弁理士法人サトー 所長のブログ

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ブランディングによる価値の創造-近大マグロ

2015-04-13 16:02:08 | ちょっとひとやすみ
あなたは「天然」の魚と「養殖」の魚とどちらが好きですか?
という問に対して、多くの人が「天然モノ」と答えるのではないでしょうか。
一昔前では、養殖魚というと「脂がくどい」とか「独特の臭いがニガテ」とか、敬遠されたものです。今でも、スーパーの魚売り場では「天然魚」と大きく表示されますし、回転寿司でも「天然モノ」と特別扱いです。
地域団体商標でも、「関サバ」や「関アジ」などが登録されていますが、もちろん商品は天然モノです。他にも「氷見寒ブリ」などが地域団体商標を目指しているようですが、こちらも天然モノです。

ところが、最近、この「養殖モノ」の魚をウリにしている、裏を返すと「養殖モノ」の魚しか提供していないにも関わらず、人気爆発中のお店があります。
ご存知の方も多いと思いますが「近畿大学水産研究所」、そう「近大マグロ」で有名な近畿大学のお店です。
このお店は東京の銀座と大阪の梅田にあり、どちらも予約が取りにくいお店として知られています。
本来であれば「養殖モノ」として消費者から「天然モノ」よりも格下に見られやすい商品を、「近畿大学水産研究所」や「近大マグロ」としてブランディングすることにより、従来の「養殖モノ」では考えられない商品の価値を創造しているのです。「近畿大学」という学校名と、「マグロ」という魚の名前とを組み合わせるという一見すると無茶なネーミングで消費者に大きなインパクトを与えることもできています。
このお店のお客さんは、わざわざ「養殖モノ」を食べたくてやってくるわけです。最初は興味本位かもしれませんが、食べてみると「天然モノに負けないね。」という印象を持てばリピーターになり、口コミでお客を増やしてくれるかもしれません。
そして、養殖モノは、飼育が管理されていますから、いつでも安定した高品質の商品を提供できるという商品的な強みもあります。その結果、「天然モノ」に負けない強力なブランド力を獲得したのではないでしょうか。

このように、ブランディングは、従来では考えられなかった価値を創造することもあります。
ちなみに、大阪の「近畿大学水産研究所」でこの「近大マグロ」をはじめとする養殖魚を食べてみましたが、天然モノと違いがわかりません。
天然マグロは一部を除き遠い外洋で捕れた魚を冷凍で運んでくるわけですから、近海で養殖され冷凍されていない養殖マグロは十分に競争力があるのかもしれません。
コメント
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