OMOI-KOMI - 我流の作法 -

For Ordinary Business People

小樽殺人事件 (内田 康夫)

2022-09-15 11:56:49 | 本と雑誌

 ちょっと前、久しぶりに内田康夫さん「札幌殺人事件」を読んだのですが、その流れで手に取ってみました。“北海道つながり” です。

 今回の舞台である小樽は、私も何回となく訪問したことがあります。
 最初は学生のころなのでもう40年以上前ですし、その後、会社の仕事でも何度も行きました。直近では、数年前にプライベートでも訪れています。北の街ならではの旅情が漂ういい街ですね。

 浅見光彦が立ち寄った「北一硝子三号館」は、初めていくと誰もが驚くほどの“ガラス製品”がずらっと並んでいて圧倒されます。また、その一角、石造りの蔵を改造した「北一ホール」も登場していましたが、実際とても風情のある空間で、その雰囲気は描かれたシーンに相応しかったように思います。

 こういった感じで、自分自身も実際に訪れたことのある場所で主人公たちが動き、ストーリーが進んでいくと、一気に作品への親近感が沸き上がります。
 この体験の共有は、“旅情ミステリー”というジャンルが人気を保ち続けているひとつの重要な要素ですね。私のような “ミーハー” は簡単にその術中にはまってしまいます。

 さて、本作品ですが、ネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、浅見光彦シリーズの中ではかなりオーソドックスな作りだと思いました。登場人物も、舞台も、結末の持っていき方も、さらには意外性の程度も。
 ただ、物語の半ばあたり、伏線となる小道具の使われ方で、犯人がほぼ想像できてしまう場面がありました。これにはびっくり、ちょっと珍しかったですね。

 

 

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〔映画〕ロード・オブ・ザ・リング

2022-09-14 10:40:43 | 映画

 
 「指輪物語」を原作とした三部作の第1作目です。
 
 この作品、かなり以前に一度観ているのですが、まったく記憶に残っていませんでした。
 
 唐突に映画は終わってしまうのですが、そもそも一つの物語を3つに分けているので、「それぞれのパートで少しでも一区切りをつけるような工夫」など全くなされていないんですね。
 今は配信サービスですぐ第2作目も観ることができますが、最初に公開されたときには、観客も次作の公開まで延々と “欲求不満”に苛まれたことでしょう。
 
 まあ、そういう状態なのでストーリー自体の評価はできませんが、映像の出来については流石にしっかりと作り込んでいるようには感じました。
 
 まだまだ先の長い物語ですが、これなら大いに期待できそうですね。

 

 

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〔映画〕弥生、三月 -君を愛した30年-

2022-09-13 15:22:36 | 映画

 
 オリジナル脚本の作品のようです。
 
 ストーリーで見せるというよりは、登場人物のプロットで迫る感じですね。
 
 その点では、成田凌さんの役柄はちょっと弱かったかもしれません。
 エピソードとしては波瑠さん役の方が圧倒的に山あり谷ありで、このあたり波瑠さんの演技力が大いに活きたように思います。とても良かったです。
 
 ともかく、主人公たちが高校生のころから34年間を同じ役者さんが演じているわりには、その違和感はなかったですね。まあ、さすがに最後のころ50歳過ぎているようには思えませんでしたが・・・、まあこれは止む無しでしょう。

 

 

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生きがい (茂木 健一郎)

2022-09-12 11:33:48 | 本と雑誌

 いつも利用している図書館の新着本リストで目に付いた本です。

 茂木健一郎さんの著作は以前結構読んでいたのですが、このところちょっとご無沙汰でした。

 本書は、海外に向け英語で記されたものの翻訳版とのこと。そういった形態は新渡戸稲造の「武士道」を思い起こさせますが、イギリス留学の経験もある茂木さんが「生きがい」という概念をテーマにどんな立論を展開するのか興味を抱き、手に取ってみました。

