Saraの人生右往左往

『人生は長い旅路である』
Saraの“あっちふらふら、こっちふらふら”な由無しごと

海と共に、海のために

2008-05-19 22:32:32 | Hokule'aの教えてくれたこと
死をも覚悟して冒険に乗り出した人が次世代に向けて残す言葉。
何故、こんなに胸に響くのだろう。
どんなに霊視やチャネリングができても、スピリチュアルに詳しくても、
この言葉に敵うものはないだろう。
いや、死を覚悟して大海原に乗り出したとき、
その人の魂は深くスピリチュアルに目覚めたのかも知れない。
それをご本人が気づいたかどうかは兎も角として。

約10ヶ月ぶりの海洋大学越中島会館にて。
そんな言葉に出会えた。
本日開催されたのは、
【海洋普及推進委員会設立記念フォーラム -日本の海洋教育を考える-】
様々な海洋学の著名人、計7名が講演した。
でも、心に残ったのは、お役所の方や大学教授の言葉よりも、
海に深く関わって生きている海洋ジャーナリストの内田正洋さん、
海遊びの仕掛け人で日本初のサーフィンの世界チャンプ、ドジ井坂さん、
海洋冒険家(とご本人は言われたくないらしい)の白石康次郎さん、
このお三方の言葉だった。



教育なんて大げさなことを言わなくても、
海を畏れ敬う中で海に関わる精神は育っていくということ。
そして、次世代のその海に関わるチャンスを奪っているのは、
ほかならぬあたし達大人だということ。

その中でも一番『ハッ』とさせられたのは、白石康次郎さんの言葉だ。

『自然破壊、自然破壊って言うけれど、自然は破壊されたことなどないのです。
自然破壊と言いながら、いつも破壊されているのは人間文明。』

『いくら海の上で頑張ったって、海は評価しない。
ただ滔々とそこに流れているだけです』

『海の上ではひたすら自分と向き合う。自分の心がどこにあるか確認する。
今の子供たちは情報をたくさん持っていて賢いけれど、
自分と向き合う時間がない。
だから感性が出てこないのです。』

なんて重い言葉だろう。
生死をかけて海の上にいたからこそ出てくる言葉。
昨今のスピリチュアルブームにおけるどんな霊能者の言葉より、重くて深い。
ホクレア号ナビゲーターだったナイノアさんがひたすら謙虚なのも、
自然の前では人間の地位とか肩書とか、
そんなもの何の役にも立たないことを知っているからだ。

教育とか、子供を教え導くとか、そんなの幻想かも知れない。
大人だってまだまだ知らないことがある。
でも、大人が夢中で学ぶ姿勢を見て、子供も安心して学ぶのかも知れない。

ドジ井坂さんが、
『事故があれば臨海学校が中止になる。
子供はそんなの望んでいない。
大人も海遊びができないのに、子供にできる訳がない。
まず、大人からやらなくちゃ。』

自然に親しんで真摯に向き合ってこそ、ありがたさや怖さが分かる。
最近のロハスブームの気持ち悪さは、自然に向き合っていないからだろう。
やはり、何かを成し遂げた人の言葉は、重い。




The question is...

2008-01-24 15:49:04 | Hokule'aの教えてくれたこと
『We know sure, we know sure we'll be in the storm.
The question is "Are you ready?".』

昨年の暮れも押し迫った12月28日、Hokule'aの特集番組が放映された。
今週は時間があるため、この番組を録画かたがた数回見ている。
番組のタイトルは【Aloha!未来~ハワイの心ホクレア日本へ~】。

何度見ても、涙が出てくる
何故、こんなに琴線に触れるのだろう。

昨日、マナカードのリーディングをしているとき、
Wa'a(ハワイ語でカヌーの意味)のカードが出て、
あたしはNainoaさんの言った言葉を力説していた。

『嵐は来る。必ず嵐に遭うだろう。
質問はたったひとつ。"用意は良いか?"。』

これは人生にも言えることだ。
でも、この台詞を力説しながら、
あたしは自分自身に言い聞かせていたのかも知れない。

人生は大海原と一緒。
雨の日もあれば晴れの日もあって、時化の日もあれば凪の日もある。
生きていれば必ず嵐に遭う。
その時に突きつけられる質問はたったひとつ。
【準備はできているか】、それだけだ。

