竹内薫氏の著作は、以前も「99.9%は仮説」・「仮説力」・「天才の時間」等を読んだことがあります。
多才な方ですが、本職がサイエンスライターということもあり、本書の評価はちょっとバラつくように思います。
内容ですが、著者の竹内氏と経済学者の「先生」との対話という形で、経済学という切り口からの「現代社会のひとつの見方」がザクザクと示されていきます。
たとえば、こんな感じです。
(p144より引用) 竹 アメリカに追いつけ追い越せの掛け声で日本が一丸となってやっていたときには大きな中央政府というシステムがうまく機能したけれど、今は、別のフェーズに入って、小さな政府、地方分権の時代になりつつあると。でも一方で、財務省は中央集権がいいから、これに抵抗する・・・。う~ん、バカヤローな構図ですね。
本書の後半は、経済の話というより昨今の政治ネタで内容も週刊誌・業界紙並みになっているのが少々残念です。
(p242より引用) 竹 ・・・しかし、小泉さんはどうしてあんなに直感が働くんですかねえ。
先 天才的なんだよね、やっぱり。それは、派閥なんかにとらわれずに独力で生きてきたからなんだろうね。・・・
ちなみに、本書に登場している「先生」は、竹内氏のブログによると元東洋大学経済学部教授の高橋洋一氏とのこと。
小泉構造改革を推進した竹中平蔵氏に近い財務官僚OB(必ずしも典型的な役人ではありませんが)の学者さんですから、良し悪しはともかく、本書の「先生」の解説もその点を踏まえて読む必要がありますね。
最後に、恥ずかしい話ですが、財務省から日本国の財務書類が開示されているのを、本書を読んで初めて知りました。
ちなみに平成19年度の貸借対照表をみると、負債合計が977,777,771百万円、資産・負債差額が△ 282,865,049百万円という数字です。1,000兆円の負債、280兆円の債務超過・・・。
おおよそ知っているとはいえ、貸借対照表でみるとすこぶるリアルです。
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