Learning Tomato (旧「eラーニングかもしれないBlog」)

大学教育を中心に不定期に書いています。

vol.385:教育研修ファシリテーター

2010年11月23日 | eラーニングに関係ないかもしれない1冊
教育研修ファシリテーター
堀 公俊,加留部 貴行
日本経済新聞出版社


いや~~~待ってましたといった感じの内容の本です。
企業内教育担当者や大学教員にとってのバイブルといっても過言でない素晴
らしい内容の本です。

本書ではファシリテーターの役割を「参加者(受講者)の主体的な学びを支
援・促進する」とし、その方法論について体系的・実践的にまとめています。
具体的なファシリテーターの役割として「レクチャー」「ワークショップ」
「リフレクション」の3つを挙げ、それぞれに必要となる心構えと実践的な
スキルを紹介しております。

「観念論に陥らず、さりとてノウハウ集に留まらない」絶妙なバランスでこ
の3つの役割を解説しているのが本書の特筆すべき点です。特に「リフレク
ション」の章は、さすが堀先生!経験学習モデルのサイクル(コルブ)を回
すための実践的な方法論がこれでもか!というぐらい詳細に述べられており
ます。

従来のインストラクショナル・デザインの視点

A=Analysis「分析」
D=Design「設計」
D=Development「開発」
I=Implementation「実施」
E=Evaluation 「評価」

の中では、どうも「実施」フェーズの実践的知見が少なかったようにコガは
考えておりました。本書のキモは「実施」です。研修の現場で、「レクチ
ャー」「ワークショップ」「リフレクション」の3つをどう実践していくか
という点について大変有効な示唆を与えてくれます。

コガが一番ためになったのは「場をホールドする大切さ」という考え方です。
参加者がグループワークをやっている最中こそ、ファシリテーターが一番忙
しい時間であり、そこで場をホールドし、場の「潮目」を見逃さないように
することが必要であると本書で書かれています。研修では決められた事を決
められた通りに実施するのでなく、場とのインタラクションの中でどう臨機
応変に振る舞うべきか?そのヒントが満載された本なのです。

最終章の「ファシリテータとしてのステップアップの手引き」の中でこんな
ことが書いてありました。

「学びはトライ&エラーの連続です。たくさん現場を経験する場数こそが、
私たち(ファシリテーター)の自信を支えてくれます。場数は「バカS」と
いうバカの複数形です。失敗も含めて、多様な現場が私たちを成長させてく
れているのです」

これからも、勇気を持ってバカSを踏んでいきたいと思った次第です。

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