番組中に出てくる、日本の船文化を守る人たちの誇らしげな顔もとても素敵。
そして、Hokule'aクルーたちがえひめ丸の遺族に会いに行った場面も、
ただのお涙頂戴でなく、遺族の方の淡々とした語りが印象的だった。
とても正直な心の人たちが編集したんだろうな、という感じが伝わる。

そしてこの番組の最後に、
『日本人はどこに向かうのか?』というナレーションが入る。
こういう番組にありがちな、明るい未来を感じさせる台詞ではない。
もっとちゃんと未来を考えようよという警告が含まれている。
これが、あたしがこの番組を好きなもうひとつの理由だ。
この台詞がリアリティを生んでいる。

日本は、あたしはどこに向かいたいのかな。

Am I ready?

The Spirit of Aloha

2007-08-05 00:53:29 | Hokule'aの教えてくれたこと
【2007ホクレア号日本航海プロジェクト記念シンポジウム】のおまけ。

このシンポジウムがあることを知って大興奮だったyummyちゃんとあたしは、
最近ふたりしてハマッているリボンレイを作ることを思いついた。
yummyちゃんはクロシェットのレイ、
あたしは最近覚えたトリプルブレードの虹のレイ。

3本作って、1つ目はNainoaさん、2つ目は内野さん、
そして3つ目は内野さんのお母様。
内野さんのお母様は、実はyummyちゃんの知り合いの知り合いで、
今回あたしたちを内野さんに引き合わせてくれたのだ。

以前の仕事柄、人前で話すことの多かったあたしは、
緊張しててもしてないように見せるのが得意なのだ。
だけどこの日、Nainoaさんにレイを渡しながら、
Hokule'aの航海にとても心を動かされたと伝えようとしたら…

何と
言葉が出てこない
ひゃー。

英語も日常会話なら、まぁ何とかこなせるのに、
このときばかりは頭の中が真っ白
どうにかこうにか思い出せる単語を引っ張り出し、
『素晴らしい航海を終えたNvigatorに会いたいと思っていた』とだけ、
伝えることができた

Nainoaさんにレイを渡してHugしてもらいながら感じたことは、
『なんて大きなオーラなのかしら』。
あたしはモモさんみたいにはっきり見ることはできないけど、
ぼんやり程度なら見える。
そして、相手を包み込むようなあたたかさ。

ホント、お顔立ちもそうなのだけれど、彼の魂は僧侶の魂なのだと思った。
もしくは、地蔵菩薩様に近いような感じ。
仏になる道を選ばず、
自ら艱難辛苦に身を落として民衆を救おうとした地蔵菩薩。
そんな感じの印象を受けた。



それにしても…
緊張しすぎでヒドイ顔してるわ、あたし…

Alohaの精神は、ただ単に優しいだけではない。
A:ala 用心深く警戒すること
L:lokahi 調和をもって働くこと
O:oiai'o 真の誠実さ
H:ha'aha'a 謙遜
A:ahonui 辛抱強く耐えること

クルー達がみんな、このAlohaの精神を持っていたからこそ、
この航海は成し遂げられたのだろう。

そして、この場にいて、一緒に感動を分かち合ってくれたyummyちゃんにも、
Special Mahaloを

未来への伝言

2007-08-03 23:45:35 | Hokule'aの教えてくれたこと
【2007ホクレア号日本航海プロジェクト記念シンポジウム】第3部の覚書。

第3部のパート1は、
Hokule'aの関係者がワークショップを行った学校の先生たちからの報告。
ホント不勉強だったなぁと思ったのだけれど、
日本でこんなに数多くの学校で、ワークショップが行われていたなんて…
6ヶ月もの長旅を終えて、クルーも相当疲れていたと思うのだけれど、
Nainoaさんの言葉通り、Hokule'aは教育の場においても活躍していたのだ。

