考えていいと思えるのですが。
結局、天下り先が増えるだけか?

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自動運転のワナ

2017-05-01 13:30:45 | ちょっとひとやすみ

5月に入り、早いところは既にゴールデンウィークに突入したようです。
今年は天気にも恵まれますので、自動車で帰省、ドライブという方も多くいらっしゃることでしょう。

最近では、「自動運転」がトレンドとなり、様々な最新技術が提案されています。
一方で、ちょっと前になりますか、某自動車メーカのディーラーが、ユーザに自動ブレーキで停止するまでブレーキをガマンさせて結果として衝突した、というニュースもありました。
「自動運転」に対する誤解が招いた事故と言えそうです。
今回は、そろそろこの事故のほとぼりも醒めたでしょうから、これに噛み付いてみたいと思います。

現状、自動車会社の技術力では、巷で言う「自動」で自動車を運転する技術は十分に確立していると思います。但し、これは、人間という不安定要素が絡んでいなければということ。例えば、高速道路に自動運転専用レーンを設けて、このレーンに自動運転対応車だけを投入すればほぼ間違いなく自動車同士の事故は防げて自動運転が可能になるでしょう。
しかし、人間(イヌやネコ、ときにはシカやイノシシ、酔っ払いもいるし。)という不安定要素が徘徊する市街地で自動運転を行なうのは限りなく困難だと思いませんか?

そもそも、現状だってみんなが正確に交通ルールを守れば、自動運転なんてなくてもほとんど事故が防げるでしょうし。
結局、今現在、研究されているのは「自動運転技術」ではなく、「運転者負担軽減技術」あるいは「運転支援技術」といえるのではないでしょうか。「車線を逸脱しません」とか、「車庫入れ自動」とか、「自動ブレーキ」とか、どれも「負担軽減」、「支援」であって自動運転ではないと思うのです。

ちょっと昔、ほとんどの自動車の変速機は「マニュアル」でした。シフトレバーをギコギコと速度に合わせて操作していました。そのちょっと前、自動車のガソリンは、インジェクタから噴射されるのではなく、キャブレターを使ってエンジンに供給されていました。ですので、燃料と空気の割合である空燃比は、「チョークレバー」を使って調整していました。子供の頃の自動車には、この「チョークレバー」があって、寒い冬のエンジンスタート時にはお父さんがチョコチョコ操作していました。
さらにその前になると、空燃比だけでなく、エンジンの点火時期も「進角」と「遅角」で操作していました。子供の頃のオートバイには、このレバーが残っていました。
こんな風に、自動車の制御は、40年前と比較してもずいぶん自動化されています。
これらは、いずれも「自動運転技術」ではなく、「負担軽減技術」、「支援技術」なんですね。

変速機の操作が不要になったり、空燃比や点火時期の制御はコンピュータが「自動」で行なってくれているだけでなんですね。
その延長線上で、「危険を察知したらドライバーよりも先にブレーキをかけよう。」とか、「ドライバーよりも先にハンドルを操作しよう。」という技術開発が進み、究極は家から目的地まですべて自動車側で操作しようとなっているわけですね。
あくまでも「負担軽減」、「支援」が目的だと思うのです。

ところで、この世の中、自動で運転できるものってあるのでしょうか。
みなさんご存知の飛行機。これは「自動操縦」が当たり前になり、パイロットはほとんどのケースで機器のオペレータになっています。しかし、この飛行機も、自動で「着陸」はできますが、自動で「離陸」させることはできません。離陸の操作は、パイロットが「手動」で行なうのです。
また、「新幹線」も自動運転ではありません。事故を防止するためのシステムは自動化されていますが、少なくとも「出発」は手動です。
例えば「ゆりかもめ」や「リニモ」のように極めて少数の交通機関で「出発」も「停止」も自動というシステムも存在しますが、実は少数派です。これらも、「軌道」という決められた領域を行き来するからこそ、「自動運転」ができているわけです。

「自動運転」という言葉が一人歩きしているために、ディーラーも勘違いして冒頭に書いたような誤解を招き、事故につながったように思います。
自動車の運転を完全自動化するには、自動車だけでなく、膨大なインフラ整備が必要になると思うのです。
まだまだ「自動運転」は遠いですね。

みなさんも「自動運転」ではなく、「負担軽減」、「支援」として最新技術を利用すれば、GWのドライブも楽しめることと思います。

それでは、安全で楽しいGWをお過ごしください。

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