数年前ベストセラーになったゴールドラット氏の「ザ・ゴール」の営業プロセスへの応用編です。
基本は、やはりTOC(Theory of Constraints(制約条件の理論))です。したがって、定番の「5つのステップ」が登場します。
- STEP1 : 制約条件を見つける
- STEP2 : 制約条件を徹底的に活用する
- STEP3 : 非制約条件を制約条件に従属させる
- STEP4 : 制約条件の能力を高める
- STEP5 : STEP1に戻る
このあたりの考え方は、やはり、先書「ザ・ゴール」を先に読んでおいた方がいいと思います。私も数年前「ザ・ゴール」を読んだときは、そのプロセス・オリエンテッドな考え方にかなり刺激を受けました。
ある面、この本で示された営業プロセスは、最近のITの世界でお決まりの三文字略語CRM(Customer Relationship Management)・SFA(Sales Force Automation)・SCM(Supply Chain Management)で対象とされているもので、それらに対応した基本的な実現ツールは、パッケージ・ソフトウェアとしていくつも世の中に出ています。
たとえば、この本で「じょうごレポート」として紹介されたツールは、SFAでは「パイプライン管理」として搭載されているものとほとんど同じコンセプトです。
ただ、このパッケージ・ソフトウェアの機能は、TOCの5つのステップの「STEP1 制約条件を見つける」という点で役に立つだけです。この機能により顕在化されたプロセスの制約条件(ボトルネック)に対して、具体的にどういうアクションをどういう順序でとるのか、それが肝です。
TOCでは、その具体的STEPとして1~5の段階を提唱しています。
ポイントは、STEP2と3です。
ついやってしまう間違いは、STEP1からいきなりSTEP4に短絡的に飛んでしまうことです。現状のボトルネックとなっているプロセスをまず活用し切るという「深堀り工程」がなければ、単にボトルネックのプロセスの処理量を向上させたとしても、プロセス全体が質的に改善されたことにはならないのです。