弁理士法人サトー 所長のブログ

弁理士法人サトーから法改正や事務所の最新情報を提供します。

TBT協定

2015-03-30 16:40:30 | 知財関連情報(特許・実用新案)
2000年代以降に弁理士試験を受験した人であれば、WTOの附属書1Cに「TRIPs協定」があるのはご存知だと思います。
このWTOの附属書には、さらに多くのものが含まれているのですが、附属書1Aに「TBT協定」という協定が含まれています。

TBT協定は、簡単に説明すると、技術的な規格が貿易上の支障とならないように国際的な標準規格の策定を透明化し、各加盟国が国際的な標準規格を採用することを求めるものです。もっとざっくりと説明すると、各加盟国は技術的な規格について国際的な標準規格を採用するように、という協定です。

日本の場合、技術的な規格として広く採用されているものに「JIS」があります。様々なメーカーさんの場合、まずはJIS規格に準拠することを前提に製品作りを進められると思います。しかし、この「JIS」は、あくまでも日本国内における国内規格であり、国際規格ではありません。そのため、「JIS規格」の製品は日本国内では問題なく技術的な適合性を有していても、日本以外の国々では適合しないことがあります。これは、日本から輸出する側、日本が輸入する側の双方にとって貿易的な障害となります。
そこで、国際的な規格を策定し、技術製品(工業製品)についてはこの国際的な規格に準拠して製造するように、と求めているのがTBT協定といえます。

国内規格の代表例を「JIS」とすると、国際的な規格で代表的なものには「ISO」、「IEC」、「ITU」などがあります。複数の標準規格があるのは、技術分野に応じて規格が策定されているからです。

TBT協定は、国内で流通する製品に国内規格を用いることについては問題としていませんが、貿易に関わる国際的な商取引の対象となる製品については国際規格を用いることを求めています。また、国内での規格を策定する場合でも、国際規格に準拠した規格の策定が求められています。
特に大きな問題となるのは、政府調達に対する強制性です。加盟国の政府やこれに相当する機関が技術導入をする場合、国際規格の採用が強制されます。
一例では、10年ほど前に、JRでは大規模なICカードによる運賃の精算システムを採用しました。いわゆる「Suica」です。この「Suica」で採用した「フェリカシステム」は、当時、国際的な標準規格ではありませんでした。そのため、欧米の諸団体から異論が出され、「フェリカシステム」による「Suica」の導入が危ぶまれることとなりました。これは、「近距離無線通信」の技術的視点で「フェリカシステム」を国際的な標準規格としたことで、「Suica」への「フェリカシステム」の採用が認められ、無事導入されました。

このように、現在では、海外において製品を広く流通させていくためには、単に特許で技術を保護するという観点だけでなく、技術的な標準規格への準拠・策定に関する知識も必要となっています。

サトー国際特許事務所では、上記のような標準化についてのご相談やセミナーの開催についても対応します。
遠慮なくお問い合わせください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

弁理士・特許技術者募集中

2015-03-26 13:08:19 | 事務所情報
昨年からずっと弁理士・特許技術者の募集を継続しています。
経験者だけでなく、未経験者でも歓迎します。

サトー国際特許事務所は、ウェブサイトの案内にもあるように昭和43年に開業した名古屋では比較的老舗の特許事務所です。お客様にも恵まれ、40年以上営業を続けています。一方でこの長い歴史とともに事務所の所員の世代交代が始まっています。創業者とともに事務所の発展に尽力されたベテランの方々が定年に到達しはじめ、退職される方が増えてきました。
そこで、世代交代を考えて若いフレッシュな人材を補充したいとずっと考えているのですが、なかなか応募がありません。
近年、特許事務所業界の不景気な話が知財業務に興味がある方にも届いているのか、参入される方があまりいません。
特に、当事務所のように歴史のある事務所は、古めかしく形式張っているような先入観があるのか、敬遠されているのかもしれません。

