ボクは雑草です

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石油価格の下落~OPEC減産見送り~

2016-02-16 19:41:39 | 報道/ニュース
ガソリンが安くなりました。灯油も昨年の半額です。石油輸入国の日本にはこれは良いことですが逆に輸出国にとっては収入が半減しています。石油の価格はOPEC石油輸出国機構という石油産油国の集まりで決めていました。サウジアラビアなど中東の国々とベネズェラが加盟しています。いままではOPECの独占状態だったところにアメリカがシエール工法により一大産油国になったことで一変しました。OPECの減産・増産だけで原油価格の維持が出来なくなったのです。そこでOPECはアメリカに対抗するため、石油価格を低く抑えアメリカのシェールガスを採算割れにする対策を取りました。それがいくら価格が下がっても減産しない、つまり供給量を下げないという姿勢でした。その結果1バレル70ドルだった石油価格は1年で30ドルを割り込むまで下落。アメリカのシェールガスはバレル50ドルが採算ベースと言われています。シェールガスは操業停止に追い込まれました。
そうこうしているうち中東は戦争に明け暮れ石油施設が破壊され、中国の景気減速で石油消費が伸びなくなりました。産油国にとっては収入が減るばかりです。それでも中東はいままでの蓄えと緊縮財政でなんとか持ちこたえています。 
そこに現れたのがもう一つの産油国のロシアです。ここは勝機とみて石油の安売りを始めました。抜け目のないロシアのやり口です。その結果石油価格はさらに下がると予想する人もいます。
石油価格の下落は世界経済に影響をおよぼしました。いわゆるオイルマネーがいっせいに引いたことにより投資が減り世界同時株安を招きました。原油価格が株価を左右しているのです。日本のような資源のない国はただ右往左往するばかりです。
石油の歴史は19世紀からです。それまでは主に石炭でした。また潤滑油やランプの油はクジラからでした。しかし石油の登場で文明は格段に進歩しました。いまでは、プラスチック・ゴム・アスファルト・化粧品・食品から衣類まで石油が使われています。いわば生活に欠かせない原料なのです。石油を掘り続けるとあと40年で枯渇すると言われています。石油が亡くなったら次のエネルギーを探せばいいとのんきに言う人もいますがこれほど多岐に使える原料はまだ見つかっていません。
そうなるとしばらく石油の争奪戦は続きます。いまは石油の埋蔵量が多い中東が潤っていますが、アメリカやロシアの石油が世界の中心に変わると中東はやがて衰退への道をたどることになります。シリアのように戦争で荒廃している様子を見ていると、人間の知恵がいかに愚かなものか。環境に適応しながら何万年も生き抜いてきた動物や植物より人間は劣るのではないか。そう思えてなりません。
限りある資源を守ることが今は必要なのにいったい何をやっているのか。目先の利益で紛争している国々を見ると、北朝鮮のミサイルで大騒ぎの国を見ると、あまりにも人間の考えが小さいことに気がつきます。う~ん・・おしまい

2016/02/16