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談判 (氷川清話(勝 海舟))

2005-09-03 23:46:16 | 本と雑誌

(p316より引用) 「敵に味方あり味方に敵あり」といつて、互に腹を知りあつた日には、敵味方の区別はないので、いはゆる肝胆相照らすとはつまりここのことだ。

 「氷川清話」に登場する当時の人物の海舟の評価ははっきりしています。

 特に、西郷隆盛・李鴻章は、海舟にとって信頼に足る肝胆相照らす仲です。

 李鴻章については、重要な外交交渉に係る豊富な経験を有する「信」を重んじる人物と見て、日清戦争の戦後処理の清国側代表として交渉にあたった際も、伊藤博文や陸奥宗光では相手として全くの役不足と評しています。

 西郷については、自分自身(海舟)とは別次元のとてつもない人物とみていたようです。述懐の端々に(タイプは違うものの)「こいつにはかなわない」といった感じが表れています。

 江戸城無血開城は、単なる城明け渡しには止まらず、市民生活の場である江戸の戦場化を回避するという意味がありました。海舟と西郷は、(おそらく交渉に臨む前から、)江戸150万市民を救うという一点で想いが一致していたのでしょう。

(p260より引用) おれはその時西郷が来るといふから、それなら安心だと言つて寝て居た。・・・ナニ対手が西郷だから無茶の事はする気遣ひないと思つて、談判の時もおれは慾は言はなかつた。ただ、幕臣らが餓ゑるのは気の毒だから、それだけは頼むぜと言つたばかりだ。それに西郷は七十万石くれると向こふから言つたよ。

コメント
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