壇上には、高校の先生が3人と中学校と小学校の先生が1人ずつ。
それと、国立天文台の職員の方。

横浜総合高校の生徒さん2人が、Hokule'aを見た感想を話してくれた。
彼らはイマドキの子だったのだけど、一生懸命自分の言葉で話していた。
彼らの1人が話してくれた、荒木さんの言葉:
『雲で星が見えなくても、星は必ずそこにある』。
あぁ、そうなんだよなー。
そんな真実すら、日々の生活の中で忘れていく自分を反省…

パート2では、以下の4名がパネリストとして登場。

1.荒木汰久治さん:Hokule'a日本人クルー
2.田村祐司先生:東京海洋大学の先生
3.龍村仁監督:「地球交響曲」監督)
4.Naino Thompson:Hokule'a Navigator

Nainoaさんがしきりに繰り返していたのは、『次の世代のために』。

今の世の中の風潮として、確かに『子供は宝』というものがある。
子供がターゲットになっている商売が数多く繰り広げられているけれど、
本当に子供たちのためを思っているものは、どの程度存在しているのだろうか。

子供のためとかなんとかって【抗菌】がブームだけれど、
これは、本当は子供のためにならない気がする。
泥んこ遊びさえ許されない子供たちは、果たしてシアワセだろうか。

龍村監督がおっしゃっていた言葉で印象的なのは、
『文明が進むにつれ、頭さえあれば生きていけると思われがちだが、
頭の知性だけでなく、体の知性も育まれるような教育が大事なのだ』。

よくぞ、あたしが感じていたものを言葉にしてくださった

そして、日本では血のつながりが重要視される。
あたしは、これにとっても違和感を感じる。
本当に大切なのは、
地球上のすべての子供を思いやることではないかなぁと思っているから。

Hawai'i語の【OHANA】は訳せば【家族】だけど、
血のつながりだけを家族というのではない。
このOHANAの概念こそ、今、とっても必要なのだと思う。

Nainoaさんが、
『次世代の子供たちには、困難な挑戦をさせることになる』と
しきりにおっしゃっていた。
自分が地球の一部であることをちゃんと認識して、
次世代の子供たちのために何ができるか考えて、しっかり実践しなきゃね。

そう言えば、龍村監督が荒木さんと内田さんのことを、
『最近の若者も、やるもんだと思った』っておっしゃっていた。
ってことは…

あたしも、まだ若者の部類に入れるってことね
Hokule'aからの伝言をしっかり受け止められる、イマドキの若者でいよう

今どんなに小さくても、自分にできること。
例えば、エアコンの温度を1度上げること。
使わない電気を消すこと。
そんなことから始めれば良いのだ。

自分に出来ることの幅を少しずつ広げていけば、
次世代の子供達に、きちんとケアされた美しい地球を残すことができるはず



本来、生きるってことはつらいけど素晴らしいもの。
子供達にツライ部分だけ残してしまわないように…

注意深く周囲を見つめ、調和する

2007-08-02 23:37:04 | Hokule'aの教えてくれたこと
第2部覚書の続き

第2部のNainoaさんのお話の冒頭で、
この航海の成功にあたり、感謝を捧げたい5人の名前が挙げられていた。

その5人とは、

1.Herb Kane(ハーブ・カネ):
 Hokule'a構想の立役者。
 12年間もの長い間Hokule'aの構想を練り、現実にしたVisionalist。

2.Mau Piailug(マウ・ピアイルグ):
 Satawal島の誇る伝統航海士。Nainoaさんの師匠。

3.Will Kyselka(ウィル・キセルカ):
 プラネタリウムを使い、航海術のスピードラーニングを可能にした。
 80年のTahitiへの航海では、伴走船イシュカでHokule'aを支えた。
 【星の航海術をもとめて】の著者。