 茂木さんは「生きがい」という概念と「日本」との関わりについて、こう語っています。

(p183より引用) 〈生きがい〉という概念は、日本で生まれたものだ。しかしながら、〈生きがい〉は国境を遥かに超えて深い意味を持っている。日本文化がこの点で何かしら特別だと言うのではない。ただ日本に特有の文化的条件と伝統が〈生きがい〉という概念を育むに至っただけである。

 この「日本に特有の文化的条件と伝統」を示すために多くの具体的な例をあげているのですが、そのあたりは“日本人の特性”=“日本人論”の紹介の色合いが濃くなっています。ただ、その論考の端々には、やはり“日本(人)の特殊性”を強調したような従来型の「日本人論」が感じられました。
 日本人の特性を説明する材料として「ラジオ体操」「寿司」「陶器」・・・を取り上げていますが、今のご時世、どれも「日本人一般」に馴染みのあるものではありません。それらと接点のある“一部の人々の特質”の根拠にしかならないでしょう。

(p56より引用) おそらく完璧なフルーツへの日本人の愛情は、はかないものへの信仰の投影だ。日本人が毎春、桜の花が咲くのを楽しむ「花見」が良い例である。日本人は人生の中の一瞬の物事を真剣に取り上げる。完璧なマンゴー、厳かなマスクメロンを食べるときは、その瞬間から消えていく喜びだけがあって、数分しかかからない。

 といったコメントも、“ためにする例示” のようです。“日本人は人生の中の一瞬の物事を真剣に取り上げる”という指摘も、どうにも旧態然とした「ステレオタイプ」の日本人像に留まっているように思います。

 とはいえ、もちろん興味深いコメントも数多くありました。
 たとえば、「行為の価値」について、

(p100より引用) 人生では、我々は時に、優先順位や価値の置き方を間違える。特に我々は報酬を得るために何かをしがちである。もしも報酬が見込めないならば、がっかりして、仕事に対する興味と情熱を失ってしまう。これはまったく間違ったアプローチなのである。通常、行為と報酬の間には時差があるものだ。あなたが良い仕事を成し遂げたとしても、報酬は必ずしも与えられるとは限らない。受け入れられ、認められるというのは、確率論的にしか起こらず、自分がコントロールできるものを超えて、たくさんの要素に依存することなのだ。もしも努力する過程こそを自分の幸福の第一の源にできたなら、あなたは人生の最も重要な課題に成功したことになる。

 また、「勝ちに重きを置く価値観」について、

(p117より引用) 言うまでもなく、トップの数少ない人々だけに重きを置く価値体系は、持続可能ではない。誰かがトップになるためには、誰かが犠牲にならねばならないのだから。グローバルな文脈の中で競争することがますます強要されている今日の世界では、我々は、この競争に勝たねばならないという強迫観念を抱いていることの意味と影響を、よく考える必要がある。勝つことを目指す精神性は、偉大なるイノベーションをもたらすことがある。そして同じ精神性が、個人と社会の両方に、過剰なストレスと不安定性をもたらすことがある。

 こういった指摘は「単一の価値観に拘束された不自由な精神性」を否定し、「個々人の価値観に基づく自由意思」を尊重しようという考えの表明でしょう。

 さて、本書を読み終えての感想です。

 今の時代背景に基づく“日本人論”としては面白い論考ですね。ただ、日本独特の“生きがい”というコンセプト生成の根拠として紹介した日本発の精神的事象の数々の中には、まだ、その根拠として収斂させるには片面的であり少々不適切かなと感じるものがあったようです。そのため、立論のところどころに「ちょっと無理筋かな」という印象を抱いてしまいました。 

 とはいえ、多面的な視点から“生きがい”という概念の特性を描き出す茂木さんの思索プロセス自体が、まさに現代の“日本人論”に至る新たなアプローチでもありました。
 その点では、とてもチャレンジングな書籍だと思います。

 

 

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〔映画〕LION/ライオン 〜25年目のただいま〜

2022-09-11 09:29:45 | 映画

 
 実話にもとづく映画とのこと。
 主人公本人が著したノンフィクション作品が原作です。
 
 たどり着くべきゴールがはっきりしている作品ですが、そこに向かっての家族の物語とそれを取り巻くエピソードの絡ませ方がとても見事ですね。
 
 養子縁組に至るまでのインドでの映像の挿入具合もとても効果的ですし、google earthの画像を追うシーンもなかなか緊迫感がありました。とてもいい映画だと思います。
 
