2000年代以降に弁理士試験を受験した人であれば、WTOの附属書1Cに「TRIPs協定」があるのはご存知だと思います。
このWTOの附属書には、さらに多くのものが含まれているのですが、附属書1Aに「TBT協定」という協定が含まれています。
TBT協定は、簡単に説明すると、技術的な規格が貿易上の支障とならないように国際的な標準規格の策定を透明化し、各加盟国が国際的な標準規格を採用することを求めるものです。もっとざっくりと説明すると、各加盟国は技術的な規格について国際的な標準規格を採用するように、という協定です。
日本の場合、技術的な規格として広く採用されているものに「JIS」があります。様々なメーカーさんの場合、まずはJIS規格に準拠することを前提に製品作りを進められると思います。しかし、この「JIS」は、あくまでも日本国内における国内規格であり、国際規格ではありません。そのため、「JIS規格」の製品は日本国内では問題なく技術的な適合性を有していても、日本以外の国々では適合しないことがあります。これは、日本から輸出する側、日本が輸入する側の双方にとって貿易的な障害となります。
そこで、国際的な規格を策定し、技術製品(工業製品)についてはこの国際的な規格に準拠して製造するように、と求めているのがTBT協定といえます。
国内規格の代表例を「JIS」とすると、国際的な規格で代表的なものには「ISO」、「IEC」、「ITU」などがあります。複数の標準規格があるのは、技術分野に応じて規格が策定されているからです。
TBT協定は、国内で流通する製品に国内規格を用いることについては問題としていませんが、貿易に関わる国際的な商取引の対象となる製品については国際規格を用いることを求めています。また、国内での規格を策定する場合でも、国際規格に準拠した規格の策定が求められています。
特に大きな問題となるのは、政府調達に対する強制性です。加盟国の政府やこれに相当する機関が技術導入をする場合、国際規格の採用が強制されます。
一例では、10年ほど前に、JRでは大規模なICカードによる運賃の精算システムを採用しました。いわゆる「Suica」です。この「Suica」で採用した「フェリカシステム」は、当時、国際的な標準規格ではありませんでした。そのため、欧米の諸団体から異論が出され、「フェリカシステム」による「Suica」の導入が危ぶまれることとなりました。これは、「近距離無線通信」の技術的視点で「フェリカシステム」を国際的な標準規格としたことで、「Suica」への「フェリカシステム」の採用が認められ、無事導入されました。
このように、現在では、海外において製品を広く流通させていくためには、単に特許で技術を保護するという観点だけでなく、技術的な標準規格への準拠・策定に関する知識も必要となっています。
サトー国際特許事務所では、上記のような標準化についてのご相談やセミナーの開催についても対応します。
遠慮なくお問い合わせください。
このWTOの附属書には、さらに多くのものが含まれているのですが、附属書1Aに「TBT協定」という協定が含まれています。
TBT協定は、簡単に説明すると、技術的な規格が貿易上の支障とならないように国際的な標準規格の策定を透明化し、各加盟国が国際的な標準規格を採用することを求めるものです。もっとざっくりと説明すると、各加盟国は技術的な規格について国際的な標準規格を採用するように、という協定です。
日本の場合、技術的な規格として広く採用されているものに「JIS」があります。様々なメーカーさんの場合、まずはJIS規格に準拠することを前提に製品作りを進められると思います。しかし、この「JIS」は、あくまでも日本国内における国内規格であり、国際規格ではありません。そのため、「JIS規格」の製品は日本国内では問題なく技術的な適合性を有していても、日本以外の国々では適合しないことがあります。これは、日本から輸出する側、日本が輸入する側の双方にとって貿易的な障害となります。
そこで、国際的な規格を策定し、技術製品(工業製品)についてはこの国際的な規格に準拠して製造するように、と求めているのがTBT協定といえます。
国内規格の代表例を「JIS」とすると、国際的な規格で代表的なものには「ISO」、「IEC」、「ITU」などがあります。複数の標準規格があるのは、技術分野に応じて規格が策定されているからです。
TBT協定は、国内で流通する製品に国内規格を用いることについては問題としていませんが、貿易に関わる国際的な商取引の対象となる製品については国際規格を用いることを求めています。また、国内での規格を策定する場合でも、国際規格に準拠した規格の策定が求められています。
特に大きな問題となるのは、政府調達に対する強制性です。加盟国の政府やこれに相当する機関が技術導入をする場合、国際規格の採用が強制されます。
一例では、10年ほど前に、JRでは大規模なICカードによる運賃の精算システムを採用しました。いわゆる「Suica」です。この「Suica」で採用した「フェリカシステム」は、当時、国際的な標準規格ではありませんでした。そのため、欧米の諸団体から異論が出され、「フェリカシステム」による「Suica」の導入が危ぶまれることとなりました。これは、「近距離無線通信」の技術的視点で「フェリカシステム」を国際的な標準規格としたことで、「Suica」への「フェリカシステム」の採用が認められ、無事導入されました。
このように、現在では、海外において製品を広く流通させていくためには、単に特許で技術を保護するという観点だけでなく、技術的な標準規格への準拠・策定に関する知識も必要となっています。
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