4.Pinky Thompson(ピンキー・トンプソン):
 Nainoaさんのお父様。
 Nainoaさんいわく、『人間として大切な価値観を教えてくれた人』。

5.Eddie Aikau(エディ・アイカウ):
 Waimeaの伝説的Big Wave Riderでライフガード。78年の航海で海に散った。
 Nainoaさんは、彼を【The Greatest Crew】と評していた。

何だか彼らの名前を聞いているうちに、涙が出そうになった。
既に他界している方もいるが、
彼らの魂がそばにいるような気がしてきたのだ。
これを書いている今も、実は、ちょっと涙が出そうなのだ

Hokule'aの航海術のもとになっている伝統的航海術には、
3000年の歴史があるのだそうだ。
だんだん文明が進んで便利になる世の中で、
Hokule'aが作られた75年頃は、この航海術は失われたと思われていたようだ。
※それを復興させたいきさつは、
【星の航海術をもとめて】(青土社)に詳しく書いてある。

Nainoaさんは、『航海は、準備のときから始まっている』と言った。
確かに、周到に準備するということは、より成功に近づく。
でも、自然が相手の航海だ。
下手をすると、二度と帰ってこられないかも知れない。
Nainoaさんは親友であるEddieに二度と会えなかったのだから。

怖くはなかったのだろうか。

あたしは、自分の大事な人に二度と会えないということを想像するだけで、
涙が出そうになる。
Hokule'aのクルー達は、何と強靭な精神を持っているのだろう。
あたしは、まだまだちっぽけだ。

伝統航海術では、星(Star Compass)だけでなく、
様々なものを利用する。
雲だったり波だったり、鳥だったり海藻だったり。

注意深く周囲を観察すること。
自然の流れを邪魔せずに調和すること。
まるでAlohaの精神だ。

こうやってHokule'aは、
今まで12万5千マイル(地球を約5周)も旅してきた。
彼らの偉業に、ただただ脱帽…


Navigatorであるということ

2007-08-01 23:00:04 | Hokule'aの教えてくれたこと
【2007ホクレア号日本航海プロジェクト記念シンポジウム】の第2部は、
【2007ホクレア日本航海を振り返って】というタイトルで、
Hokule'aが誇るNavigatorのNainoa Thompsonさん、
日本人クルーで海洋写真家の内野加奈子さん、
日本の海域に入ってからサポートし続けたプロセーラーの西村一広さん、
同じく日本海域サポートチームの海洋ジャーナリスト内田正洋さん、
この4名がパネラーで登場。



またまたここで、あたしの興奮度が急上昇

第1部では、とても学術的なお話を分かりやすく話していただき、
久々の学生気分を味わっていたのだけど、
とうとうHokule'a自身の話が聞けるのだ

まず、公開中の様子を内野さんが撮影したのDVDを上映。
これはTVでも放映する予定らしく、楽しげな感じを強調していた。

でも、スクリーンに映し出される画面が相当揺れてる
クルーたちは長い準備期間中に、
船酔いも克服しなくてはならなかったんじゃないかしら。

そして実際の航海中は、天候も時には敵となる。
風がやめばHokule'aは止まる。
風が吹いていても、意図しない方角からなら流されてしまう。
風は寒さも運んでくる。
風速が1m増すごとに、体感温度は1度下がる。
そして、雨も

あぁ、こんな過酷な航海に、彼らを駆り立てたものはいったい何

ただの功名心ではここまでできない。
しかも、クルーたちはみんなボランティアだという。
でも、何となく理解できるのだ。
なぜ、そこまでするのかが。

Hokule'aは、もう、ただのカヌーではない。
彼女はひとつの生命体だ。
彼女は、既にポリネシアの象徴ですらなくなっている。
彼女は世界の象徴であり、古代の英知の象徴であり、地球の象徴だ。

そして彼女のもとに、Hawai'ianだけでなく様々な人が集まってきた。
それをまとめるのは、Navigatorの役目だ。
Navigatorは船をnavigateするとともに、人々もnavigateする。
様々なルーツ、バックグラウンドを持つ人々を纏め上げるなんて、
ホントに想像を絶する作業のはず…
でも、そのNavigatorとしての苦労を、Nainoaさんが語ることはなかった。