 こういう自然体の役柄もニコール・キッドマンは見事に演じますね。さすがです。

 

 

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〔映画〕地震列島

2022-09-10 08:58:14 | 映画
 1980年公開の作品です。
 
 首都圏直下型地震を描いた“パニックもの”ですが、災害シーンはCGではなく「特撮」で作られています。
 そのためところどころに迫力を感じるシーンもあるのですが、全体的にはリアリティという点で“箱庭感”は拭えません。画面がどうも当時の “怪獣映画” のノリなんですね。
 
 そこに「ロマンス」「家族愛」「ヒーロー」ものの要素をぶち込んだので、何が何だかわからない作品になってしまいました。
 
 ラストシーンのあと、登場人物は、また東京で暮らしていた人々はいったいどうなっていったのでしょう。
 ともかく、それぞれのシーンが中途半端な尻切れトンボ。収束点がない粗雑な構成の映画でしたね。

 

 

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オリエント急行の殺人  (アガサ・クリスティー)

2022-09-09 12:00:12 | 本と雑誌

 

 ちょっと前に「ナイル殺人事件」という映画を観て、そのあと続いて「ナイルに死す」という原作も読んでみました。意外だったのは、私の想像以上に原作に沿った映画づくりをしていたということです。

 今回は同じことを「オリエント急行殺人事件」でも試してみることにしました。映画の方は以前何度も観ているので、謎解きの結末についてははっきりと記憶に残っています。

 初めて原作を読んでの印象ですが、まず感じたのは、確かに映画化しやすい作品だろうという点でした。
 「構成」自体が人物やエピソードごとに明確なパートに分かれていて、それを辿るだけでも効果的な場面の切り替えが実現できそうです。ラストシーンも劇的で、スクリーン上の絵としても映えます。

 また、オリエント急行というゴージャスな舞台に加え、登場人物も老若男女とても多彩なので、キャスティングという面でもあれこれと工夫を凝らすことができますね。

 1974年映画化された作品は、特に豪華な出演者の方々だったので、原作でのキャラクタ設定と比較してみるとなかなか興味深いものがありました。ローレン・バコールショーン・コネリーは納得の配役でしたし、ジャクリーン・ビセットも可憐でした。

 ちょっと面白かったのは、原作で“ヒツジに似た”と表現されていたスウェーデン女性。
 彼女を演じたのは、かのイングリッド・バーグマンでした。確かに彼女はスウェーデン出身ですが、“ヒツジ”・・・???。

 

 

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〔映画〕駅前旅館

2022-09-08 09:46:42 | 映画

 
 1958年公開の作品です。
 
 ちょっと前に井伏鱒二さんの「駅前旅館」を読んだところですが、それを映画化した作品があるというので観てみました。
 
 内容は、原作に即したところもありますが、映画化にあたってかなり手が入っていますね。テーマのレベルでも変更されています。
 好みもあるとは思いますが、映画の方がよかったですね。時代の流れに翻弄される主人公の悲哀や取り巻く人々との絡みがしっかりと描かれているように思います。
 
 森繁久彌さん、伴淳三郎さん、フランキー堺さんといった当代の喜劇役者のみなさんの競演作ですが、決して“ドタバタ喜劇”ではありません。当時の世相をベースに、しっかり作り込まれた“人情劇”です。
 
 そのほかのキャスティングについていえば、やはり出色だったのは淡島千景さん。あと、懐かしい役者の方々が大勢出演されていましたが、女子高生役の市原悦子さんには、まあ驚きました。今のまま“女学生” にしたようです。

 

 

