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YouTube: Apple - Think Different - Full Version
著者のケン・シーガル氏は、Apple社のプロモーションを担当する広告会社のクリエイティブ・ディレクターという立場なので、良し悪しはともかく、一つの方向からみたジョブズ氏像を語っています。ただ、もちろん大半は、ジョブズ氏を取り上げた多くの著作で紹介されているものと軌を一にするものです。
たとえば、「第7章 Think Casual カジュアルに話し合う」で取り上げられたSimpleに反する「気に入らないプレゼン」のくだりです。
(p191より引用) 三つの文章で言えるところを20枚のスライドを見せられると、スティーブはもうがまんできなかった。・・・巧みなプレゼンよりも、率直な話と加工されていない中身を好んだ。
至れり尽くせりのお化粧を施したプレゼンは、アイデアそのもののブラッシュアップよりも、その装飾に時間を費やしているかのうように感じられます。そもそも、パワーの使いどころが分かっていないんじゃないの?と思ってしまうのです。
(p192より引用) スティーブにとって一番心地いい会議は、テーブルとホワイトボードだけがある場所でおこなわれる正直な意見交換だった。
そうですね、この感覚はとてもよく分かります。
こういった私も同調できる部分がある反面、Appleの思想の中にはどうしてシンパシーを感じないところがあります。
私もAppleの製品はいくつか持っています。が、(好みの違いかもしれませんが、)私としては、必ずしもそのUIに満足してはいません。過度なSimpleさを追究しているが故に、どこかに無理が感じられるのです。
(p228より引用) ある意味では、アップルを傲慢だと考えている人にアップルは関心がない。彼らは顧客ではないし、顧客になりそうな人でもないからだ。アップルはその価値観を共有する人のことは気にかけている。そして、そういう人は近年、大きく増えているので、アップルのビジネス哲学は支持されているのだと言える。
私はAppleの熱狂的なファンではありません。Appleもone of themとの立場です。この「第8章 Think Human 人間を中心にする」の中での著者のコメントは、まさに私の抱いている印象を言い表していますね。
さて、本書では、Appleの基本哲学である「Simple」の具体的要素として、
- 「Think Brutal 容赦なく伝える」
- 「Think Small 少人数で取り組む」
- 「Think Minimal ミニマルに徹する」
- 「Think Motion 動かし続ける」
- 「Think Iconic イメージを利用する」
- 「Think Phrasal フレーズを決める」
- 「Think Casual カジュアルに話し合う」
- 「Think Human 人間を中心にする」
- 「Think Skeptic 不可能を疑う」
- 「Think War 戦いを挑む」
の10の「Think ○○」を挙げています。その一つひとつを独立してみてもとても有用なアドバイスになっているのですが、これらは今の社会や企業のあり様の中ではどうやら異端のようです。それゆえに「Think Different」というAppleのメッセージがが強烈なインパクトをもって受け入れられたのです。
この「Think Different」の中核に位置するのが「Simple」というコンセプトですが、それを最もよく説明していると私が感じたフレーズを最後にご紹介しておきます。
(p179より引用) 他人の仕事から目標を設定したり、刺激を受けたりするのはいいことだ。だが、シンプルさは、自分の歩く道をしっかりと見つめ、自分の会社の価値に忠実でいることを求める。それは本物でありたいかどうかの問題だ。
妥協を許さず、余計な装飾を削ぎ落として「本質」を突き詰めるこだわりと厳しさの姿勢です。
Think Simple―アップルを生みだす熱狂的哲学 価格:¥ 1,680(税込) 発売日:2012-05-23 |
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