この日話を聞いていてビックリしたのだけれど、
Navigatorの睡眠時間は20分なのだそう
長い時間眠ってしまわないように、わざとつらい体勢で寝るんだって。
確かに、この日拝見したNainoaさんのお顔は、
20分睡眠を6ヶ月続けた横浜港で目にしたときよりお元気そうだった。

6月にHokule'aに会ってから、関連書物を読み漁っていたときに、
2時間寝てしまって船が流された話が書いてあったけど、まさか20分とは…

西村さんがNavigatorについて語る中で、
資質として大切なもののひとつに【柔軟性】を挙げていて、
自分の意見に固執しないNainoaさんの柔軟性を話してくださった。
うわ、耳が痛い。

強靭な肉体と精神力、柔軟性と智恵と知識、努力を厭わないこと。
何より強い信念。

こういったものを身に付けた人間だけがNavigatorとなる。

折りしもこの日、日本では参院議員選出選挙が行われていた。
日本の国を導くNavigatorは、これらの資質を身に付けているのかな。
そして、あたしたちはその資質を見抜く目を持っているのかな。



この2部で、Nainoaさんが沖縄到着直前の酷い嵐の話をなさっているとき、
外でも突然の雷鳴が轟いた。
Kanehikiliが、Hokule'aを祝福していたみたいだ。

2部の話は続く…

楽園で考古学、そして人類学も

2007-07-31 23:09:06 | Hokule'aの教えてくれたこと
【2007ホクレア号日本航海プロジェクト記念シンポジウム】覚書の続き。

このシンポジウムのゲストトーカーの方々、
もうホントに、とにかく豪華だった

Hokule'aの偉大なNavigatorであるNainoa Thompsonさん。
海洋写真家の内田加奈子さん、
Bishop Museumの篠遠喜彦博士、
人類進化史の海部陽介さん(国立科学博物館)、
南太平洋カヌー研究の後藤明先生(南山大学)、
プロセーラーの西村一広さん、
海洋ジャーナリストの内田正洋さん、
オーシャンアスリートの荒木汰久治さん、
【地球交響曲】の龍村仁監督などなど…

そして、Hokule'aを見学したりクルーと触れ合った子供たちと学校の先生たち。

本当に素晴らしいなーって感動したのは、
このシンポジウムは、有志の手で運営されているってことだ。
イベント会社を使ったりせず、
受付や会場の整備は海洋大の学生さんが担当していた。
出演者もすべてボランティアなのだと思う。
でも、みんな楽しそうに話していた。
自分の持っている知識や経験を、惜しげもなくシェアしてくれる姿。
それだけ、この航海は様々な人々の架け橋になったのだと思う

この日のシンポジウムは3部構成になっていて、
第1部のお話は、【南太平洋の人と文化とその起源】について。
お話は、海部さん、後藤先生、そして篠遠博士。

このお話を聞くまで、日本人ってHawai'i好きが多いから、
起源が一緒なーんてことがあったら、ロマンねー
などと思っていたら…

まったく違うらしい

遺伝子解析しちゃうなんて、文明の利器にはロマンがないわねぇ

Hawai'iに人が住み始めた理由として根強かったのは、偶然の漂流説。
だけど、漂流ではなく意図した航海だっていうことの裏付けをしたのが、
Bishop Museumの篠遠博士だ。

実は、篠遠博士がHawai'iに降り立ったのは偶然で、
本当はCaliforniaで勉強するつもりだったっていう有名なお話も、
博士の口からユーモア交じりに聞くと、
これも大きな力で意図されていたことだったんだろうと思う。

そして釣り針を手がかりに、ポリネシアの文化の流れを突き止めた。

現代の技術である遺伝子解析によるポリネシア人拡散の裏付け、
博士の50年の研究による文化の流れの裏付け。
Hokule'aの航海は、無謀なことではなかった

そして、オーパーツや巨石文明など、
ちょっと考古学チックなものが好きな自分を思い出してみたりして…



さ、【楽園考古学】を買って、しっかり復習しよう

How can we care for the earth?