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〔映画〕43年後のアイ・ラヴ・ユー

2022-09-07 09:19:06 | 映画

 
 ピンポイントのエピソードにフォーカスした素敵な物語です。
 
 CGで作り込まれた非現実的なシーンだらけの映画に囲まれることが多いこの頃ですが、時折こういった作品に出会うと心底ホッとしますね。
 
 ストーリー展開自体は予定調和のHappy Endですが、登場人物のプロットがしっかりしているので、それらの人々との絡みを通してたどり着いたラストの “主人公とひとりひとりとの別れのシーン” は、とても印象的なものになりました。
 
 主人公のベテラン二人のキャスティングもよかったと思いますし、孫娘役のセレナ・ケネディも初々しくてとてもチャーミングでした。

 

 

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命のクルーズ (高梨 ゆき子)

2022-09-06 12:58:08 | 本と雑誌

 いつも聞いている大竹まことさんのpodcastの番組に著者の高梨ゆき子さんがゲスト出演していて、本書の紹介をしていました。
 高梨さんは読売新聞編集委員です。

 新型コロナウィルス感染症流行当初、ダイヤモンド・プリンセス号を舞台にした船内感染の顛末は日本国内のみならず世界的にも大いに注目されました。
 船内は実際どんな状況だったのか、乗客・乗員そして感染対策のために派遣された人々はどんな思いで、どう行動していたのか、綿密な取材をもとにした様々なエピソードが紹介されています。

 その 中から、私の興味を惹いたところをいくつか書き留めておきます。

 まずは、ダイヤモンド・プリンセス号の乗客の中で「陽性」と判定された乗客を受け入れる病院の確保を図るためにとった現場対応の様子から。

(p101より引用) 感染症法は、その第十九条に「緊急その他やむを得ない理由があるとき」の対応に関するただし書きがある。それは、場合によっては感染症指定の病院が、専用病床以外の病床に患者を入れること、あるいは、感染症指定ではない病院が患者を受け入れることを認めている。今回は、この緊急対応を実際に適用しないことには、とても感染者を収容しきれない。
 この求めに応じて厚労省の担当官は、阿南の目の前で、自治体向けに発出する事務連絡の文書を作成するよう霞が関に伝えた。
 阿南は、文書の具体的な中身についても口を出した。現場の実情に即していないと思う点が散見されたからだ。
 たとえば、患者を個室に入れなければならないとなれば、大部屋の多い日本の一般的な病院では対応しにくいところが出てくる。 感染症対応には個室が望ましいのは確かだが、用意できない場合も考えて、大部屋を使える道を開いておかなければならない。・・・
 感染者専用のトイレが必要と思われるような記述も修正させた。

 受け入れ側の医療体制と感染現場の実態とがあまりにもかけ離れていて、従前からの規定をそのまま適用しようとしても全く役に立たちません。その調整は現場レベルでの超法規的運用で何とか乗り越えていったのです。

 また、現場で奮闘する医療関係者の頭越しに、船内隔離で苦しむ乗客の気持ちを逆なでするようなこんなこともありました。それを伝える乗客の方の声です。

(p161より引用) しかし、そんなことよりも、この日には、朝から忘れられないできごとがあった。厚労省の副大臣、橋本岳と名乗る男性の声で、船内放送が入ったのである。船内放送は、船のトップである船長がするのが常で、はじめて聞く政府関係者の声だ。ようやく進展があるのか。期待感を胸に耳を傾けた。
 話の内容は、閉じ込められて希望の光を求めつづけている美佐子たちにとって、むしろ落胆を誘うものであった。こんなこともしました、あんなこともしました、とすでに終わったことを言い募っているように感じられた。・・・
「この方、本当におかしいわよ。何のための放送だったのかしら」
 美佐子は腹立たしくなった。

 政府関係者は苦労していないとは言いませんが、そのレベルの“やっている感” をアピールしても、身近な状況の改善を感じられない乗客にとっては何の意味もないものでした。

 さて、本書でも詳しく取り上げられたように、今回のダイヤモンド・プリンセス号に関する新型コロナ感染症対策は、DMAT(Disaster Medical Assistance Team=災害派遣医療チーム)が現場の中核として活動しました。

