ボクは雑草です

シフトクリエイティブ社長のブログです。

石井姉妹の”会津磐梯山”

2015-04-02 07:05:56 | 報道/ニュース
ときどき地方へ行って方言に出会うといいなあと思うことがありませんか。京都弁や大阪弁のように有名な言葉ではなく尾道とか岐阜とか普段あまりなじみのない方言にその土地で出会うと、こちらが異邦人のようになってしまい何とも言えない新鮮な気持ちになります。そのうえ女の子がおかっぱでほっぺを赤くして「オラ、いわきが好きだ。」なんて言われたらもう誰もがメロメロでしょう。
もうお分かりですね。3月に放送されたNHKのど自慢チャンピオン大会でグランドチャンピオンに輝いた福島県の石井敦子さん雅子さん姉妹の話ですよ。曲は民謡“会津磐梯山”でした。
いきなり、いやああ~、ときましたね。この力強い入り、いままで聞いたことのない“会津磐梯山”でした。あいずばんだいさんわあ~たからの~やまよお~、ってもう耳から離れませんよ。会津の風景が広がってくるようでした。それはうまいとかすごいとかのジャンルではない特別な空気でした。民謡は腹の底から歌うんだよ、音符なんてないんだよ。姉妹がそう言っているように感じました。
敦子さんは高校2年生17才、2才年上の雅子さんがおはやしです。歌う前の紹介ビデオに出てきた敦子さんは制服を着ておかっぱでほっぺが赤くて話す言葉は会津弁、カメラのレンズをのぞいて「コレ、どこ見ればいいですか?」ときました。亡くなったおじいちゃんが先生でおばあちゃんからお母さんまで民謡ファミリー。「じじがいわきの民謡を大切にしていたので広めていきたいと思います。」このカットは何回見てもいいのです。久しぶりの直球ストライクゾーンです。
そう言えば最近こういう“いいなあ感”が失われていましたね。NHKのど自慢なんて見たこともありませんでした。まるっきりカラオケ大会じゃねえか、と思っていました。カラオケ嫌いなボクには遠い存在でした。しかし今回は違っていました。
だいたいAKBやらももクロやらのどこがいいの?才能なんかある訳ねえ。素人がみんな出たいだけ。それじゃあプロが育たねえ。早く本来の“歌“で勝負しろ。と思っていたボクはやっと救われた気分です。本物の”会津磐梯山“が来たのです。
坊主にくけりゃ袈裟(けさ)まで・・とか言いますが、逆に姉妹の歌がいいと髪型や服装までいいと思っちゃいますよ。それは好きな人が着ている服や持ち物が好きになるのと同じです。制服も短いスカートが当たり前の世の中でひざを隠した長いスカートの敦子さん、髪をギンギンに染めて気持ち悪いネイル、なんかしていない清潔なお姉さん。こういう姉妹を待っていたのです。
受賞後の敦子さんはもう涙が止まりません。でもチャンピオンはもう一度歌います。お姉さんが気丈に敦子さんに代わってお礼を言い、小さな声で“ちゃんとして”と言って歌いました。涙をいっぱいためて歌う敦子さんに力いっぱいおはやしをする雅子さん、この姉妹の姿には会場もテレビの前も日本中が感動しましたよ。すばらしい“会津磐梯山”でした。感動したシリーズの永久保存版ですね。

2015/04/01