(「論理ノート」p76より引用) 論証を健全なものにするには、その素材(内容)も枠組み(構造)も健全でなければなりません。
通常よく使われる三段論法の基本形は、以下の形です。
- すべてのAはBだ(大前提)
- すべてのCはAだ(小前提)
- ゆえに、すべてのCはBだ(結論)
具体的には、たとえば、
- すべてのリーガ・エスパニョーラの選手はサッカー選手だ
- ロナウジーニョはリーガ・エスパニョーラの選手だ
- ゆえにロナウジーニョはサッカー選手だ
という感じです。
素材(内容)が健全でない例は、たとえば、
- すべてのリーガ・エスパニョーラの選手はスペイン人だ
- ロナウジーニョはリーガ・エスパニョーラの選手だ
- ゆえにロナウジーニョはスペイン人だ
これは、1番目の大前提の内容が「偽」です。
したがって、たとえ論証の枠組み(構造)が健全でも結論(ロナウジーニョはスペイン人)は「偽」にしかなりません。
他方、枠組み(構造)が健全でない例は、たとえば、
- すべてのリーガ・エスパニョーラの選手はサッカー選手だ
- 久保竜彦はサッカー選手だ
- ゆえに久保竜彦はリーガ・エスパニョーラの選手だ
これは、二つの前提を結び付けるものとしてそれぞれの述語部分をもってきているという構造の誤りです。
上記のような分かりやすい例のばあいは、その誤りが明々白々ですが、現実世界では結構2つの論証の誤謬がまかり通っています。
まわりを注意するとともに、自分自身もそういう誤りを犯さないように自戒しなくてはなりません。