そんな背景を考えながら、ここで当事務所のいいわけと期待を書いて、少しでも当事務所に興味を持って頂いて応募につなげたいと思います。
私(南島)は、2012年にこの事務所を引き継ぎ、現在に至っています。老舗の事務所を継ぐとなると大ベテランかと思われるかも知れませんが、まだ50歳まで数年の猶予がある40代です。そして、所内の弁理士は創業者の会長を除くと30代(2人)、40代(3人)、50代(1人)となっていて、結構若い人が多いのです。
ちょうど世代交代の時期ですから、これから新しい事務所を作っていくのと同じように多くのことにチャレンジできる機会があると思っています。
私自身、これまでの特許事務所ではなく、新しい次世代に対応できる特許事務所のスタイルを模索しています。一緒に考え、新しい特許事務所を創造していける人を求めています。
結論として、若くて既成概念を打破する柔軟な人、求めています。

ところで、世間の女性の弁理士が増えたとはいえ、特許事務所は男性中心だろうという指摘、当事務所でも例外ではありません。
弁理士は全員男性ですし、技術的な補助業務を行なう方も男性ばかりです。
でも、事務所の事務の方は、ほとんど女性です。ですから、当事務所では、女性の方に働きやすい職場を提供するために様々な制度を設けています。出産休暇や育児休暇などの法的な制度だけでなく、小学校を卒業するまでの間、個々の要望に沿って柔軟に対応しています。性別に関係なく、働きやすい職場を提供するように努めています。
特に弁理士は、自分のペースで仕事ができるように裁量を認めています。子育てをしながら、介護をしながら、仕事と家庭とを両立できるように、事務所としても支援します。
結論として、性別は関係なく、歓迎します。

技術分野ですが、当事務所は、設立の経緯から電気・電子関係の仕事を多く受注しています。自動車産業や繊維産業が中心の東海地方では、特色のある事務所です。
もちろん、地域性にあわせて機械の仕事も得意です。おおまかな優先順位としては、電子-電気-制御(ソフトウェア)-材料-機械といった感じでしょうか。
とにかく、電気・電子に対応可能な方、大、大、大歓迎です!

ここまでお読みになって興味を持たれた方、ぜひ当事務所ウェブサイトの求人情報へアクセスしてください。
http://www.sat-patent.com/
もっと伝えたいことはあるのですが、今回はここまで。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Facebookをはじめました

2015-03-24 16:11:09 | その他の情報
サトー国際特許事務所のフェイスブックをはじめました。
ウェブサイトのトップページから、リンクしていますので、ぜひご利用下さい。

ブログでは重量感のある情報、フェイスブックでは機動性のある情報を提供していきたいと考えています。
これからもサトー国際特許事務所をよろしくお願いいたします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

J-PlatPat

2015-03-23 16:32:44 | その他の情報
先日の記事でもお伝えしましたように、3月23日からJ-PlatPatの運用が開始されました。
幸い、検索用のインターフェイスに大きな変化はなく、自分を含めこれまでIPDLを利用していた方々が困ることはなさそうです。
一方で、テキスト検索から抽出した出願について経過情報が確認できるなど、機能はずいぶんと進化しています。

これまでの知識やノウハウが生かせるのでとりあえず安心です。

J-PlatPatのトップページはこちら。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

IPDL廃止→Jplatpatへ移行

2015-03-18 16:54:43 | その他の情報
簡易的な調査を行なう場合、INPITが運営する特許電子図書館(IPDL)を利用される方は多いと思います。
このIPDLのサービスは、3月20日22時で終了します。
今後の同様のサービスは、J-PlatPat(プラットパット)へ移行します。3月23日9時から運用開始です。

既にご存知の方も多いかもしれませんが、3月23日にリンク切れ、ということもありますのでご確認を。

経産省の案内サイト:http://www.meti.go.jp/press/2014/03/20150316001/20150316001.html
特許庁の案内サイト:http://www.jpo.go.jp/torikumi/chouhoyu/chouhoyu2/tokkyo_platform.htm
INPITの案内サイト:http://www.inpit.go.jp/info/j_platpat_info/oshirase/oshirase00001.html

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする