第2部では、〈モチベーション3.0〉の3つの要素を解説しています。「自律性」「マスタリー(熟達)」「目的」の3つです。
著者は、第1部の後半で2つの行動様式を紹介していますが、そのうち〈モチベーション3.0〉における行動様式を「タイプI」と名づけました。
(p116より引用) タイプIの行動は、外部からの欲求よりも内部からの欲求をエネルギー源とする。活動によって得られる外的な報酬よりも、むしろ活動そのものから生じる満足感と結びついている。
このタイプIの行動の中心には、「自律性」「自主決定性」という人間に本来的に備わっている能力があるといいます。
この「自律性」というコンセプトは、〈モチベーション3.0〉の3つ要素のうちではとりわけ重要です。報酬よりもモチベーションを湧かせる仕組みに必須の要素が「自律性」です。
(p136より引用)タイプIの行動は、この四つのT-課題(Task)、時間(Time)、手法(Technique)、チーム(Team)-に関して自律性を得たときに現れる。
「何をするのか」「いつするのか」「どのようなやり方でするのか」「誰と一緒にするのか」、これら仕事を進めるにあたっての4つの側面を、自らの意思でコントロールし得たとき、人は報酬に勝る内部からの充実感・満足感を得るとの考え方です。
さて、本書は、人を、〈モチベーション3.0〉すなわちタイプIの行動に導くための種々の具体的方法を「ツールキット」として紹介しています。
その中の参考文献から、私の興味を惹いたものを覚えに書き留めておきます。
(p255より引用) 「固定的なマインドセット」の人は、自分の才能は石に刻まれたかのごとく変わることがない、と考える。「発展的なマインドセット」の人は、自分の才能は開発できると考える。固定的なマインドセットは、あらゆる経験を「自らの能力を試す試練」とみなす。一方、発展的マインドセットは同じ経験を「向上する機会」とみなす。
Mindset : The New Psychology of Success(邦訳『「やればできる!」の研究』草思社)に記されたスタンフォード大学教授ドゥエックのメッセージです。もちろん「発展的マインドセット」で行きようというアドバイスです。
最後に、本書を通読しての私の印象。本書で示されている著者の処方箋ですが、そのまま旧態の日本企業に適応するにはかなりの調整・工夫が必要だと感じますね。
すぐに処方できるような状況の企業は、すでに、モチベーション2.5ぐらいにOSはバージョンアップしているはずです。多くの企業は、バージョンアップしようにも、CPUやメモリのパワー不足の状態なのです。
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