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はーばーらいと (吉本 ばなな)

2023-10-28 09:22:22 | 本と雑誌

 いつも聴いている大竹まことさんのpodcastの番組に著者の吉本ばななさんがゲスト出演していて、本書についてお話ししていました。

 実は、この歳になるまで吉本さんの著作は読んだことがなかったので、タイムリーなモチーフという興味もあって手に取ってみました。

 小説なのでネタバレにならないよう本編からの引用は避けますが、テーマの対象は私が想像していたものとちょっと違っていました。
 そのあたり、吉本さんは「あとがき」でこう語っています。

(p150より引用) 私はあの事件をもちろん全て報道の通りには受け止めていないけれど、そのことは置いておいて、安倍元総理が亡くなった頃、ちょうど様々なカルト集団について調べていた。・・・
 そこで、若い頃に「ハネムーン」という小説で描いた問題を少し掘り下げて、宗教二世というものについて書いてみようと思った。あの銃撃事件によってますますその気持ちは強くなった。大きなことや 社会的なことではなく、そこにいたことがある若い人たち個々の心の中になにが起きるのかということを。

 この小説で吉本さんが選んだ舞台は、今話題になっているような大教団ではなく、指導者を中心にせいぜい100名程度の集団です。

 吉本さんは、こう続けます。

(p150より引用) 誰かが自分らしく好きなように生きる(ひばりちゃんの両親も、つばさくんのお父さんも)ことが、巻き込まれた近しい人を傷つけることがあるということを、人の心の動きとして、書いてみたかった。
 好きなように生きてはいけない、という話ではなく、他者の自由を尊重した上で人と過ごしていけるのがいちばん良い、というようなことだ。しかし関係性に執着がある場合、それはとてもむつかしい。 そしてたいていの関係性は執着から逃れられない。

 こういったメッセージを、吉本さんは、10代の主人公たちの想いや行動を通して描いていきます。

 今までの私の読書経験では、あまり接してこなかったテイストの作品ですが、考えるところは数多くありました。

 やはり “本の食わず嫌い” はダメですね。もっと「乱読」の幅を拡げましょう。

 

 


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