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プロ力 仕事の肖像 (アエラ編集部)

2009-08-02 13:11:20 | 本と雑誌

 図書館の書架でたまたま目に付いたので読んでみました。
 雑誌アエラに連載されている「現代の肖像」からの抜粋とのことです。

 いろいろなジャンルの16人。興味深いエピソードや気になるフレーズが数多くありました。
 たとえば、YouTubeのスティーブ・チェン氏の仕事術です。

 
(p52より引用) 今でも人付き合いは好きで、週に3、4日はアフターファイブにパーティーやディナーに出かける。しかし、帰宅後の4、5時間が「真の仕事の時間」だ。雑誌やオンラインで読んだ仕事関係の記事を、ノートパッドに貼り付ける。分類し、優先順位を決め、自分の目を引いたばらばらの材料が、相互にどう関係するか見抜く。同時に、夜中過ぎまで、社員とチャットやメールでアイデアをシェア。真のブレインストーミングが彼の中で起こり、エンジニアとして、経営者として必要な知識と慧眼を磨く時間が、夜なのだ。
 パソコン上には常に三つの「to doリスト」が開いている。「今日」、「今週」、そして「今後」。「今後」を除いてすべての項目が消えるまで仕事をやめない。

 
 このスティーブ・チェン氏のほかにも、南場智子氏・夏野剛氏・勝間和代氏といったビジネスの世界で成功した方々の話も多く紹介されていますが、そういった類のものよりも、より強烈にインパクトを感じたのは以下の方々のエピソードでした。

 昨年(2008年)の北京五輪、金メダルを取った日本女子ソフトボール。
 その快挙を最も喜んだはずの一人が元日本代表監督の宇津木妙子さんでしょう。
 まずは、宇津木さんの反骨の先駆者としての姿勢です。

 
(p69より引用) 日本の女子選手の成長を阻む依存性と、男性指導者しかいなかった日本スポーツ界の弊害を、19歳で既に見抜いていた。自分になら改革できると、野心が芽生えた。

 
 その指導姿勢は凄まじいほどに厳しいものでした。しかし、その厳しさの根底には真摯な愛情がありました。

 
(p70より引用) 32歳で現役生活にピリオドを打ち、会社を辞めたとき、宇津木に信頼を寄せていた寮生たちが次々退社して寮は歯が抜けたような状態になったという。

 
 もう一人、ニート・フリーター・ワーキングプアといった問題を研究テーマとしている教育社会学者本田由紀さん
 現場・現実の人と向き合った中から発せられる正直な言葉です。

 
(p288より引用) 「社会の軋みとしていろんな問題が出てきているのに、説教や、こうやって生きていけばいいんだよ、みたいなことで誤魔化そうとすると、構造の方は温存され、個人は余計につらくなるんです」

 
 さらに、

 
(p296より引用) 「・・・難しい内容を議論している研究会に出てると、誰に聞かせようと思って、議論してるんだろう、頭のよさの見せ合いっこをしてる場合か、と思うことがある。今、この世界で何が起きているのか、足元を見ようよと

 
 最後のご紹介は、国際紛争の最前線で活動されている伊勢﨑賢治さん
 彼がアフリカのシエラレオネの反政府勢力の武装解除に関わった際の経験です。

 
(p180より引用) いつ果てるともなく続く内戦を止めるには、正義を捨てても和平を選ばざるをえない。紛争を解決するということが、きれいごとではすまないことを見せつけられた。
 だからといって全面的に肯定はできない。50万人の命を奪っても罪に問われなければモラルは崩壊し、戦争の再発につながる。現場は矛盾だらけ。だから講演に呼ばれた先で、平和構築の複雑さを伝えるために、敢えて「正義と平和は両立しない」と語りかける。

 
 真の極限的判断の修羅場を経験した伊勢﨑氏は、「平和構築へのひとつの道」として、広告の手法を平和構築に生かす「ピースアド」という方法を模索しています。

 
(p188より引用) 「紛争が起きたら、国連から一斉に経験者に招集がかかる紛争屋の世界も一つの業界です。これからは“平和業界”を作らないといけない。平和のために投資をする世の中です。10年前、環境がこんなにお金になるとは誰も思わなかったでしょう。それを平和でやりたい」

 
  「戦争で儲ける」ようなビジネスは、何としてでも駆逐したいものです。
 
 

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