2007-07-30 21:47:21 | Hokule'aの教えてくれたこと
Hokule'aが残したもの。
その答えを今日知った。

Hokule'aが横浜に入港して、【Hokule'a Voyage 2007】は終わった。
でも、それは終わりじゃなかったのだ。
これは、始まりだったのだ。

今日、海洋大学で【2007ホクレア号日本航海プロジェクト記念シンポジウム
「ハワイから日本へやってきた古代式カヌー:ホクレア号が拓く未来への航路」】
というシンポジウムが開催された。
http://www.kaiyodai.ac.jp/Japanese/new/2007/20070702hokulea/hokulea.html

Hokule'aファンを自認するお友達のyummyちゃんとあたしは、
あたしたちが行かずして誰が行くとばかりに、
2人でLeiまで作成して乗り込んできた。

今回の長い航海のまとめのようなシンポジウムかと思っていたその内容は、
まとめなんかではなく、実は始まりだった。
これから、あたしたちがHokule'aが残してくれたものを、
形にしていかなくてはならないのだ。
そして、このシンポジウムはHokule'aからの問いかけを残して閉会となった。

それは、
【How can we care for the earth?】

地球のために何ができる?

あたしは、Hokule'aに会った6月14日からずっと、
Hokule'aがあたしに残してくれたものを考えていた。
希望をしっかりVisionにすることが、困難を乗り越える方法であること。
自分も地球の一部であることを認識すること。
自分たちの伝統に誇りを持つこと。
そして、地球のためにできることを実践すること。

もっともっとたくさんのことを教えてもらった。
言葉にできないものもまだまだある。
これから言葉にする術を探して書き残そうと思っているけれど。

この日、会場である海洋大学に集まった5歳くらいの男の子~80歳過ぎの方まで、
共通の思いは、【How can we care for the earth?】という問いに、
これからどうやって答えていくかっていうことだったように思う。
ひとりひとり、もっといろんな思いを持っていると思うのだけれど、
共通の思いがそこには確かにあったのだ。

それにしても…
まだ頭の中がまとまらなくて、うまく書き残せない

そして、シンポジウムに参加した豪華な面々
この航海をシェアするために、
わざわざ日本に来てくださったり、日本各地から駆けつけてくださった方々。
今週いっぱいかけて、あたしはあたしの言葉で、
すこーしずつ書き記していこう。
たまたまこのページを訪れてくださった方々と、
あたしが見たものをシェアするために。



このNainoaさんの後ろにあるHokule'aの模型は、
山口に住んでいる男性が作って、
ここに展示するために15時間かけて車ではこんでいらしたんだそう
みんな、Hokule'aから色んなものをもらったお礼をしているんだなぁ

Hokule'aの教えてくれたこと

2007-07-04 23:10:01 | Hokule'aの教えてくれたこと
未だに終わらない、《My Hokule'aブーム》。
終わらないどころか、Hokule'aに触れたときの興奮が熱となって、
どんどん深く深く、自分の心の中に潜行していくのが分かる。

先日一緒に飲んでバカ騒ぎしたOhanaのひとりが教えてくれた本。
【星の航海術をもとめて ホクレア号の33日】。
図書館で借りて読んでいる最中。

バカ騒ぎもすれば、真剣にHokule'aについて語り合う。
嗚呼、仲間とは素晴らしきもの也

まだ読んでいる途中だけれど、学ぶことがたくさんあって、
これは自分で買って手元に置いておかなくちゃって決心した。

それにしても、この本を読んで実感したこと。
【偉業は一日にして成らず】ということ。

あたしはすぐに結果が出ないものに直面したとき、
不安からそれを手放してしまうことがしばしばある。
しかし、この本からは、偉業って努力だけでなく忍耐、
進んでいるのか止まっているのか分からない不安に耐える強さ、
深く深く掘り下げる敬虔な心、そして時には悲しみさえ乗り越えて、
ようやく成し遂げられるんだということを、否応なしに突きつけられる。

