肉まんの皮・パンなどの小麦粉製品は、冷凍にすると焼けが生じるので、それを防ぐ為に「乳酸ナトリウム」と「トレハロース」による実験を行った。
乳酸ナトリウムは、糖に乳酸菌を加えてできる乳酸のナトリウム塩。トレハロースは特殊な菌を用いて出来る糖類の一種。
両方とも保湿性があり、水分を抱きかかえるのでドリップが起こりにくく冷凍耐性があります。
50%乳酸ナトリウム溶液を小麦粉に対し1.5%練り込んだ場合、わずかに乳酸ナトリウム特有の渋みを感じた。食感は少し歯ごたえが増したがほとんど気にならないレベルであった。ビニール袋の中に生地を冷蔵保存し18時間後に観察すると袋内の生地周辺には水滴が見られなかった。何も加えていない無添加のものは生地周辺に水滴が多く見られた。
乳酸ナトリウムとトレハロースの混合溶液(乳酸ナトリウム35%・トレハロース30%の液体)を小麦粉に対し2%練り込んだ場合、トレハロースのおだやかな甘味を感じた。乳酸の渋みはトレハロースのマスキング効果により隠されているので乳酸ナトリウム単体より味は良くなっている。50%乳酸ナトリウム単体の使用と同じく水滴は見られなかった。
50%乳酸ナトリウム溶液を小麦粉に対し2%練り込んだ場合、渋みと固さ・パサつき感が感じられ、添加量が多すぎた。水滴は見られなかった。
以上より、単に保湿性を良くする目的で食品添加物を使用する場合は乳酸ナトリウムを適量使用、味覚を損なわず保湿性を持たせる場合は乳酸ナトリウムとトレハロースの混合液を使用すれば良いという結果になった。
加水量は38%(小麦粉100に対して水38の割合)で行った。加水率によって添加量に差が生じますので、実験の一例としてお読みください。