1987年に大学1年生という舞台設定なので、 私の時代感とは10年ほどのギャップがある(私の方が年上)のですが、 映画で描かれたころの風景ははっきりと浮かびあがってきますね。
原作は新聞連載小説で、 文芸作品としてもとても好評だったようです。
主人公はこれといった特徴もなく、 また物語自体も奇抜なエピソードに富んでいるわけでもないのです が、それでも面白い映画に仕立て上げることができるんですね。
もちろん、それが映画監督の技量なのでしょうが、 役者さんの力量も大きなウェイトを占めているのだと思います。
その点では、吉高由里子さんが演じた“天然キャラ” のヒロインはまさに適役でしたし、 綾野剛さんもちょっとクセのある役まわりでいい味を出していまし た。
あと、流石だったのは余貴美子さん。 ラストを締めたナレーションも含め、 寂しくもほのぼのとしたエンディングを見事に作り上げましたね。