(p23より引用) DMATは、医師、看護師、病院事務職員など多職種の四人ほどで一チームが編成され、地震や台風といった自然災害の被災地にいち早く駆けつけて、けが人や病人を救う役割を持つ。全国の病院に在籍する医療従事者が自発的に参加し、決められた研修を受けて厚労省に隊員登録したうえで、被災した都道府県の求めに応じ、各病院からチーム単位で派遣されるしくみである。病院業務の一環とみなされるため活動に対する手当てはない。

 DMATは、あくまでも「災害対応」の組織なので、今回のダイヤモンド・プリンセス号をはじめとした新型コロナ感染にかかる対応は想定している活動の範疇外のものでした。それでも、DMATのみなさんは、すべて「自分たちがやらなければ誰がやる」という使命感にもとづき、超法規的な扱いで参画していきました。

(p222より引用) ダイヤモンド・プリンセスのオペレーションには、批判的な声があったのも事実だ。
「隊員の安全が守れない現場に派遣すべきではないのではないか」・・・
「自らの感染さえいとわないという危ういヒロイズムは、感染拡大というもっと大きな被害を招く」
 さまざまな意見があり、何が正解なのか、答えは今後に持ち越されている。

ということですが、それでも今回のDMATの現場活動は、間違いなく必要不可欠なものであり、最悪の状況を回避させるのに大きな貢献を果たしました。私はDMATの判断は勇気あるものであり正しかったと思います。

 本質的な問題は「DMATが動かざるを得なかったという現状」にあります。
 国・自治体には、こういった緊急感染症対策に機能する正規の仕組みはなかったということです。政府・自治体の対応は、すべからく場当たり的で後手に回ったものだったのです。

 最後に、強く印象に残ったダイヤモンド・プリンセス号で診察にあたったDMATの小早川義貴さんの言葉を書き留めておきます。

(p180より引用) 「患者さんとのコミュニケーションが大事だからといって、感染対策をきちんとしていないと、本当に感染してしまう。それはわかってる。 コミュニケーションと感染対策と、両方が大事。僕にとって患者さんの信頼を損なうことは、自分が感染するのと同じぐらいダメージが大きいことなんだ

 医師のひとことで患者の気持ちは大きく変わります。それを理解している医師が発したとても重い言葉だと思います。

 小早川さんは、診察や訪問で触れ合った患者さんたちに自分の携帯番号やメールアドレスを伝え「いつでも連絡してきてください」と声をかけたといいます。それで、どれだけ力づけられたことか。本当に頭が下がりますし、こういった医療現場最前線で献身的な活動を続けている方々を何とかサポートし続けたいと心底思います。
 本来、我がこととして、もっともっと真剣に取り組まなくてはならない人々(政府・自治体関係者)を何とかして動かす努力も併せて。

 

 

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〔映画〕スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム

2022-09-05 11:28:24 | 映画

 
 これも「マーベル・コミック」の実写映画版です。
 
 スパイダーマンも単独の作品ではなく、アベンジャーズシリーズとの関係が複雑に絡み合って来たので、前作や関連作との関係を思い起こしたり、次作につなげるためのエンディングに余韻をかき消されたりと単純に楽しむことができなくなりましたね。
 
 それ故か、本作だけでイントロからラストまでストーリーの山谷を作って完結させていくという信念のようなものが感じられず、「単独の作品」としての出来栄えもだんだんと劣化し、作りも雑になってきたように思います。
 
 まあ、それでも「続編」は観てしまうのでしょうが・・・
 

 

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〔映画〕アオハライド

2022-09-04 11:26:19 | 映画

 
 ひさしぶりの人気少女コミック原作の映画です。
 
 なので、ストーリーについては、どうこう言うべきではありません。
 
 やはりこの作品でも、主人公を取り巻く「いい人の友達」と「最後は潔い敵役」が登場します。
 「いい人の友達」では吉沢亮さん、「最後は潔い敵役」では千葉雄大さん、ころよい加減の存在感でしたね。そして存在感といえば、高畑充希さん。こういったテイストの作品のなかでは、彼女はちょっと別格だったようです。
 