偉業とは神憑りなものではなく、むしろ地を這う人間が行うことなのだ。

そして、言葉以外のコミュニケーションの大切さ。
いわゆる【Non-Verbal Communication】ってヤツ。

文章を書くことが大好きなあたしは、言葉の持つ力を信じている。
でも、偉業を成し遂げた師と師弟の間には、言葉以外の何かがあるらしい。
MauとNainoaの間もそうだったと、著者は書いている。
違う言語形態の中で育った人々は、
しばしば相手の言っていることが分からず混乱したようだ。
どうやってそれを乗り越えたか。
それは、とにかく相手の言っていることを理解しようと務めること。
相手の育った文化的背景も含めて。

Satawalで生まれ育った航海士のMauは文盲のようなのだが、
彼は6歳の頃からお祖父さんに教えられた膨大なChantの中に、
必要な情報はすべて入っていると言っている。
これは、まさに古代Hawai'ianの知識の継承の仕方と同じである。
そして、MauはそれをNainoaに継承した。

最初の航海のときに、
『もう、Hawai'iには来ない』と言い残して、Satawalに帰ったMau。
でも、Nainoaのために再びHonoluluに降り立った。
これはMauとNainoaの魂が、
目に見えない何かで繋がっていたからではないかと思えてならない。
そして、NainoaがEddieを失うという悲しみを経験しなければ、
もしかしたらMauは来なかったのかも知れない。

なんてことをつらつら考えてみた

たった1艘の航海カヌーが、ここまで色々考えさせてくれる。
そしてこのカヌーは、Polynesiaの人々のIdentityまで取り戻した。

Hokule'aが海に初めて出航してから横浜まで30年。
あたしもそろそろ、自分の進むべき1本の道を見つけなきゃ。


Eddie would go

2007-06-16 00:53:44 | Hokule'aの教えてくれたこと
『Eddie would go!』
エディなら行くさ。

これは、Big waveの前にビビッているSurferに言う言葉なんだって。
Eddie would go.

Eddie Aikauは伝説のBig wave surferであり、
Oahu島WaimeaのLife Saverだった。
そして、Hokule'aの2度目の航海で、
他のクルーの命を救うために自らの命を犠牲にした人。

以前にも、このEddieの話は聞いていた。
その時は、常識的に『なんて無謀なんだろう…』って思った。
自分が死んでしまっては、他の人も助けることができない。
他の人たちと一緒に救助を待てば良かったのにって思った。

でも、今回Hokule'aが来ることを知って、
Ohanaの言葉により改めてEddieの話を読んだ。

そして、あたしはとうとう理解できた。
何故Eddieが自らの危険を犯してまで海に出たのかを。

人間の願いを叶えるとき、ときどき生贄を要求される。
その願いが大きければ大きいほど、大きな犠牲を要求される。
Eddieはそれを知っていたのだろう。
何故なら、彼はHawai'iの神々と生活を共にしてきたHawai'ianだから。

だから、Hokule'aがMolokai沖で転覆したとき、
EddieはSurf Boardだけ抱えて海へ出たのだろう。
自分の命と引き換えに、他のクルーを助けて欲しいと神に祈りながら。

そして、その願いは聞き入れられてしまった。
Hokule'aはEddieというHokuを失ってしまった。

最近、自分の進むべき方向を見失っていたあたしに、
神様は『Eddie would go.』という言葉を与えてくれた。
人生だって、荒れた海と同じだ。
だから、自分自身の手で漕ぎ出しなさい。
波を恐れなかったEddie Aikauのように。
この言葉を見て、涙と一緒に心の中のモヤが晴れた。

まだまだ大変なことはたくさんある。
でも夢があるのに、前に進めないなんておかしいよ。
そう、Eddieが背中を押してくれた。

そうしてHokule'aが、あたしの目の前に姿を現した。
きっと、前に進めなくなっていたあたしにはHokule'aが必要だった。

Eddie would go.
あたしもきっと前に踏み出せる。



Eddie Aikau
May, 4, 1946-March, 18, 1978
No greater love has a man than this,
that he lay down his life for his freinds.

