本書では、「質問力」を向上させるための具体的な方法を数多く紹介しています。
その点、How To本としては分りやすいものです。
たとえば「聞く態度」の重要性を説明している章では、「うなづきと短い質問」を具体的なHow Toとしてあげています。
(p29より引用) うなづきと短い質問というと、なんだかとても簡単なことのように思えるが、そうではない。相手の話をきちんと聞いていないと、適切なタイミングでうなずくことはできない。もちろん的を射た質問もできない。
また、質問力を高める具体的なツールの例としては「蝶ネクタイチャート」が特徴的です。
ボトムアップ型のロジックツリーで収集した情報から課題解決のための目標をつくり、ブレイクダウン型のロジックツリーでアクションプランに落としていく、こういった一連のプロセスをサポートするために「蝶ネクタイチャート」が役立つと説明しています。
(p84より引用) コンサルタントの仕事とは、バラバラだった課題を一つにまとめることで目標を明確にし、今度はその目標を実現するための展開を図る。収集して拡大させる作業だと言える。だから蝶ネクタイチャートが使えるのだ。
コンサルタントの質問の究極の目的は、コンサルタント自身の理解のためではありません。
よい質問によって、クライアントの気づきを促しクライアント自らの改善のアクションを呼び起こすためのものです。
最後に、著者が「質問力」のひとつの要素としている「仮説思考」について、その落とし穴について触れているフレーズをご紹介します。
(p98より引用) 仮説を立てながら、仮説を捨てる、これができる人は非常に少ない。一度貼ったレッテルは、なかなか剥がせないのだ。
これに続く400mハードルの為末大選手のことばは、(よく言われていることではありますが、)印象的です。
(p99より引用) 固定観念に縛られることの怖さは、陸上の世界でも言えることです。・・・本来は柔軟な思考の持ち主でも、少しでも情報を軽視したり、先入観に囚われたり、慢心した瞬間に、頭の堅い人物に変身します。正しい方法を探り出すことは大切ですが『これで間違いない』と思ったときから、敗北は始まっている。常に現実を見据え、考え続ける努力をしている人だけが、柔軟な思考を持ち続けられる・・・
一流アスリートが感知した日々の努力の本質です。
コンサルタントの「質問力」 (PHPビジネス新書 52) 価格:¥ 840(税込) 発売日:2008-03-19 |
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