 映画のつくりとしては比較的平板でしたが、こんな感じでキャスティングはなかなか印象に残りました。
 本田翼さんはまさに適役、東出昌大さんは高校生というにはちょっと無理がありましたね。
 
 あとは岡江久美子さん。あの飾らないピュアさはとても清々しく、改めて寂しさが込み上げてきます。

 

 

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名探偵・浅見光彦全短編 (内田 康夫)

2022-09-03 18:14:06 | 本と雑誌

 いつもの図書館の新着本リストの中で見つけた本です。

 かなり昔になりますが、一時期内田康夫さんの「浅見光彦シリーズ」は結構読んでいました。
 本書は、内田さんにしては珍しい短編集ですが “浅見光彦登場40周年記念作品”ということで、興味を惹かれて手に取ってみました。

 読み終わって、感じたのは、やはり「浅見光彦シリーズ」は、軟派でゆったりと構えたエンターテインメント作品というのがしっくりするということです。
 「短編」となると、凝縮した“切れ”のあるストーリー展開が求められるのですが、その中での探偵となると何も“浅見光彦”のような緩めのキャラクタである必然性がなくなってしまうのです。

 逆にいえば、短編の探偵となると “少々強引”な立ち振る舞いを演じがちになるでしょう。
 その観点で言えば、本短編集に登場している「浅見光彦」にも、ちょっと“図々しさ” が鼻につくところが散見されましたね。そのあたり初期の本シリーズファンとしてはかなり違和感を感じざるを得ませんでした。

 とはいえ、作者としての内田康夫さんの力量を決して否定するものではありません。
 ミステリー小説集なので、コメントはネタバレにならない程度に留めますが、たとえば採録されている「他殺の効用」で魅せたの最後の最後の幕切れは見事だと思います。

(ちなみに、蛇足ですが、「逃げろ光彦」や「名探偵は居候」あたりはちょっと乱造が過ぎるかもしれません・・・)

 

 

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〔映画〕ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

2022-09-02 13:42:13 | 映画

 
 これも「マーベル・コミック」の実写映画版です。
 
 アメリカでのコミックとしての人気は知りませんが、映画で見る限りは、正直なところ今ひとつという印象ですね。
 
 かなり突拍子もないプロットのキャラクタが登場しているので、よほどその存在の必然性を語る背景描写がないと、観ていて“唐突感” が残り続けます。
 同様に「敵役」についてもそうです。単なる宇宙秩序の擾乱者というのも能がありません。
 
 この後、作品の登場人物もアベンジャーズシリーズに加わっていくのでしょうが、他の諸先輩キャラに比較すると、それらを凌ぐような魅力があるかといえばちょっと程遠いような気がします。

 

 

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〔映画〕オリエント急行殺人事件

2022-09-01 09:54:31 | 映画

 
 1974年版です。
 今までにも何度も観ていますが、実際アガサ・クリスティーの原作「オリエント急行の殺人」を読んだ後に観たのは今回が初めてでした。
 
 しっかりと原作を踏襲して作ってありますね。その点、先に観た2001年制作テレビドラマ版のオリエント急行殺人事件~死の片道切符~」とは大きく異なります。
 
 ともかく、公開当時、この作品は出演者の桁外れの豪華さが話題になったようですが、それらの超ビッグネームのみなさんがそれぞれの個性をあるいは個性を凌ぐ演技力を発揮し、作品自体も素晴らしい出来に仕立て上げています。
 
 イングリッド・バーグマン、ローレン・バコール、ジャクリーン・ビセット、 ヴァネッサ・レッドグレイヴをはじめとして、女優陣はみなさん本当に魅せてくれました。見事でした。特に、ヴァネッサ・レッドグレイヴのラストシーンの “ウィンク” は必見です。あんなにスマートなウィンクにはお目にかかったことがありません
 
 男優では、やはりショーン・コネリー。(いいことなのか疑問ではありますが、)彼が演じると、どれもが “ショーン・コネリー”色になります。
 
 この作品、“エンターテインメント” としては一級品ですね。

 

 

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