みんな地球の一部なのだ

2007-06-14 22:27:17 | Hokule'aの教えてくれたこと
会社をサボって、Hawai'i好きのOhanaたちとHokule'a号を見に行った。
会社の仕事は毎日綿々と続く。
でも、Hokule'aを間近で見て乗ることができるなんて、多分一生に一度。
それなら、仕事は後で取り返せば良いから、Hokule'aに乗ろう!



水上バス待合所の緑の屋根の左側、
2本の割り箸が突き出しているように見えるのが、Hokule'a号のマスト。
カヌーの全長、約20m。
これで、13,000km以上も旅してきたのだ。

今年1月にOahuを出航して、半年。
とうとう、今回の航海の最終目的地の横浜へ。

Gaia Symphony-地球交響曲-第3章で、
この航海のNavigatorであるMr.Nainoa Thompsonが言っていたこと。
『わたしたちはみんな、地球という大きな命の一部である』
『わたしたちがしたことは、良いことも悪いことも、自分に返ってくる』

すごく当たり前なのに、忘れてしまう。



そして、民族としての誇り。
75年のTahitiへの航海後、Hawai'i各地でHawai'i文化の復興があった。
Eddie Aikauの死は、まさに民族を団結させる力があったのだろう。



星を目印にして、ずっと航海してきたこの船は、
あたしたちが本当に地球の一部なんだと、実感させてくれる。

また、Mr.Nainoaはこうも言っていた。
『今、新しい時代、文化が始まろうとしている』

何か分からないけれど、何かが変わり始めている。

風を読み、星を読み、雲を読み、鳥を読む。
そうすると、おのずと自分達の進む道が見えてくる。
今、あたしには道を見極めるパワーが足りていない。
でも、Hokule'aは教えてくれた。
自分の身の回りを見渡すだけで、答えは見えてくること。
そして、全てのものに敬意を抱くこと。

注意深く、そして周囲と調和すること。
不必要な自己主張はいらない。
あたしはあたしでいること、あなたはあなたでいること、
それだけで完全なのだ。

いつか、また道を見失ったら、注意深く周囲を見守ろう。
そうすれば、あたしを導いてくれる星が、きっとあるはずだから。



Oleは物語を作る力。
自分自身で、自分の進む方向を見極めればよいのだ

大海原を渡る蝶々

2007-06-12 22:27:09 | Hokule'aの教えてくれたこと
Hokule'aが横浜にとうとう入港したのは6月9日のこと。
17日まで停泊する予定のようである。

ttp://www.gohawaii.jp/hokulea2007/

古代のHawai'iの言い伝えでは、
Hawai'ian達はMakali'i(プレアデス星団)からやってきたと伝えられている。
実際は、同じ文化/言語のルーツを持つポリネシアから来たと言われている。

でも、長い間、ポリネシア説も疑われてきた。
なぜなら古代の人間が、
そんなに長い距離を耐えうる航海術を持っているなんて信じられなかったから。
しかも、その船を導くのは【Hoku=星】のみなのだ。

そして、Hawai'ianたちは自分達の誇りをかけて、
再び大航海に乗り出した。
古代のナビゲーション術であるスターナビゲーションのみで。

そんな大航海を経て、Hokule'a=祝星は横浜に来た。
なんと素晴らしいことだろう!



Wa'a=カヌーは、Hawai'ianにとって生きるために重要な役割を担っていた。
通常、カヌーはオールで漕いで進んでいく。
だけど、このHokule'aは帆走だ。

大きなマストを掲げて大海原を渡るOutrigger。
白いマストを空から見たら、
懸命に海を渡る蝶々の羽のように見えたに違いない。
小さな命を懸けて海を渡る美しい蝶々。

この偉業を祝福しよう。
命を継いで走ってきた蝶々を祝福しよう。
この蝶々が日本に来たことを、誇りに思う。